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先端の尖った荒野  作者: ふじりゅう
2/5

腐ったこーひー店

窓辺の白い靄に似た雨が

都の煌びやかな二酸化炭素へ憧れて

ぽつりぽつりと呟くように

私の廃墟へ響き渡る


ここは

「腐ったこーひー店」

店全体が

そろそろ偲びあるく

煙草の煙に抱かれて

私もみなと同様に

命を啜るように、コーヒーを


新聞の日付は確かに本日であるが

とても本日とは感じられない

薄汚い未来都市の情勢を

閉じると

誰一人として

何かを読んだり/聴いたり/など

せずに

五感全てを使って店内を飲み込んでいる


なるほど


カップに鈍く光る、光

の、訳をうすぼんやりと知った

腐ったこーひー店とは、

また、言いえて妙なものだ

ここに、枯山水のマニュアルがないのと同じことだ


偽物の毒をばら撒くように

マスターが店内を見渡す

いつのまにか

羽虫が寄ってたかるほど外は眩しい夕暮れ

来客たちは全てを許容するように

コーヒーの墓標へ手を合わせている


煙草を一本吸う

ちらちらと生命活動が失われる

夕闇に浮かぶ戦艦のように

翌日午前7時がほの見える

良い時間となったとのこと

一口場残ったコーヒーの黒い水面に

反射して突き刺してくる光

を飲み干す

私も手を合わせる

既に瞳の閉じられた室外の地球へ出ると

雨の亡骸だらけだ

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