表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/47

白奏…漆

 四季の呟きに被さるように、或いは掻き消すように、談話室の扉が開けられた。

 話し声が止む。幾対もの瞳が入り口へと向けられる気配がする。

 白服を纏った大人がその死を告げる。その表情は、きっと、悲しみと悼みで歪んでいたのだろう。

 窓の外を舞い踊る薄桃色の花びらを見つめ続けていた四季が、それを視認する事はなかった。

 桜の花は風に舞う。

 その姿に、一月に一度だけ許される、母と父との再会を喜ぶ少年の笑顔が重なって見えた。

「四季、行こう」

 いつもならばすぐに閉ざされてしまう扉がまだ開いている。談話室にいた数人は既に廊下へと出てしまっていて、未だ残っている六花が四季の背にそっと手を添えて促す。

 抗う理由がなかった。だから四季は従う。

 二人が廊下へと出れば、背後で音を立てて扉は閉じられる。廊下もまた白一色で、背後の扉と窓とではその役割も背負う意味も全く違っているのだ。

 白い扉は二つの空間を繋ぐ分岐点。

 白い窓は二つの世界を分かつ境界線。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