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救世の三姫  作者: 絶華 望(たちばな のぞむ)


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80.カイルVSルシフェル

 ルシフェルは、和国の陣の後方に潜んでいた。素戔嗚と熾天使が前面から仕掛けている間に、要塞の要であるカナタを殺すことが目的だった。

 和国と亜国の防御の要である要塞を解除し蹂躙する。そうする事で、一瞬でも救世の三姫であるミリアとイリアの注意をひければ素戔嗚がどちらかを倒すと確信していた。特にミリアの方は動揺しやすいと思っていた。

 魔力で勝る覇国の軍勢の攻撃を要塞無しで受けた場合、和国と亜国の軍は致命的な損害を被る。だから、ルシフェルは素戔嗚とミリアが戦闘を開始した直後に背後から一直線にカナタの元へ向かった。

 武装は、ミカエルが持っていた武器『裁きの剣』だった。魔力のストックは二十持って来た。翼を失っている分、魔力を多く使うだろうという熾天使達の気遣いだった。

 地上を走って要塞に向かっていると、要塞から一人の男が出て来た。それは、カイルだった。桜から借りた『月光』を鞘の『月蝕』から抜き放って下段に構えてルシフェルに向かっていった。

 ルシフェルも裁きの剣を抜き放ちトンボの構えでカイルに向かった。二人は交錯する一瞬でルシフェルは斬り降ろしをカイルは切り上げを放った。ルシフェルはそのまま攻撃を受け流してカイルをすり抜けるつもりだったが、カイルがそれを許さなかった。

 ルシフェルを剣ごと持ち上げ後方に押し返した。そして、そのまま追撃した。ルシフェルはカイルの攻撃を捌きつつ、突破を試みるがカイルは隙を見せなかった。互いに身体強化を行い。魔力を刻一刻と消費していた。

 魔力のストックはカイルが不利だった。五個しかもっていない。持久戦となればカイルは負ける。ルシフェルはそれを知っていたが、状況がそれを許さなかった。亜人の護国の四天王が、熾天使達を足止めしていたからだ。

 だから、ルシフェルは急いでいた。一刻も早くカイルを突破するか殺す必要があった。だが、カイルがそれを許さなかった。

 カイルにとってルシフェルは雪辱を果たしたい相手だった。前回は手も足も出なかった。だから、桜と手合わせを繰り返し鍛錬した。その結果、身体強化を行っているルシフェルと互角に戦えている。

 カイルはルシフェルに勝つつもりでいた。時間切れの引き分けなど望んでいなかった。だからこそ全力で戦う事にした。勝算もあった。

 先に仕掛けたのはルシフェルだった。接近戦では埒が明かないので距離を取っての魔法戦に移行した。

「光有れ」

 ルシフェルの声で無数の光の点がルシフェルの眼前に出現した。

「現れよ!水鏡みかがみ

 カイルの眼前に水で出来た円形の鏡が出現した。ルシフェルの無数の光の点から、カイル目掛けてレーザーが発射された。カイルは、そのレーザーを水鏡で反射した。反射したレーザーは、ルシフェルには当たらなかった。ルシフェルは反射される事も考慮して、自分には当たらない角度で撃っていた。

「水鏡よ!礫となりて敵を穿て!」

 カイルは水鏡を変化させて攻撃魔法に転じた。小さな水滴となった水鏡から無数の水の矢が出現し、ルシフェルに殺到する。

「炎の壁」

 ルシフェルは即座に反撃を行った。青白い炎の壁が水の矢を蒸発させつつカイルに向かっていった。カイルは、魔法で応戦するのを止めて前進し炎の壁を下段に構えた月光で切上げ道を開いてルシフェルに肉薄した。

 ルシフェルは裁きの剣を大上段で構えてカイルを迎えた。ルシフェルの大上段からの袈裟切りを紙一重で躱し、炎の壁を切り上げた時に上段に構えていた月光で斬り降ろし、ルシフェルの剣ごと地面に縫い付けた。

 そして、カイルは月光を手放してルシフェルに正拳突きを放った。ルシフェルはカイルが武器を手放すとは思っていなかった為、反応が遅れた。そのせいで正拳突きをまともに喰らって吹っ飛んだ。

 カイルは吹っ飛んだルシフェルに追いつき、ルシフェルに静かに告げた。

「あの時、神の白金製の武器が無かったらお前は父さんに殺されていた。それを、証明する」

 その言葉を聞いてルシフェルは恐怖に囚われた。カイルは無手のまま技を放った。

「皇流拳闘術奥義!麒麟!」

 超高速で繰り出される抜き手の連撃をルシフェルは両手で捌こうとしたが、恐怖で上手く捌けなかった。結果、両手足を喪失した。

 ルシフェルは両手足を修復して、再びカイルに攻撃を仕掛けようとするが、体が動かなかった。カイに攻撃され、何とか生き残り必死に逃げたあの時の光景がフラッシュバックしていた。

「私の負けだ。カイの息子よ」

 ルシフェルは魔力のストックが残っていたが、戦う気力を失っていた。


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