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0.プロローグ
緑色の髪と緑色の目をした美少女は涙していた。目の前では都市が燃えていた。それを成したのは自分だった。幾千万の命を奪ったのは自分だった。
彼女、セフィロトは後悔していた。共にその惨状を生み出した同胞は自害していた。もし死ぬことが許されるのなら同じように死にたいと思った。
「なぁ、アルテミス。これで本当に戦争が終わるのだろうな」
「これで終わるわ。皇玄武はそう約束したもの」
腰まで伸びる金髪、青空のような碧眼の美少女アルテミスはセフィロトに答えた。
「もし、約束が果たされないのなら私はこの戦争から降りる。後はお前達で殺し合えばいい」
「嫌な事をさせてしまってごめんね」
「良いんだ。もうこれ以上命が失われないのなら、本当に戦争が終わるのなら」
セフィロトは感じていた。この星に生きている全ての生命の願いを……。戦争の終結を願う数多の声を……。