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救世の三姫  作者: 絶華 望(たちばな のぞむ)
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3.ある領主の命令

 桜が居た研究所から離れた場所に木造二階建ての洋館があった。そこは、領主の館だった。館の前には鉄の鎧を着こんだ兵士達五十人が整列していた。

 その兵士達は正規兵では無く。犯罪者だった。彼らの前には二十代後半の男が立っていた。貴族然とした服装に整った顔立ち、顎髭を伸ばした美丈夫だった。その男は領主だった。

 領主の隣には円筒形を組み合わせた機械人形が立っていた。背中には鋼鉄の翼が付いてる。その機械人形が声を発した。

「ミハエル様、準備が整いました。彼らに命令をお願いいたします」

 その声は、姿に似合わず女性らしかった。

「分かった」

 機械人形にミハエルと呼ばれた領主が答える。そして、兵士達に向かって命令を下した。

「これから、お前たちはプラントFに向かってもらう。目的は虐殺だ」

 ミハエルの言葉に兵士モドキがざわめく。

「犯罪者のお前達には願っても無い任務だろう」

 ミハエルの言葉に兵士モドキたちは邪悪な笑みを浮かべた。

「だが、和人が相手とは言え、いたずらに傷つけていたぶる事は禁止する」

 その言葉に、兵士モドキの一人が声を上げる。

「例えばどういうことです?」

「強姦、嗜虐趣味を満たすための傷害を禁止する。一撃で殺すことが条件だ」

「従わなかった場合は?」

「貴様たちが任務を行っている最中、隣にいる機人『天使千百四番』が監視を行う。命令違反者は直ちに処刑される」

 その言葉を聞いて、兵士モドキたちは生唾を飲み込んだ。

「俺達じゃなく、天使様を向かわせたら良いのでは?」

 先ほどの兵士がミハエルに提案した。

「確かに千百四番が対応するのが速いと思うが、村人は五十人ほどいる。一人で向かった場合、逃げられる可能性がある。だから、お前たちが向かうのだ」

「正規兵を向かわせれば良いのでは?」

「武装していない村人を殺すのに正規兵を向ける事など出来訳が無いだろう。貴様は馬鹿か?彼らには亜人に備える任務がある。弱い者いじめはお前たちの得意とするところだろう?」

「なるほど。それで、本当に恩赦は頂けるんで?」

「それは、保証しよう。ただし、失敗した場合は死刑が執行される」

 その言葉で兵士モドキたちは青ざめた。

「死にたくなければ命令を速やかに実行しろ。一人残らず一撃で殺せ。そして、奴らが隠している食料を持ち帰れ。以上だ」

 ミハエルはそれだけ言うと館に戻った。兵士モドキたちは、無言で任務に向かった。その後を天使千百四番がついて行く。


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