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そのころ、パーティクラッシャー達は2

 ダンジョンの奥地で傷を負い、行動不能になっていた俺達。

 もうだめかと思っていたが、偶然通りかかった別のパーティによって救出された。

 どうやら、俺達の悪運はまだ尽きていなかったようだ。


 最前線の拠点に戻った後、そのパーティの僧侶に治療をお願いしたが、どういうわけか断られてしまった。

 金貨三枚出せば治療をしてやると言われたのだ。

 いくら別のパーティだからって、そんな横暴は許されるはずがない。

 俺達は、静かな怒りに震えていた。


 姫以外の俺達三人は、一つの病室に叩きこまれ、ギルドによる治療を受けていた。

 ギルドの医者は、基本的に魔法を習得していない。

 仕方なく俺達は、傷が自然に癒えるのを待っていた。


 幸い、姫は魔力が回復するたびに、回復魔法をかけてくれたので、治りが早い。

 自分の魔力量に見合わない傷を負っても見捨てない、流石は姫だ。


「はい、これで傷は癒えたよ。

 まあ様子見の為に、もう少しここにいてね」


 初老の医者は、包帯を外しながら、俺に淡々と告げた。

 トラとタラはまだ傷が癒えていないらしく、全身が包帯で包まれている。


 医者が出て行ったあと、何者かが病室のドアをノックした。


「はい」


 ドアの向こうから聞こえたのは、懐かしい声だった。


「バルラだ。入ってもいいかい?」

「バルラ!?

 戻ってきたのか!?」


 バルラは俺達が中級パーティだった頃から、度々一緒に冒険していた冒険者だ。

 今は最前線を離れ、別の場所で超高難易度ダンジョンに挑んでいると聞いていたが……。


 俺達はバルラを部屋の中に招いた。

 俺は、いまだ動けないトラとタラのベッドの間に椅子を用意し、バルラを座らせた。

 次いで、俺も椅子に座る。


「久しぶりだね、ムラン。

 大けがをしたっていうから、急いで飛んできたんだが……元気そうでよかった」

「あんなもん、ケガのうちに入らん。

 うちには優秀なヒーラーもいるしな」


 バルラは俺達を見て苦笑した。

 いや、嗤ったのか?


 なんだか今日のバルラは、俺達の知る彼とは違う気がした。


「病人の前で長話するのも悪いからね、単刀直入に訊こう。

 ムラン、フェルをどこにやった?」


 フェル?

 そんなもの、役に立たないから追い出したに決まっている。

 バルラはわざわざそんなことを聞きに来たのか?


「あいつは、バッファーとしての仕事をサボってたんですよ、だから俺達が追い出したってわけです」


 包帯にまかれ、どっちがどっちか判別できないトラが、そう言う。

 その反対側で、恐らくタラと思われる包帯ぐるぐるの人間が、何度もうなずいた。


「君達……それ、本気で言っているのかい?」


 本気も本気、大マジだ。

 大体、仕事をしない奴を追い出して何が悪い。


「君達の悪評は僕の下まで届いたよ、色香に惑わされて、大黒柱を折ったパーティがいるってね」

「悪評? 悪いが、仕事をしていない奴を追い出して、何故悪評が立つのか気になるな」


 バルラはそんな俺達を、鋭い瞳で見つめてきた。

 まるで、心臓を突き刺すような、抜身の刃物のような瞳で。


「君達に訊くが、フェルは本当にバフをサボってたと思っているのかい?

 僕には、彼がそんなことをするような人間には見えなかったんだが」

「悪い奴は、いい奴の皮をかぶっているもんだ。なあ、トラ、タラ」


 トラとタラは、ぶんぶんと頷く。


「僕には君達が、フェルが悪い奴だったと思い込んでいるように見えるね。

 誰かを、自分たちの仲間にしておくために」

「思い込み? 事実だ」


 バルラはそんな話をしに来たのか?

 俺達パーティが誰を追放しようが、俺達の勝手じゃないか?


「冒険者ギルドの構成員は、ギルドから一定の支援を得られる。

 だけど、パーティ間の繋がりは、信頼によって左右される。

 君達は、フェルという大事なメンバーを一方的に追い出したことで、他のパーティからも見限られてしまっているんだ」


 そんな……バカな……。

 じゃあ、俺が頼んでも、他のパーティの僧侶が治療してくれなかったのは……。

 ありえない、フェルがサボっていたのは事実なんだ。


「そこでだ、ムラン。

 ギルドの構成員としてではなく、一人の友人として言わせてくれ」


 バルラは一度、小さく息を吐いた。

 そして俺達の目を、真っ直ぐ見つめてこう言った。


「君達は、最前線から降りるべきだ。

 君達の実力では、次の探索で命を落としても不思議じゃない」

「バルラ……何を言っているんだ……?」


 俺達が死ぬ……?

 冗談じゃない。

 俺達はトップクラスパーティ、Sランクのさらに上だ。

 そんな俺達が、簡単に死ぬはずがない。


 だがバルラは、何度でも同じことを言ってきた。

 嫌がらせか……違う。

 本気で心配していると見てよさそうだ。


「バルラ……お前の思いは伝わった。

 だがなぜだ? なぜ俺達をそこまで心配する?」

「君達の強さは、フェルが中心にいてこそだったからだ」


 俺達が、フェルを頼っていた……。

 バカを言うな。

 奴は俺達にバフをかけていただけ、そのバフすらも、最近はサボっていた。

 そんなフェルが、俺達の中心?


「フェルが中心?

 奴は俺達パーティに寄生していた寄生虫だぞ!

 バフもまともにかけず、ただ後ろをついてくるだけだった!」

「では、本当にフェルが不要だったと言えるのかい?

 常にバフをかけさせ、周囲を警戒させ、時にはタンク、アタッカーまで兼任させた。

 僕には君達パーティは、フェルで回っていたように見えていたけどね」


 た、確かに、他の職業を兼任させることもあった。

 だが――。


 その反論を聞く前に、バルラは席を立っていた。


「僕も友人を失いたくはない。

 冷静に考えてみてくれ、今の君達に、何が必要なのか。

 もし足りないものを補うつもりがないのなら、最前線を降りるんだ、いいね」


 バルラは俺達の返答を待たず、早々に退室していった。

 俺達に足りないもの……それは、フェルだとでも言いたいのか、バルラ……。

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