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淡奏…漆
背後で扉が閉まる音がする。廊下で待っていた白服の大人は、やはり呼びに来た時と同じように穏やかな微笑みを湛えて四季を出迎えた。
よかったわね。
彼女はそれだけ言って、先程通ってきた廊下をまた戻り始める。
同じようにその背を追う四季は、理解出来なかった彼女の言葉を耳の奥で反復する。
外の世界との接触に意味を求めていない者にとって、そこに孕む感情は皆無なのだ。喜怒哀楽など、存在しない。
ただ、誰かが会いに来た。
そして、この先、誰も会いに来ない。
会いたいとも思わない。
付け足された事実と、続いていく未来。ただ、それだけ。
見慣れた扉が視界に入る。軽い音を立てて戸を開ければやはりそこにもいつも通りの景色があり、その変化のない一枚の絵に変わる事を忘れてしまった欠片が加わる。




