41 新型【人心掌握】
サンダーライノ――雷をまとった猛牛のような魔物だ。
その突進力は雷撃の威力を伴い、すさまじい破壊力を為す。
「手強いのは確かなんだ。だけど、攻略法は必ずある……」
俺は息を整え、状況を整理する。
こいつらはゲームで何度も戦った相手だ。
攻撃パターンは二つ。
一つは二回突進した後、一回バックして力を溜めるパターン。
もう一つは素早い体当たりを連続で繰り返すパターンだ。
突進後のバックは強烈だが、隙がある。
一方、連続体当たりは手数が多いが威力が弱い。
「どっちが来る――」
俺は冷静にサンダーライノの動きを見極める。
「――来る!」
ずおおおおんっ!
突進だ。
「退け! 全員、下がれ!」
俺の指示に従い、騎士たちは素早く距離を取る。
サンダーライノの衝角攻撃は空を切り、付近の建物が粉々に砕けた。
確かに、威力はすさまじい。
ただ、パターンは分かってるんだ。
二回突進したあと、必ず一度バックして力を溜める。
その隙を突ければ……!
いや、ダメだ。
いくら相手のパターンを読めても、体が追いつかない。
事実、ここまでは相手の動きが俺よりも速すぎてカウンターを当てられずにいた。
だから、俺は考えた。
「【人心掌握】を……自分に使う」
これまで他者にしか効果を及ぼせなかったスキルだが、もし自分にも作用するなら――。
「やってみるしかない」
俺は決意し、力を込めて告げた。
「【俺は潜在能力の全てを発揮する】」
「【俺にはそれを成し遂げられるだけの力がある】」
「【俺にはそれを成し遂げられるだけの精神の強さがある】」
「【俺は奴らの攻撃パターンをすべて見切り、そのうえで奴らの上をいく】」
「【その戦法を実行するだけの能力を、俺は秘めている】」
「【今こそ、その力を解放する】」
俺は、今の言葉のすべてに【人心掌握】をかけている。
そう、いつものように他者に作用するのではなく、自分自身に作用させるために。
「こいつは賭けだ――今まで、このやり方は一度も試していない」
スキルによっては自分自身は効果対象にならない、というものもある。
もし【人心掌握】がそのタイプなら、ディオンが今試したことは空振りに終わるだろう。
だが、そうでなかったとしたら――。
「俺の潜在能力は全て発揮され、今までとは別格の力が――俺に宿るはずだ」
賭ける価値はある。
そして――。
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