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3話 あぁかの(仮)

う…ん…あぁ、もう朝か


「おはようございます、お芽狐さま。朝ごはん出来てますよ~」


「おぅ、今行く~」



「お芽狐さま、スマホいじりながらご飯を食べないでください。行儀悪いですよ」


「神主こそ、テレビ見ながら飯食っとるじゃろ。それと変わらんぞ」


「…」


特に言い返す言葉がなかったのか神主は黙ってしまった


ピローン


「お、なんか届いたぞ」


「なんですかね」


神主はわしのスマホの画面を覗いてきた


「んーと、面接結果の報告…慎重に選考を重ねていった結果、今回の採用はお見送りさせていただきます。このような結果になってしまいますたが、あなた様の今後の健闘・活躍を期待しています。…」


「…」


「これは……だめだった…てことか?」


「…はぁい…」


「これは夢か?」


「夢…ではないです」


「…」


「…」


この気まずい空気に耐えられなくなったわしは飯を一気に平らげ


「ごちそうさまじゃ」


「え、待ってください、どこに行くんですか!?」


「外の空気を吸ってくるだけじゃ!」


逃げるように飛び出してきた


…はぁ

どうしよう

神主の期待を裏切ってしまった

あんなに励ましてくれたのに…

恥と絶望でいっぱいじゃ



いや、待てよ。このなってしまった時のためにいくつか候補を決めたじゃないか。

今回は詰めが甘かっただけ。

次はしっかりと準備すればきっと上手くいくはずじゃ。

そうと決まれば、次のバイトに応募じゃ!


…よし、できたぞ


「のぅ、神主。引きずっても仕方ないじゃろ。まだ次があるしな」


「次って…もう応募したんですか。無理しすぎないでくださいね」


「これで面接がどういうものか分かったことだし、もう大丈夫じゃ、ふふふ、わしの完璧さに恐れおのの

くがよい」


「…」


なんか困惑した顔していたが、気のせいじゃろ


よ~し、頑張るぞぉ~↑↑


…また、落ちた。これで何回目だ?

もうこれで採用されなかったら、路頭に迷ってしまう…


とりあえず、応募して、面接日時は明日の11時に指定された。


最近、神主の顔に元気が無くなってきているのが目に見えて、すごく焦ってる。

わしも不安でいっぱいじゃが…もう!あとは明日のわしに任せる!おやすみ!



ピローン


…!来た!頼む~、採用しておくれ~


だめだった…


『…お芽狐さま』


『か、神主!こ、これは…』


『もう、いいです。お芽狐さまはもうこの社会から必要とされていないということが分かりましたし、愛想が尽きました』


『え…』


『なので、死んでください』


『な、なにを言ってんのじゃ!?』


『お芽狐さまがいなくなっても優秀な代わりがいますし』


『え…あ…』


神主の手には包丁が握られていた


『な、なんじゃ、その包丁は…く、来るな!』


『来るなああああぁぁぁ!!!』



ガバッ!!

「ッハァ…ハァ……ゆ、夢か…」


「大丈夫ですか?どうかしたのですか?」


「あ、あぁ、すごく嫌な夢を見たんじゃ」


「そうですか、朝ごはん出来たので食べに来てくださいね」


「う、うむ…」


面接行くか…

持ち物に不備はないし、耳と尻尾は神主の力で一時的に見えなくしてる

履歴書も一応嘘じゃないのを書いたし…

落ちる要素がないんじゃが…

本当にわしは人間と同じ扱いされてないのか?

わしはそんな不安を抱きながら面接を受けた


はぁ、今回もダメそうじゃの…手応えが全然感じられない…

どうしよう…


落ち込みながら帰っていると年季の入ってそうな喫茶店を見かけた


『コーヒー喫茶ちんぽぽ』…変わった名前してるなー…

今日も最悪な気分だし、気晴らしにコーヒーでも飲むか…


カランカラン


中に入るとオーナーっぽいイケおじな男性と女児がいた


「いらっしゃいませ」


渋くて男前な声じゃなぁ


「あ!久しぶりの客だ!」


なんじゃ、この娘は…


おっ、いい感じの身体してんのぅ


「こら、由香。”お客様”と言いなさい」


「へーい」


「ねえ、名前なんて言うの?」


「め、芽狐じゃ」


「ふぅ~ん」


なんじゃこいつ、普通の女児じゃないな


「あ、耳と尻尾がある~、コスプレ?」


え?あぁ、もう解けてたんだ、気づかんかった


「これはコスプレじゃない!ちゃんと生えてるぞ」


「へぇ~」


そう言って由香はわしの方に来て…


おぉ~、もう少しで見えそうじゃ…


「うわ!」


突然、わしの膝の上に乗ってきた


「注文は~?まだ~?」


すりすりしてくんな!


