表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/72

58 領内の疑惑について返答する

 俺の領内に魔界の扉があり、その向こうには『セフィロト』が存在している――。


 この世界の出来事は基本的にゲーム本編に準拠しており、イベントのタイミングなどがズレることはあっても、ゲーム内の事象そのものは、この世界でもなぞられていると思う。


 なら、ローゼルバイト領に魔界の扉があるのは、おそらく事実だ。


 それを踏まえた上で、ヴィオラの問いかけにどう答えるか。


 知らなかった、というのは簡単だ。


 けれど、前回のメタシード襲来からそれなりの時間があり、何も気づかなかった――というのは無能の証明とみなされる可能性がある。


 かといって、『知っている』ことを安易に答えるのは危険だ。


 領内に魔界の扉が存在する――それは強大な力を己の領内で抱え込み、何かを企んでいるとみなされる可能性がある。


 いや、実際にその可能性を見越して、ヴィオラは俺に鎌をかけているんだろう。


 なら、俺の答えは――。


「その疑念は俺の方でも持っている。といっても、疑念が生まれたのは最近のことだ」


 俺はヴィオラを見つめた。


「領内に異空間につながる場所がある――そうだな、仮にその場所を【魔界の扉】と呼称しようか。その扉が俺の領内にあるとなれば、緊急の対応を要する事態だ」

「ふん、お前の方でも把握していたのか」


 と、鼻を鳴らすヴィオラ。


「本当に最近の話さ。最低限の情報を確認したうえで、王城に報告しようと考えていた。で、ここ数日の調査で疑念は、一定の確信に変わった。だから――この学院に来たんだ」


 俺は声に力を込めた。


 説得力が増すよう、ここで【人心掌握】のスキルを発動して、俺の言葉が全員の心を揺らすようにしておく。


「ほう? てっきり旧交を温めるためだとばかり思っていたぞ」

「それもあるさ。懐かしい君たちに出会えたのは本当に嬉しいよ。また会いたいと思っていたからね」


 俺は爽やかに笑ってみせた。


「ディオン様……」


 ウェンディの顔が妙に赤くなっているが、今はいいとしよう。


「ただ、本命の理由は違う。今言った事実を報告するために――その前段階としてヴィオラに相談したかったんだ」


 これは、嘘だ。


 ヴィオラが直球で俺に疑問を投げかけてきたため、急遽こしらえた嘘の理由だった。


 だけど【人心掌握】を使っているし、話の筋自体は通っているから、これを『でっちあげの理由』だとは判断されないだろう。


「君の質問はまさに渡りに船だったよ。いや――そこまで分かっていて質問したのか? 君は切れ者だからね」


 と、ヴィオラを立て、俺の回答はいったん終了だ。




【読んでくださった方へのお願い】

日間ランキングに入るためには初動の★の入り方が非常に重要になります……! そのため、面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや★で応援いただけると嬉しいです……!


ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある

☆☆☆☆☆をポチっと押すことで

★★★★★になり評価されます!


未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

▼なろう版『死亡ルート確定の悪役貴族』はこちら!▼



▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