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11 騎士隊ふたたび

 その後、ジュリエッタとは軽く雑談し、別れた。


 うん、少なくとも好感度がぶっちぎりのマイナス状態からは脱したはずだ。


 勢いあまって彼女の感情がふりきれるところまでやってしまった感はあるが……まあ、いい方向に転がることを祈ろう。


 で、俺は小休止の後、騎士隊の訓練場にやって来た。


 例の剣術Sの天才バルゴもここにいるはずだ。


 初日から大きなインパクトを残した彼は、上手く打ち解けているだろうか。


 かしいいん。


 訓練場に足を踏み入れた瞬間、木剣が空高く跳ね飛ぶのが見えた。


「ううっ、ま、まいった……」


 長身の剣士が地面にへたりこみ、うめくのが見えた。


 確か騎士隊で五指に入る実力者だ。


 対戦相手は――予想通りバルゴだった。


「ありがとうございました」


 涼しげな顔で一礼する。


 騎士隊トップ5の実力者ですら、バルゴには歯が立たないらしい。


「……! ディオン様!」


 と、こちらに気づいたバルゴが走り寄ってきた。


「いらしてたのですか」

「たった今、来たところだ。調子がよさそうだな」

「ありがとうございます」


 一礼するバルゴ。


「こ、これはディオン様、お見苦しいところを――」


 対照的にさっきバルゴに負けた騎士は、表情をこわばらせた。


 彼からすれば、屈辱的な場面を俺に見られたことになる。


「気にするな。これは訓練だし、一つの試合の勝ち負けを重視するより、コンディションを整えることや各自の課題への取り組みをより重要視してくれ」


 俺は彼にフォローの言葉をかける。


「君の実力の高さは俺も把握している。引き続き訓練に励んでほしい」

「は、はい、ありがとうございます!」


 彼は直立不動で深々と一礼した。


「バルゴ、その後はどうだ? 騎士隊で上手くやってるか?」

「は、はい、みなさん、とてもよくしてくださるので……」


 俺の問いにバルゴは何度もうなずいた。


「それに僕は剣術はほとんど素人でしたけど、色々と教わって――だいぶ上達してきたつもりです」


 言って、バルゴは俺を見た。


 その目に鋭い光が浮かぶ。


 騎士隊に来た初日に、俺はバルゴとの模擬戦で勝ってるからな。


 彼からしたら、いつかリベンジしたいのかもしれない。


 といっても、俺の方は別にバルゴに勝とうとは思っていない。


 剣術Sの彼は、遅かれ早かれ剣術Aの俺なんて追い抜いていくだろう。


 それでいい。


 俺は自分が剣で最強になることより、配下に最強の剣士をそろえることを目指しているんだから――。

 と、


「ディオン様、よろしいですか」


 三十がらみの騎士が話しかけてきた。


 彼の名前はナーガル。


 バルゴがここに来た初日に対戦し、瞬殺された騎士だ。


 とはいえ、彼自身の実力は高い。


 バルゴには及ばないものの剣術ランクはA。


 十分に一流である。


「実は領内でモンスターが現れたという報告が」

「モンスター?」

「すでに出現地帯の周辺で被害が出ているとの未確認情報もあります」

「分かった。なら騎士隊を選抜し、モンスターの討伐に当たってくれ。俺も同行する」

「ディオン様が!?」


 ナーガルは驚いた顔をした。


「領主の子として、領内の危険は見過ごせないからな」


 正直言うと、ちょっと怖い。


 けれど、危険に自ら踏み込むことは、領民たちへのアピールになる。


 俺が横暴な領主の子ではなく、領民を案じる善政を志している、とな。


 俺の悪評を覆すために、今回の事件は絶好の機会だ――。

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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


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