2 麻美の手作り弁当
「出来ればこれから私の恋愛相談も乗ってくれると嬉しいな!」
そう言って麻美は帰っていった。
俺はと言えば、感情を表に出さないようにするので精一杯だった。
取り敢えずは勇気のおかずの好みを伝えた。麻美もある程度は把握していたが。
あ~、キッツイな。明日から麻美の手作りの弁当を食えるとはいえ、勇気の為だもんな。
恋愛相談?俺にするのか?俺はどうすりゃいいんだ?
麻美が勇気を好きなのは何となくわかってはいた。
わかってはいたが、やはり直接決定的なことを言われると凹む。
更に恋愛相談…。耐えられるか?
ショックを受けていた俺は、話の流れで了承してしまった。
翌日から早速麻美は弁当を渡してきた。
「夜にお弁当箱取りに行くからその時感想聞かせてね!」
はぁ…。俺と勇気の食の好みって結構違うんだよなぁ…。
勇気は魚が好きで、俺は肉が好きだ。
弁当を開けてみた。サバの塩焼き、野菜炒め、ほうれん草の胡麻和え、サラダ。
俺はもっと肉肉しいものが好みだ。まぁ、食えなくはないけど。
普通に美味いな。ただ味付けがちょっと濃いか。勇気は薄味が好みだからな。
夜になると、麻美が家にやって来た。
「どうだったかな?不味くはなかった?」
「いや、普通に美味かった。けど塩味がちょっと強かったかなと思う。俺はちょうどいいけど、勇気は薄味が好みだろ?」
「あ~、そうだね。ウチでいつも作る味付けにしちゃった…。ありがとう!参考になるよ!」
「俺もタダメシ食えるから、文句はねぇよ。」
「そう言ってくれると助かるよ!それでね?相談なんだけど…。」
うわぁ、恋愛相談か?キツイって…。
「お弁当作戦を始めてから反応を見て告白しようと思ってるんだけど、龍くんから見てどうかな?」
「どうって?」
「その…脈アリかな?それともナシかな?」
うーん、勇気と恋愛関係の話なんてしないからな…。
「悪ぃ、ソッチ系の話は勇気としたことねぇからわかんねぇな…。」
「そっかぁ…。これから私が頑張るしかないかぁ…。でもライバル多いんだよねぇ…。」
「まぁ何かしらのアプローチしていくしかねぇだろ?」
「そうだよね、何もしなかったら負けちゃうもんね!ありがとう、やる気出た!」
「いや、碌なアドバイス出来なくて悪いな。」
「そんなことないよ!これからもよろしくね!」
そう言って、麻美は帰っていった。
やる気出させてどうすんだ、俺。