魔王からは逃げられない 3
「魔王陛下、弁護士の森先生がお見えになりました」
秘書が来訪の報告と面会の許可を求めてきた。
「とうしてくれ」
ドアが開き、森が入室してくる ドアを閉じると森は右手を胸にあて深くお辞儀する 魔族の礼節にしたがった挨拶を行った。
ここは、札幌市内の大通公園に面したビルにある魔王国国王執務室
森は魔人王の執務机の前に直立不動の体制で報告する。
「陛下、訴状の準備 被害の証拠など 準備が整いました あと 勇者1名については確定したと報告が有りましたら 他3名についても かなり絞り込む事ができております 確定した勇者一名を確保し訴訟に入ってもよろしいでしょうか?」
「確定した勇者については、情報を日本の捜査本部にリークし手柄となるよう手配せよ、その後 捜査本部が確定させた後に、順次 訴訟 裁判に持ち込むように 特に裁判は情報公開し時間を掛けて丁寧にしてくれ」
「畏まりました。陛下のお望みなられる内容 結果となるように尽力いたします。」
「森、息子は健やかか?」
「はい、陛下より下賜していただきました 魔法薬により回復し元気にしております」
森は笑顔をたたえ返事した。
魔人王は 優しく安堵の顔をし
「よかった・・・・では、任務を遂行せよ」
森は深くお辞儀し執務室を退室した。
「陛下よかったのですか? あのような書生ごときに貴重なエリクサーを与えて」
「ん、この国の法律の専門家がエリクサー1本で高い忠誠が得られるなら お得だと思ったが」
「そうですか? すでに日本国の首相から陛下が望まれる結果になるように、すでに法曹界には根回しは完了したと報告が来ていたはずですが」
「マッチポンプ・・・・出来レース・・・・結果の分かった勝負か、まあ 裁判の結果は見せしめだらな、しかし 今後の計画を考えれば この世界の人間に異世界だから何をしても責任がないと考えられると大変だからな。」
警視庁 (異世界大量虐殺捜査本部)
全国から集った200名からなる捜査官が会議室に集められていた。
「なあ、刑事告訴も被害届も出されてないんだろう、しかも民事で争うような事言ってなかったか? なら俺達が捜査するのは民事不介入の原則に抵触してるだろう」
「この件な、内容は大量殺人だろ それを民事だけで終わらすと問題あると 上の方が判断したそうだ もちろん上って想像以上の上だ 国家クラスの問題だそうだ 実際すでに内閣調査室や自衛隊の特殊部隊が超法規規定で動いてる それどころか他国の情報機関も動いてるってよ」
「それなら なおさら警察が動く事無いんじゃないんですか?」
「フー、上の方が考えてるのは そこが問題じゃないようだ もし 民事で魔王が負けたらどうなるとと思う?」
「それは、刑法の問題でしよ 異世界の知的生命体に被害を与えたからと言って 法的責任をこの国の法律で解決しようとするのは無理な気がしますが?」
「じゃ、あの魔王と魔人と言われる連中が、暴れても刑事も民事も責任もないいのか?」
「それは、逮捕できたら法廷に・・・・・」
「こちらの人間が向こうの世界で行った行為に法的責任がないのに 異世界の知的生命がこちらの世界で行った行為に法的責任を取らせられるのか」
「それは」
「まあ、国の外交が絡む問題だ 向こうの世界と何らかの地位についての条約を締結しないと えらいことになるが 問題はすでに こちらの人間が問題を起こしていて 何も条約がない事だ」
「それじゃ あの魔王はあちらの世界でのことが法的責任がなければ、条約の無い事をいいことに 何かしようとしているって事ですか?」
「いや多分、俺の考えだが・・・ この世界の人間に対しての問いかけだと思っている」
二人の捜査官は言葉を止めると、立ち上がり背筋を伸ばし敬礼をした いや 200名の捜査官が一斉に立ち上がり同じように敬礼した。
会議室の前方のドアが開き、警察庁の幹部が多数入って来たのだ。
映像が流される。
街が燃え 人が燃える
流血が大地を満たしている
無慈悲に楽しそうに剣や槍で笑いながら
4人の日本人が、無双している
子供も年寄りも 男も女も関係なく
助けるを求める声が 悲鳴が流れる
悲惨で救いのない映像は終わらない。
静寂な会議室に多数の捜査官達の嗚咽が・・・・・
映像が終わり、一人の捜査官が質問する
「なぜ、彼らは日本語をはなしているのですか・・・・」
「それは、今後の調査結果待ちだが・・・・・提供された物には、他の街と思われる映像があり 多数の言語が確認されている」