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機能しない現実  作者: ダイナマイト山村
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3次元になると高さが手に入る。無重力になるってことは高さを失う、あるいはその先の次元なんじゃないのって投稿直前に思ったけれどそんなことはないでしょう。

 シンプルな暴力に抗うすべがあるか。


自然界に生きる生物すべてが抱える問題。


それは単体でも、集団でも同じである。


強いものがすべてを理不尽に支配する。いや。


支配するものが支配するものであり、それを理不尽とすること自体がもはや理不尽であり得る。


強いものが弱いものを蹂躙することにNOを突き付けることは、水が高いところから低いところへ落ちることにNOを突き付けることと同じではないか。




 理不尽さはどこから生まれる。


理不尽という感情はどこから湧き上がる。


人はいつから理不尽を気にし始めたのか。


世界は平等でも公平でもない。


強き者たちがほんの慰みに温情をかけるだけである。


それは不確かで気まぐれで圧倒的に恣意的だ。


倫理・法律・ルールがある。


それは誰が決めた。


なぜお前が決めていない。


決められない。


決めているものと縛られるものの違いは。


決められたことは守られているか。




 決定的に虐げられたことのないものの無価値な主張でどう戦う。


正しいことは何の力も持たない。


正しいことを認めることでメリットがあるかどうか。


正しいことを認めないことでデメリットがあるかどうか。


どれだけ完全無欠な正しさを披歴したところで意味などない。




 理想は理想。


理想として存在するのに、架空のものとしてしか想像できない人類。


それを機能させることができない人間に未来はない。




 機能しない現実。


暴力を身につけるか。暴力を無効化するか。


滅ぶ前に選べ。




対話する知恵か。


生存する生命か。




理を知れ。


理から離れたくば、理をつくれ。




そして。




理たれ。








-檜山良-






 サムライ。


日本の身分の一つ。武士。


それは、日本有史の中でもシンプルなベスト計画の一つであった。


武力強化。身体鍛錬。


一時は国全体の政治を取り仕切る最高権力たり得たほどの組織体系を有する一大勢力。


歴史舞台から姿を消した後も研究は進められた。




 求道のため様々に生まれた流派を横断し、様々な戦闘データを収集、分析した。


婿入りや養子、嫁入り、勢力結婚なども、原始的な遺伝子操作の一つともいわれる。




 近年になって様々なベスト計画が集約を始めたことで、それぞれの計画も飛躍的に進歩した。


しかし、サムライ計画は急速に終焉を迎えた。




 2015年。計画素体の201~209の9体がバイオテクノロジーの強化血清に決定的な不備があり、ほぼ全滅した。


リョウジが言うにはそれは明らかな故意の事故である。




 「通常で考えても9つの実験体があるならば、同時に血清実験をすることの異常さが分かるだろう」


ミルコも確かにとは思う。


それに世紀をまたいでの一大計画でそんな単純なミスで全滅。


いや、むしろ世紀の絶滅というのは意外とそういう些細なことなのかもしれないとも同時に感じていた。


「お前はサムライ計画のなんなんだ」


核心に踏み込む音。リョウジは答えない。


いや。


「敵襲の音かい」ミルコは叫ぶ。


賢者の石を狙っている。


「いや、すでに戦闘が始まっている」


リョウジが制する。




 しかし、二人が目撃したのは戦闘と呼ぶにはあまりにもお粗末で、一方的なものだった。


虐殺。


その二字のほうがしっくりとくる惨劇だった。




 殺害者と目が合う。




 ミルコは恐れている。

ありがとうございます。

説明ばっかり。

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