表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救世の三姫  作者: 絶華 望(たちばな のぞむ)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/89

48.エナが戦う理由

 エナが生まれた時、父親と母親とお爺さんとお婆さんが居た。それは、幸せな家族だった。父の事で覚えている事は、大きな手と優しい声と優しい眼差しだった。

 エナが五歳の時、父は戦争に連れていかれ、そのまま帰ってこなかった。母は、その報告を聞いた時、泣かなかった。エナはその時、死を理解していなかった。ただ、大好きだった父がいつまでたっても帰ってこない事を寂しく思っていた。

 エナが九歳の時、母が死んだ。理由は過労だった。エナの為にろくに食わずに働いたせいで肺炎を患い、そのまま息を引き取った。

 その時、母に笑って生きるように言われた。エナは表面上は母の教え通りに生きていたが疑問を持った。なぜ、こんなに生活が苦しいのだろうかと……。その答えは祖父から教わった。大昔に覇人に負けたからだと。

 そして、十歳の時、年貢が納められなかった事で村人全員が虐殺された。その時、祖父が体を張って助けてくれた。そして、エナは桜に出会った。救世の三姫に……。

 桜は否定したがエナは確信していた。これから、和人解放の為の戦いが始まるのだと。だが、桜は戦いに積極的ではなかった。敵が来るたびに対話を試み、戦いを避けるようにしていた。

 最初は、桜が何のためにそれをしているの理解できなかった。でも、今は理解している。桜は誰も傷つけたくないのだ。相手の事も救おうとしている。そして、エナと村人たちを守る為にしている事だった。戦えばエナも村人たちも戦いに巻き込まれて死ぬ。

 桜が本気で戦えば村が消し飛ぶほどの衝撃波が発生する事を月読の授業で理解した。だから、桜は戦えないのだ。エナが村人が弱いから戦えないと理解していた。だから、エナは強くなった。桜の横に並び立って戦えるように……。

 準備は整った。後は、桜に自分の強さを証明するだけだ。そして、和人を苦しめる覇国を倒すのだ。


 エナの目の前には黒い影が居た。エナはその正体を知らない。だが、それは確実に存在していた。和人を苦しめる悪の親玉が居る事を確信していた。それを殺すのが自分の役割だと信じて疑わなかった。

 まだ、それには出会っていない。だが、ミカエルを倒した時、それはエナの前に現れると確信していた。だから、エナは今日も訓練を怠らない。いつか、そいつを殺す為に……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