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【ホラー 怪異】

影鬼

作者: 小雨川蛙
掲載日:2024/10/16

 

 鬼ごっこをしていた。

 皆と。


 陽が落ちて来た。

 だから、一人、また一人とおうちへ帰った。


 でも、僕はまだ遊びたかった。

 だから、鬼ごっこを続けた。


 僕のお母さんが僕を呼んだ。

 だから、足を止めて僕は振り返った。


 だけど、君が言った。

「鬼さんこちら。手の鳴る方へ」


 だから、僕は君を追いかけた。

 君を鬼にしてから僕は帰るつもりだった。


 だけど、君は早かった。

「鬼さんこちら。手の鳴る方へ」


 だから、僕は君を追いかけ続けた。

 お母さんの声を無視して。


 君は早かった。

 だけど、僕の方が早かったから僕は君を捕まえた。


「はい。次は君が鬼」

 僕がそう言うと、君は僕を見て笑った。


「うん。ありがとう」


 僕は振り返ってお母さんの所に戻った。

 だけど、そこには何故か既に君が居た。


 君は僕のお母さんと手を繋いで帰っていた。

 だから、僕は驚いてお母さんを呼んだけど、お母さんは僕の声に気づかなかった。


 だから、僕は君を追いかけた。

 だけど、僕は君に追いつくことが出来なかった。


 君が言った。

「お母さん。影が伸びてるよ」


「そうね。こんなに遅くになるまで遊んじゃって」

 そう言って、お母さんが僕にするように君を軽く叩いた。


「一人きりで遊んで迷子になっちゃったらどうするの」

「ごめんなさい。お母さん。だけど」


 君が振り返って言った。

「影があるから独りじゃないよ」


 その時、僕は君の顔を見た。

 だから、何が起きたか分かった。


 だって、君の顔は僕の顔だったから。


 僕は君の影だったのだろうか。

 それとも、僕の影だった君が僕に成り代わったのだろうか。


 混乱し続ける僕に君は小気味が良いほどに腹立たしい声で言った。

「鬼さんこちら。手の鳴る方へ」


 僕は何も分からないまま君の影をついて歩くしかなかった。


 永遠に。


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