「あれ~?なんか背中に固いのが当たってるよぉ~」


正直注文どころじゃない…

あー、やばい、やってやろうかなこの小娘


「んお”ぉ”!?」


メスガキがわしのを掴んで来やがった


「ん~?どうしたの~?ビクビクしてるんですけど~ww」


もう無理、限界、我慢できん


「ひゃあ!?」


脇腹をくすぐって、無理矢理どかした


「由香、あまりイタズラしすぎるなよ」


「はぁ~い」


…言うタイミング遅すぎるだろ、危うく…


「お客様、ご注文はどうなさいますか?」


「ハァ、ハァ…カフェオレで」


「かしこまりました」


それにしてもわし以外誰も客いないんじゃが…


…暇じゃな


「あの、オーナーさんや、失礼かもしれんが、店の名前…変わってますね」


「あれね…本当は『コーヒー喫茶さんぽぽ』だったんですが、業者の人が付ける向きを間違えたんです、施工が終わった後に気づいて、電話したのですが、音信不通でして…まあ、逃げられてしまいましたね」


…ひどい奴もいるもんじゃな、わしは店名で気になったから別によかったけど、常識的に考えてダメだよな、ちんぽぽ…


「由香って娘はかなり自由奔放じゃの、元気があって良いとは思うが、ちょっと元気すぎないか?いろいろと…」


「はしゃぎたいお年頃かもしれませんね、本当は私も娘と遊んでやりたいのですが…実は…経営が苦しくて…一円でも多く稼がないと私と娘は路頭に迷うかもしれないという不安で遊ぶ気になれないんですね」


「なんで経営が苦しくなったんじゃ?」


「…」


あれ、ちょっと深入りしてしまったかの


「去年までは妻もいたんですが…」


おっとあんまり聞かない方がよかったかの


「言いたくなかったら無理して言わんくって良いぞ」

多分、交通事故かなにかだろうな


「つらかったろう…分かるぞ、大事な人が死んで心にぽっかり穴が空くこの気持ち…」


「え?死んでませんけど」


あれ?


「元妻は他の男と不倫して離婚しました」


「…」


「しかも、元妻はオンラインカ○ノにハマってしまい、養育費まで手を出してしまって…本当にすべて奪っていきましたよ」


「…」


気まずいなこの空気


「…カフェオレです」


「ありがとうございます…」


わしは急いでカフェオレを一気に飲み干し…あっづぅ!…ちびちびと飲んだ


「ごちそうさま、勘定お願いします」


「460円になります」


勘定を済まして帰ろうとしたところ


「ねぇ、また次も来る?」


由香が構って欲しそうな顔で言った


「行く機会があったら行こうかの」


「嘘だ…絶対来ないじゃん、みんなそう言ってまた来た人はいないんだもん」

由香はボソッと呟いた


わしは何も言えず、店を後にした


「ただいまー」


「おかえりなさい、お芽狐さま。今から夕飯の準備しますね」


「あ~い」


もはや面接について聞いてくることは無くなってしまった

まあ、聞いたところで結果が変わるわけじゃないし…

…ゲームするか

なにしようかなー、久々にスマ○ラやるかー


「オラッ!死ね!ゴミがッ!わしに勝つのに2000年早いわ!ボケェ!…アッ!チッ、クソ、てめコラ、せこい手を使いやがって!ごみ陰キャが!クソッ!グッ……アアアアアアアアアァァァア!」

バンッ!バンッ!バァンッ!


