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終奏…連

「――ここだと思った」

 この掌に掬った雪がそうであったように。

 後ろから包み込んできた腕のその温もりに、寒さが溶かされていく。大きな手に己のそれを重ねようとして、氷のように冷え切ってしまった事実に思い留まったこの手を、躊躇いもなく握り締めてくれた。

「どうして、わかった?」

 不思議な魔法。

 肌と肌が合わさるだけで、天使の羽のゆりかごで眠っていた心が目を覚ます。笑みが洩れる。

「初めて会ったのが、この場所だったから」

 振り向かない。優しさに包まれながら、耳元に落とされる囁きを聞いている。

 瞳を閉じればその先に広がるのは闇だ。そして、その闇は、過去を遡る為の扉。

「答えになっていない」

 意地悪をしてみる。本当は答えを知っていると、この身を抱き締めてくれている彼は気付いているだろうか。

 雪華を散らした笑い声。

 それでも彼は答えてくれる。

「始まりの場所は、いつもここだから」

 届いた返答は、己の中にあったそれと同じもの。初めて自分から包み込んでくれている彼の手を握り、その腕に頭を預ける。

 闇の瞳の中で雪が舞っている。

 あぁ、そうだ。

 あの日も、同じように、雪が降っていた。


***


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