1 二人の幼馴染
短いです。
俺の名前は武田龍二。高校2年生。
朝7時半の空気は冷たい。今俺は一緒に登校する幼馴染を待っている。
「おはよう!龍くん!相変わらず朝強いね!」
挨拶をしてきたのは、同い年の幼馴染、杉崎麻美。
成績はそこそこ、容姿端麗、明るい性格の学校の人気者だ。
「ごめん、遅くなっちゃった!龍二はいつも早いね。」
麻美と一緒にやって来たのは、やはり同い年の幼馴染の、浅井勇気。
勉強はあまりしないのに、成績優秀、容姿はどちらかというと可愛いタイプのイケメンだ。
性格は良く言えば優しい、悪く言えば気が弱い、そんな感じだ。
「俺が朝早いのは毎日トレーニングしてるからな!勇気もやるか?」
俺は幼い頃からキックボクシングをやっている。
強くなることに憧れ、たまたま近所にキックのジムがあったから、通い始めたのがきっかけだ。
「僕には無理だよ~、朝起きれないし。」
「そうだよね!私が毎日起こしに行かないと起きれないもんね~?」
「ははっ、いつも感謝してますよ~。」
いつものやりとりをしながら、学校への道を歩く。
学校に着くと、2人はクラスメイト達に囲まれる。
「おはよう!勇気くん!今日も可愛いね!」
「勇気くん!今日お昼一緒に食べない?」
「勇気くん!昨日は一緒にゲームして楽しかったね!」
主に勇気狙いの女子に。
「勇くん、昨日ゲームしてたの?私も誘ってよ~。」
そして、その輪の中に麻美もいる。
「チッ!浅井の奴、毎日ハーレムごっこしやがってよ~、龍二は何も思わんの?」
「あぁ、いつもの事だしな。」
「心が広いね~。俺なんか朝からムカムカしてきたわ。」
「幼馴染だからな。慣れた。」
そう、昔から勇気は女子に人気がある。
そんなある日、夜、麻美が家にやって来た。
「龍くん、相談があるの。あのね、私、勇くんが好きなの。でも、勇くんいつも女の子に囲まれてるでしょ?
一歩リードするために、勇くんにお弁当を作ろうと思うの。でもいきなり勇くんに渡すのもちょっとなって思って。
だからまずは、龍くんに試食してもらって感想を聞かせて欲しいの。それで自信がついたら勇くんに食べてもらいたいなって。」
そりゃねぇよ、俺だって麻美の事ずっと好きだったのに。