「お芽狐さま、ちょっと黙ってくれませんか。ご飯抜きにしますよ」


「ウゥ~…クソッ!二度とやるかこんなクソゲー!」


「はいはい、早く片付けてください」



「いただきます」

おっ今日はカレーライスか、神主が作るカレーは他のところとは一味違う、肉の代わりに油揚げが入ってる、他は~…よう分からん、なんか違う


「ごちそうさま…あ、そうだ。今日、喫茶店に寄ったんじゃが、その店は結構経営が苦しいそうなんじゃ。なんか経営難から抜け出す方法とかあるかの?」


「なんでそんな急に…どこの喫茶店なんですか?」


「○○町の△△川沿いで隣に□□屋というボロい駄菓子屋があるところじゃ」


「そこまで分かるなら店名まで教えてくださいよ」


「店名はコーヒー喫茶ちんp…じゃなくて『コーヒー喫茶さんぽぽ』じゃ」


「…あれ、検索しても出てきませんね…」


「じゃあ、多分『ちんぽぽ』じゃ」


「…ありましたね、ふむふむ、あー、この場所ですか…」

「このあたりは夕方から夜の時間帯が人通りが多い地域ですね」


「なんで分かるのじゃ?」


「猫の力ってやつです」


なにそれ、めっちゃ気になる


「急にお芽狐さまがこんなことを言い出すとは思いませんでしたよ、何かあったんですか?」


「…その店の店主がかなり不憫でな…どうにかしてあげたくて…」

ほんとうは店主の娘が可愛いからぐへへなことしたいなんて口が裂けても言えん


「今のところ、どうして経営が上手くいかないのかよく分からないので、明日行ってみます、お芽狐さまも一緒に来ます?」


「いきたい」


「わかりました、ではこの話は以上でいいですね?」


「ああ、以上じゃ」


「じゃあ、お風呂沸かしたので入ってきてくださいね」


「はーい」



「あー、いい湯じゃった。いつもより長く浸かってしまったの、ねむくなってきたぞ」


「神主~、風呂出たから入っていいぞ~」


「わかりました、お芽狐さま」


ん?なにをしてるんじゃ?…ひぇ~、数字がいっぱい書いておるな。わし算数苦手じゃ、さっさと寝てしまおう

…ふぅ


「…もう朝か…最近、寝た気がしないのぅ、ストレスのせいか?」


「お芽狐さま、おはようございます。ご飯できてますよ」


「おぅ~、今行く」


わしはダイニングへと向かった


「いただきまーす」

もぐもぐ

「お芽狐さま、食べ終わったらお芽狐さまが言ってた店に行きましょうね」


「ぅお~ん(もぐもぐ)」


「ごちそうさまでした」


「片付けておくので、その間に身支度してくださいね」


「うむ」



「よし、身支度出来たぞ」


「はい、では行きましょう」


わしらは例の店へ歩いていった


「そういえば、お芽狐さま。最近ハマってるものってなんかありますか?」


ん、珍しいな、神主がこんなことを聞くなんて


「最近かー、やっぱりゲームかの」


「どんなゲームするのですか?」


「美少女が出てくるゲームをよくやってるの」


「ゲームのタイトルはなんです?」


「『Lily Bloom』っていうゲームじゃ」


「Lily…百合…Bloom…咲く…お花を育てるとかのゲームですか?」


「んぉ!?お、おうそうじゃ。そういうゲームじゃ」

マジか、神主って英語もわかるのか、盲点じゃった。けど、「百合」の意味を知らないのが不幸中の幸いじゃな。


「お芽狐さまは最近、美少女が出るゲームやっているはずなのにどうしてお花を育てるゲームが出てくるのですか?」


あ、まずい


「んーと、えーと、花を擬人化した少女を育てるゲームなんじゃ」


「そうなんですか、腑に落ちました」


危なかった、内容がアレなゲームだってバレたら恥ずかしくて生きていけん

しかも、ゲームタイトルでマシなのがこれしかなかったし

頑張って、嘘をついてまで話をずらしていかんと…


「他にも美少女がでてくる育成ゲームでどんなゲームやってるのですか?」


「あとはスマ○ラとかかな」


「それ育成ゲームじゃないですよね」


「…、学○ス」


「それ以外にもエッチなゲームやってますよね?」


「やってないぞ」


「では、昨日の真夜中にお芽狐さまが息を荒くしてまでやってたのはなんですか?」


「…」


もう、いいや。めんどくさい、正直に全部言ってしまおう

「昨晩やったのは○○○○○○○っていうゲームで、タイトル通り幼女と○○するやつなんじゃ。このゲームの魅力はわしに○○に刺さるキャラが多くて、しかもめっちゃ○○○○が高いんじゃ。もうね、すごいとしか言えんのじゃ。語彙力が完全に消滅してしまうほどのえっっなのじゃ。せっかく紹介したんじゃ、ついでにわしのおすすめの娘をひとり紹介しようかの。○○という娘なんじゃが、ほんとうに可愛くてえっっなんじゃよ。見た目からもうやばい。チラリズムすぎる。あと、なんといってもわしの理想的な体つきをしている。胸、腹、腰…もう最高じゃ。そうじゃ、肝心の○○シーンについてじゃが、このシーンは主人公の○○○が○○の○○○に○○○○し、その後○○が○○○○になって(以下略)」


