3 勇気の気持ち
麻美の手作り弁当の試食と、恋愛相談を続けて1週間経った頃、麻美が風邪をひいて休んだ。
「おはよう!龍二。麻美熱出したって。おばさんが言ってた。」
「そうなのか?風邪か?」
「そうみたいだよ?帰りにお見舞い行こうか?」
「そうだな、何か買ってってやるか。」
放課後になり、麻美の家に向かう。
「なぁ、勇気。お前彼女とか作らねぇの?」
麻美から恋愛相談受けてるからな…。少し探りを入れてみようか。
「珍しいね?初めてじゃない?龍二が恋愛関係の話するなんてさ。」
「まぁ、高校生だしな。勇気はモテるだろ?ちょっと気になってな。」
「そうだね、欲しいっちゃ欲しいけど。でも今はいいかな。」
「何かあるのか?」
「何かあるってワケじゃないけど、今誰かと付き合うと僕を慕ってくれてる女の子たちが悲しむでしょ?」
「はぁ?」
「いや、誰かを選ぶと誰かが悲しむから。皆には悲しんで欲しくないんだ。」
コイツは何を言ってるんだ?
「でも、もし付き合うとしたら、麻美かな?今はちょっと無理だけど。」
なんだよそれ!馬鹿にしてんのか?
……いや、コイツは本気でそう思ってるな。
それじゃ麻美は……。麻美の為にも言うべきか?麻美と向き合えと。
本気で麻美と向き合って、本気で付き合ってやれと。麻美もお前の事が好きなんだ、と。
……言うべきなのか?言ったら麻美と勇気は付き合うのか?麻美はそれで幸せなのか?
付き合ったら……俺は……。
「そう言う龍二はどうなのさ?好きな子とかいないの?」
「俺は……
今は興味ない。」
言えなかった。何も。