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救世の三姫  作者: 絶華 望(たちばな のぞむ)


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1.ある少女の死

機人ミリアを再構成してみました。

 とある病院の一室で少女はベットの上で半身を起こし外を見ていた。病院の外には桜の木が植えられており病室から満開になっている桜が見えた。

 少女は毛糸の帽子を被っていた。それは寒いからではない。白血病を治すための抗癌剤による副作用で髪の毛が無くなった頭を隠すために被っていた。

 少女のベットの横には簡素な椅子に座った中年の女性が居た。女性は少女の母親だった。

「桜、綺麗ね」

 母親は少女に話しかけた。

「私もあの桜みたいに散ってしまうのかな」

 病室に重い空気が漂う。母親はそんな少女を元気づけようとした。

「大丈夫よ。来年も再来年もずっと桜を見れるから」

「母さん。私、知ってるの私の治療が上手くいってないって」

「どうしてそんなこと……」

「インターネットで調べたの。治療期間とか症状とか色々……」

 母親は何も言えなかった。少女の言っている事は正しく、抗癌剤はあまり効果を出していない。医者からも説明を受けた。そして、すでに肺炎も発症していた。咳を止める薬のお陰で咳はしていないが熱はあり、治療は難しいと言われていた。

「大丈夫よ。先生を信じて頑張りましょう」

「お母さん。私、死にたくないよ。もっと生きたいよ」

 そう言って少女は泣き出した。そんな少女を母親はそっと抱きしめて言い聞かせる。

「大丈夫。桜は死ななわ。大丈夫よ。きっと良くなるから」

 母親は自分にも言い聞かせるように何度も言った。


 だが、それから一週間後、少女は十八歳で死んだ。名前は此花このはな さくらといった。死ぬ間際の彼女が願ったことは、病気で死なない体に生まれ変わる事だった。


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