スだよ
「カガミさん、初めまして」
目を開けるとそこには美しい女性がたっていた。
褐色肌で背が高く。更に言うと胸もある。
「は、初めまして!!!」
くっ、俺としたことが、テンパって少しおかしなテンションになっちまったぜ。
「うふふ、お元気ですね」
「は、はい!!」
「これより地獄の案内をさせて頂きます。鬼子と申します。よろしくお願いしますね、カガミさん」
「よろしくお願いします!!って、鬼???」
「えぇ」
鬼子さんが髪の毛をかきあげる。その仕草はとても妖艶で視線がぁ、引き込まれるぅ。
と、そこには角?のようなものが生えていた。
「ほ、本物です??」
「本物ですよ。触ってみます?」
「は、はい!!」
触るとさながら動物の角のようだ。
「あ、あの、触られてる感覚とかあるんですか?」
「残念ながらほぼないですよ。だからいくら触って頂いても大丈夫ですよ」
「また後で触らせてください!」
「ええ、かまいませんよ。では、そろそろ行きましょうか」
「ど、どこに行くんですか?」
「あ、これからの予定を説明致しますね。まずは地獄の門番である、とある三姉妹を尋ねます。その後に、この地獄を仕切っている閻魔様にお会いして頂きます。それ以降に関しては閻魔様から説明があると思います」
「な、なるほど。とりあえずはその閻魔様に会ってからじゃないと分からないということですね...。あの、閻魔様怖いですか?」
「そんな怖いお方ではありませんので安心してください」
にっこりと笑いながら鬼子さんは言ってくれた。
可愛い。
とはいえ、嘘では無さそうだし一安心かな...?
「では早速三姉妹の元に向かいましょう」
「はい!!」
地獄ももしかしたら案外いい所なのかもなぁ。
もしかして、地獄ってある意味では異世界!?
そんなくだらないことを考えてるうちに目的地に着いたらしい。
騒がしい女の子の声が聞こえてくる。というか、話しかけられる。
「よぉ!てめぇが最近鉄骨に潰された可哀想なやつか???」
「可哀想とか言わないの!そんなこと言われるのが可哀想でしょ!!」
「2人とも...意味同じだとおも.....」
なんだろう...個性的な子達だな。
「この3人が地獄の門番ですよ。自己紹介くらい軽くして頂きましょう」
鬼子さんが3人に自己紹介を促す。
「じゃあ!俺からだな!!俺は次女のベロだ!よろしくな可哀想なやつ!」
俺っ子、かわいい。しかも犬耳。異世界ぽいなぁ。
でも、可哀想で押し切らないで...。惨めに思えてくるじゃん?ほら、なんか悲しくなってきたなぁ。
「だから可哀想って言うと可哀想でしょ?あ、私は長女のケルだよ!よろしくね!」
犬耳かわいい。
長女と言うだけあってそこそこちゃんとしてそうではあるが、可哀想はもうやめて?ね?
「僕は..三女の....ス.....だよ」
「ん??名前ちゃんと聞こえなかった、もう1回お願いしていい?」
「ん、いいよ...ス...だよ。よろしく」
「え?す?」
「うん、あってるよ。スだよ」
「す...」
ここで鬼子さんが纏めてくれる。
「名前を言っただけである程度の性格が伝わってきますよね。彼女たちが地獄の門番。長女のケル、二女のベロ、三女のスです」
ケルベロスなのは理解した。
でもさ
「ほんとにスなんですね、名前」
「ええ、何かおかしいですか??」
いや、おかしいかどうかならおかしいよ!!!明らかに!スって!かわいそうだよ!
「い、いえ」
「では自己紹介も終わりましたし、さっさと次に行きましょう」
「え、僕このまま入れるんです?」
「ええ、挨拶しましたしね」
意外とぉ、地獄の門番ゆるいんだなぁ。
そんなことを思いながら俺は閻魔様の元へむかう。