魔王からは逃げられない 1
その日、動画配信サイトを通じて世界同時ライブ配信が行われた。
ひと月前から、政府より重要な発表がこの動画サイトにて行われると、連日あらゆる報道機関を通じて行なわれていた、前日には首相が明日の動画サイトでの発表を全国民が見るように会見が行われた また 世界中の首脳陣が自国民に向け同じ内容で会見を行ったと、報道機関は伝えた。
日本では深夜1時にそのライブ配信が始まった。
「私の名前はスタン マシス、 私はこの世界とは別の世界で魔人国の王 魔人王をしております。」
そこに、映ったのは 淡い青色の髪 赤い瞳の優し気な青年。
「私たちの世界で、今から20年前 父である前魔王と魔族の民20万がこの世界から召喚された勇者と言われる4名の人間により虐殺されました」
魔人王を名乗る 優し気な青年の顔が悲しげに目線を落とす
「私は、その4名を見つけ出して魔族の受けた被害にたいして、民事訴訟をする為にこの世界にやってまいりました」
目線を上げ決意の籠る眼がモニターから全ての視聴者を射抜く
「我々 魔人族はこの世界の人族との友好的な関係を望んでおりますが、だからと言って我々魔人族が受けた被害に対して無かった事にするわけには行きません 責任を取ってもらうのは当然と考えております ただ 4人の個人が賠償できる物など被害に対しては微々たるものでしょうが・・・・しかし、沢山の村や町を壊滅され、沢山の民を虐殺され そして 父を家族を殺された・・・・・ 私は どのような形であろうと責任を明確にし罪を償っていただきたい・・・・・・・」
後半の言葉と共に 決意の籠った目から涙が溢れ言葉が途切れた。
画面が魔人王から、この国の首相に変わる
「我々 政府 いえ 国連において すでに 2か月前より魔人国より来訪の報告が国連になされ 来訪の目的など話し合いは始まっており 魔人国との関係について各条約などの署名が国連の決議のもと達成され、これにより魔人国は国連加盟国各国から国家として承認 これより各国との個別の外交交渉の開始にあたり国民の皆さんに発表となりました。 そして 我が国は・・・・・・魔人国支援の為に・・・・北海道を魔人国に割譲いたしました。」
首相は苦渋に満ちた声色と顔で発表を続いていく
「これは、国連および魔人国から要請により決定したしました、すでに魔人国の皆さんがこちらに来るための次元間ゲートの位置が北海道に開かれた事による要望でありました、また ゲートの解放によりゲートより魔力が漏れだし 魔物発生が予想され 我が国にては統治は不可能であると結論に至ったためです、すでに一ヶ月前より 北海道には 政府より戒厳令を発布し 魔人国に全権委任が行われています 魔物発生による危険から道民全てが安全暮らせるよう各町の城塞化が進行中です また自衛隊の派遣 国連より要請で国連軍が派遣され防衛体制はすでに確立にいたっております。またこの件については、世界中のマスコミ各社の協力の元 情報封鎖を行っていたことに対し 国民の皆さんには謝罪いたします」
首相は、深く頭を下げた
「そして、この私からの発表をもち 魔人国に北海道の領有権とともに地球魔人国誕生となります」
首相の顔は厳しい顔がさらに深くなりなり
「そして、さらに魔人国の支援として魔人国にて虐殺を行った勇者と言われる4名の捜索を開始いたします、その4名は魔人国の調査にて、我が国の首都 東京から転移した事が判明しており、この世界の時間で1年前に転移し そして その3日後にはこの世界に帰還しているとの事です 男性3名 女性1名 年齢 15歳から20歳であるとの事です また 更なる詳細については後日 捜査本部開設後発表をいたします また 現在 魔人国と我が国で刑事告訴についても検討されていますが こちらも今後の発表をお待ち下さい」
何が、民事訴訟だ・・・・刑事告訴だ・・・ 俺たちは 人類の敵 魔王と魔族を命令されて倒しただけだ。