69 冒険者・遺跡探索者グラディス
馬車は王都を出て、遺跡のある南へと向かっていた。
道中、俺たちは探索の目的や各自の役割について再確認する。
ヴィオラと俺はその剣技で前衛を、ウェンディは植物魔法で後方支援及び対植物モンスターを担当。
他に冒険者が数名加わるため、彼らにもそれぞれ攻撃魔法や回復など、それぞれの役割を果たしてもらうが、とりあえず俺たち三人の役割をあらためて明確化し、共有しておいた。
やがて馬車は遺跡近くの拠点――冒険者ギルドの支部がある小さな宿場町に到着した。
ここで追加のメンバーと合流する手はずになっている。
「君がディオンくん? よろしくね。あたしはグラディス」
馬車を降りた俺たちの前に、一人の女性が近づいてきた。
年の頃は二十代半ばくらいか。
探検家風の動きやすい服装だが、その下に豊満な体が隠されているのが分かる。
ウェーブのかかった長い赤毛に、釣り目気味の緑の瞳。
小悪魔的な雰囲気を漂わせる、グラマラスな美女だった。
名前はグラディス・ジルフォート。
ヴィオラの話によると、高名な探検家だということだった。
「ディオン・ローゼルバイトです。こちらこそ、よろしくお願いします」
俺は貴族としての礼儀を忘れずに挨拶する。
「へえ、可愛い顔してるじゃない。あたし好みかも」
グラディスは妖艶な笑みを浮かべ、俺の顔を覗き込んできた。
距離が近い。
「あたし、年下の方が好きなんだ。君ってフリー?」
どこまで本気か分からない態度でたずねてくる。
「光栄な話ですが、あいにく俺には婚約者がいます」
「ふーん、残念。それはそうと……年上の美人お姉さんって君の守備範囲かなぁ?」
くすくすと笑いながら、グラディスは俺をからかってくる。これが彼女のペースなのか。
そうだ、彼女を【鑑定】しておくか。
名前:グラディス・ジルフォート
遺跡知識:S
方向感覚:S
罠解除:A+
探索技術:A+
へえ、Sランクの力を二つ持っているのか。
遺跡探索に関しては正真正銘の実力者のようだ。
「あいかわらずだな、グラディス。ディオンをからかうのは、ほどほどにしておいてくれよ」
と、ヴィオラが進み出た。
「あら、ヴィオラ様。こんな可愛い男の子を目の前にして放っておけっていうんですか? とりあえず誘惑してみるのが礼儀というものでは?」
「その行為を礼儀と称するのはお前くらいのものだ」
苦笑するヴィオラ。
「他の人たちも紹介してくれ、ヴィオラ」
俺は彼女に言った。
この場にはグラディス以外に三人の男女がいる。
いずれも屈強な冒険者のようだ――。
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