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暗殺ギルド

 私、アンは仲間を裏切った。

 その結果、本来の目標であったプリンセスの捕縛を遂行、現在に至る。

 そう、私は最初から、プリンセスを捕らえるために、彼女らに同行していたのだ。

 暗殺ギルドには逆らえなかった。

 だから私には、そうするしかなかった。

 私の体には「アレ」が埋め込まれているから。


 私達、暗殺ギルドのメンバーは、捕らえたプリンセスとスノウを並べた。


 ここはボスの部屋。

 プリンセスを捕らえた祝杯を挙げるために、メンバーが集められたのだ。


 ボスは身長二メートルはある、筋肉質な巨漢。

 彼はのしのしと床を揺らしながら、プリンセスに歩み寄った。

 そして、彼女の顎を掴み、自らの顔に近付けた。


「ほう、あんたがプリンセスか……。

 なかなかいい女じゃねえか。

 それに、乳もデカいしな!」


 部屋を囲むように並んだメンバーが、下卑た笑い声をあげる。

 私は、こんな暗殺ギルドの雰囲気が大嫌いだった。


「ボス! プリンセスには手を出さない約束では?」


 私は、仲間が虐げられる姿を見て、思わず声を上げてしまった。

 

 仲間……か。

 そっか、プリンセス達が捕らえられているのは、私のせいだ。

 もう、みんなの仲間では……ない……。

 

 でも、許せなかった。

 私の仲間に手を出されるのは。


 ボスは私の声に、いかにも苛立っている声を返した。


 これはグランソルム王国からの依頼。

 故に、プリンセスに傷をつけることは許されない。


「ああ? わかってるよ。

『プリンセスは無傷で返せ』って言われてなきゃ、今夜は最高な夜だったのになぁ。

 アン、お前を代わりにしてやってもいいんだぜ?」


 私は、嫌悪感と恐怖感で、声を出せなかった。

 私は、自分が汚れるのが嫌だからだ。

 私の純潔を守るためなら、人を殺すのも厭わない。


「女を道具としか考えていないのですね。

 恥を知りなさい!」


 プリンセスの怒号が、響き渡る。

 こんな状況でも臆せずいられるのは、やはりプリンセスとしての器の表れか。


「は! ご自分の立場をわきまえたらいかがですかね、プリンセス?」


 ボスは、プリンセスの顎を握る力を、ぐっと強めてから、強引に放した。

 その視線は、今度はスノウに向けられる。


「まあいい。

 俺達には、好きに汚せる女が出来たんだからな!」


 スノウは、その言葉の意味が分かっていない様子だった。


「ボス! その子はまだ子供です!」


 確かに、今回の依頼で傷を付けてはいけないのはプリンセスだけだ。

 でも……だからって、スノウがその代わりになる必要なんかない。


「ああわかってるよ。

 俺も、ボインボインの姉ちゃんじゃないとやる気にならねえしな」


 ボスは「でも」と続け、舌なめずりをした。


「こういう子供が好きってやつもいる。

 そういうやつには、高く売れるだろうなぁ。

 そうすりゃ、いい女を買う金も手に入る」


 スノウ……ごめん……。

 私の力じゃ、スノウを救うことはできない。

 でも、暗殺ギルドに逆らうこともできなかった。


 私の力が、足りないばっかりに。

 私なんかが、助けを求めてはいけない。

 私は、仲間を裏切ったんだから。

 でも……でも……。


 助けて……フェル……!

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