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むげん
いつもランドセルを羽のように操る
髪の細長いキミを
誰かの呼びかけを
スルーしながら背泳ぎで追っていた
ようやく花開いた桜が
降水確率80%に怯える
一番歪な
どうでもいいような
卒業アルバムの筒が
爆薬に見えている
死屍累々と夥しい花びらの床
君が踏みながら
始めて近づくことができそうな
それでいて遠い言葉が贈られて
僕はさりげなさそうに無視した
僕の羽が何なのか
考え続けなければ
考え続けなければならない
白いシャツが白鳥となり
木々の群れが再び怯えるところを
確認するまでには
毛深い月が変化球を
投げ込み存在をあやふやにする
ウサギの刃がTOKYOを写す
従う言葉を置き去りに
僕の髪が何ミリか
計り続けなければ
計り続けなければならない
水に溺れた大切な本が
しわがれて遺言を遺すところで
泣きながら頷くまで