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救世の三姫  作者: 絶華 望(たちばな のぞむ)


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11.ルシフェルの企み①

 会談が終わった後、ルシフェルとミカエルは覇国にあるルシフェルの家の一室で机を挟んで向かい合って座っていた。

ミ「あれで良かったのか?」

ル「ああ、あいつはただの小娘だ。戦闘能力は高いが、それ以外は話にもならん」

 ルシフェルは無表情で淡々と話した。

ミ「勝てるのか?」

 ミカエルもルシフェル同様に無表情に淡々と話している。

ル「ああ、簡単に勝てるとも」

ミ「だが、虐殺の件はどうするつもりだ?あの嘘を本当に信じたのか?」

ル「それも、問題ないだろう」

ミ「だが、疑われたのではないか?何度も質問していたが?」

ル「その質問の質が問題なのだよ」

ミ「質?」

ル「ああ、まだ疑問の余地が残っていたのに、あいつは追求せずに納得した。この意味が分かるか?」

ミ「疑問に思わなかっただけではないか?」

ル「それは無い。なぜなら、核心部分に迫るまでの質問はしてきたからな」

ミ「というと?」

ル「あやつは怪しいと思いつつも交渉が決裂する様な質問はしなかった。つまり、理由はどうあれ戦う事を避けたいと思っていたのだ。ゆえに、虐殺の事も誰にも話さないだろう」

ミ「ならば、我らのする事は決まったという訳か」

ル「その通りだ。計画通りに動こう。救世の三姫が小娘で良かった」

ミ「では、私は覇王様に報告と今後の対策を伝えに行く」

ル「ああ、計画通りに頼む」

ミ「だが、あの領主は本当に天使型を手放すのか?」

ル「そうなるとも、彼と天使の関係は把握している。事前準備も済んでいるから、告知した後で舞踏会を開けばこちらの思惑通りに進むとも、ただし時期を間違えないで欲しい」

ミ「告知と舞踏会は春以降という事だったな」

ル「ああ、その頃には、あいつの弱点も増えている」

ミ「それまでは、本当に監視もつけなくていいんだな?」

ル「ああ、むしろつけないことに意義がある。こちらはちゃんと約束を守るのだ。約束を破るのは、あいつの役目だからな」

ミ「分かった」

ル「それと、覇王への報告が終わったら私の護衛を頼む」

ミ「なぜだ?」

ル「あいつが気になる事を言っていたからな、私の推測が正しければ君が居なければ私は死ぬだろう」

ミ「そうか、ならば引き受けよう」


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