「そ、そうなんですね…そこまでお芽狐さまがハマっているとは知りませんでした…」


完全に引かれたな。まあ、しつこく聞いてきたのは神主の方だし、わしは何も悪くない。


と歩いているうちに『コーヒー喫茶ちんぽぽ』に到着した。


「ここですね」


「そうじゃな」


カランカラン


「いらっしゃいませ」


「おう、また来たぞ」

わしがそう言うと奥からドタバタと騒がしくなり、しばらくすると由香が驚いた表情を見せてわしの方に寄ってきた


「また来てくれたの!?」


「おぉ、由香。元気にしてたか?」


「うん!!あれ、この人は?」


「神主じゃ」


「へー」


そこでわしは由香にそっと耳打ちした

「わしならともかく、神主にイタズラしない方がいいぞ。怒ると怖いからな。」


「わかった~」


なんか素直じゃの


「店主さん」


「はい」


「アイスコーヒーをお願いします」


「かしこまりました」


神主が早速注文をした


わしらは椅子に座り


「なんか注文ある~?」


「じゃあ、わしはココアにしようかの」


「ココアだって~」


「かしこまりました」


「ねえねえ、今日は何しにしたの~?」


「今日はな、真面目な話をしに来たんじゃ」


「ふぅ~ん」


由香が椅子の上で膝立ちになり、テーブルに両手で頬杖をついた

しかもわざと見せるかのように

「本当はしたくて来たんでしょ?」


「ッ!ち、ちがう、本当に真面目な話をしに来たんじゃ!」


「あっそぅ…」


由香は普通に座り始めたかと思いきや


「ひゃっ」


テーブルの下で足を伸ばし、イタズラしてきやがった


「あれ~?まじめな話をしに来たのにこっちは不真面目なんだね~」


「くっ…」


コイツ!やっぱり素直になってねえな、メスガキじゃねえか

あー、やばい。足裏きもちよすぎだろ…

的確にいいところを…


「ココアです」


オーナーがテーブルの上にココアの入ったカップを置いた

すると由香はイタズラをやめ、どっか行ってしまった

何しに来たんだよマジで


「店主さん、お芽狐さまからこの店の状況を聞きましたよ、今日は経営難から救うために来ました」


…神主ってこんなこと言う人だったっけ?


「はぁ…」

ほら、オーナーさんが困惑してるじゃないか


この後、神主は色んな事を喋ってた。わしには、難しくて理解できん

ココアを飲み終わってしまった、暇じゃの

由香のところに行ってみるか

「オーナーさんや、由香はどこにいるんじゃ?」

「多分、2階の奥から2番目の部屋にいると思いますよ」

「わかったー」


2階に行って、奥から2番目の部屋…ここか

「由香ー、暇じゃからなんか遊ばないかー、開けるぞ~」

ガチャリンコ

ドアを開けるとそこには由香が机の前にいた

「何をしてるのじゃ?」

「わっ!」

わしの声に由香はめっちゃびっくりしてた

「ななななに、ああけるときはノックぐらいして!」

「開ける前に一言言ったんじゃが…」

「ノックもして!」

「はいはい、わかりましたよ」

由香は顔を紅潮させ(息も荒かったような気が…)、ベッドの中に潜ってしまった


…ん?なんか机の角が濡れてる?気のせいか?

「なあ、由香。机の角が濡れているような気がするのじゃが…」

「!!!わー!わー!わー!これ以上何も言うな!」


…そっとしとくか


わしは持っていたハンカチで机の角を拭い、部屋を後にした

あれ、もうすることがなくなってしまった

もう天井のシミ数えるしかなくなってきたぞ


…「お芽狐さま帰りますよー」

神主の声が聞こえた。キリがいいな、ちょうど天井のシミを数え終わったところじゃ

「ねえ」

「おん?」

声のする方を見ると由香がいた

「あのこと…絶対に言わないで」

「?なんじゃ?あのことって?」

「…知らないなら、別にいいや…」

「…あ、そうだ。誰を思って致していたんじゃ?」

正直このメスガキに散々辱めを受けたから少しくらい揶揄ってもいいじゃろ

「~~~!!」

由香は顔を真っ赤にして言葉に表せられない声を発した。

「ぐへへ、このわしが知らんとでも思っておったのか?部屋の状態や由香の様子で一目瞭然じゃ。この歳で、こういう事を覚えおったかのー。ませておるの~。ぐへh」

ベチッ

痛ってぇな、こいつビンタしやがったぞ

「おい!何するn」

バタン!

由香は勢いよくドアを閉めていった。


「何をしてるんですか。早く帰りますよ」

神主は2階まで行き、わしの腕を引いていった

「う、うん」

「オーナーとはどんな話をしてたんじゃ?」

「沢山話しましたね。財政状態、経営成績、店内の構造、設備、この店のサービスなどなど」

うーん、何を言ってるのか全然わからん

「そうか」

「はい、言いたいことは全部言ったので、あとは店主さんの決断次第です、正直初対面の人が言った事を信じてくれるかどうかという所が不安ではありますけど」

「多分、信じてもらえるじゃないか?だって、信じてなかったら、店の財政云々とか教えてくれんじゃろ」

「確かにそうですね」

「成るように成るじゃろ」

「…はい」

こうして、わしらは家に帰った。

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