1、お嬢様入学
今日は入学式。
私の新たな物語の舞台、都立中央大学付属高校。
ここで私の青春がはじまるんだなぁ、とか思いながら自分のクラスを探す。
「明日美ちゃ〜〜ん!クラスこっちだよ〜。」
あぁ、この声、この声は私の唯一無二の親友、相澤麗子ちゃんの声だ。
このエリート校に私の中学から入学できたのは私たち2人だけだ。それ以外は皆落ちてしまった。
「麗子ちゃん、クラス一緒だったっけ?」
唯一無二の親友のクラスを把握していなかった、失態である。
「そうだよ〜〜、しっかり確認してよ〜。」
このほのぼのとしたしゃべり方に、中学の時から癒されてきた。
また3年間この声に癒してもらえると思うと、とても安心する。
「ごめんごめん、んで、クラスの場所ってどこ?」
「こっちだよ〜。」
そう言うと麗子は私の手を握り、クラスの方に走って行く。
私達のクラスは1年5組だ。
この学校は1学年で150人で、1クラス30人だ。
クラスに着くと、もうほとんどの生徒が来ていて、私達はかなり最後の方に来たらしい。
教室の中は騒がしくもなく、静かでもなく、至って普通で、節度をわかってる所、流石エリート校だなと感心しながら、自分の席につく。
私の席は窓側だ。風が気持ちいい。
前の席はとてもいい匂いがする女子、隣の席は至って普通そうな男子。
この2人と仲良くなり、徐々にクラスに馴染んでいくまいと、早速前の席の女子に話しかけようとしたら、突然、前の席の女子が振り向いてきて、
「貴方、生城ヶ崎さん、だったわよね?」
急に話されたのでつい、
「ひゃ、ひゃい!」
ひゃいってなんだひゃいって!と心の中で自分自身にツッコミを入れた。
「宜しくね、生城ヶ崎さん、私は南波冬乃、冬乃でいいから。」
「わかった、冬乃ちゃん、宜しくね、私も明日美でいいよ!」
「わかったわ、明日美。」
そう言うと、冬乃はまた前を向いた。
まずは1人、話すことに成功した。次は隣のthe、普通男子くんだ。
男子くんに声をかけると、こちらを振り向いたので、
「宜しくね、私生城ヶ崎明日美!」
「...チッ」
え、軽く舌打ちされた?!私なんかミスった?!とか思ってると、
「今人の声を遮断して1人の空間を作ろうとしているのは見ればわかるだろ?」
と言われ、
「ごめん、」
「後で自己紹介しろ、しっかりと。」
あぁ、こいつめんどくせぇ奴だ。と悟った。
「う、うん、わかった、とりあえず宜しくね!」
何とか会話が終わり、普通男子くんのイメージは私の中では最悪になった。
そうこうしていると、着席のチャイムが鳴り、先生が入ってきた。
見た目はいかにも新米そうな若々しい人だ。
先生は普通そうである。
「これから1年間、皆さんの担任をします、伊藤咲美です。分からないことがあったら色々聞いてね、宜しくね!皆。」
挨拶もいい人そうな感じで良かった。
「次は皆に自己紹介してもらうからねー。じゃあ出席番号順で。簡単なのでいいからね。」
私の出席番号は5番だ。
何を話そうか悩んでるうちに、冬乃ちゃんの番が終わり、私の番が来た。
意を決する。
「初めまして、私は生城ヶ崎明日美って言います!皆といっぱいお話して仲良くなりたいです!宜しくお願いします!」
まぁこんなもんだろうという感じで、普通の自己紹介はクリア出来た。
自己紹介は進み、隣の男子くんの番が来た。
どんなこと言うんだろうと思ったが、めんどい感じなんだろうということは何となくわかる。
「俺の名前は鹿嶋雄二だ。基本的に人との会話は遮断している。遮断してなさそうだなと思ったら話しかけろ、それ以外はあんま話しかけるな。」
え、何こいつ、高校最初だよ?え?、と、何故か心配になった。周りからの視線もやばい。
私はこんなやつと隣になってしまったのかと、少しだけ高校生活に不安を感じていると、その次の女子はいかにもやばいと見ればわかるような感じだ。
「私は、ひ、日暮麻琉、です、しゅ、趣味は、その、オカルト系、です。呪いたい人とかいたら、その、代わりに呪います。お願いします。」
生命の危機をも感じる発言に、周りは相当びびってた。
こんな感じで、他の人達も結構な個性的な人が多くて、私の高校生活は、果たしてどうなるのだろうかと、まともな高校生活を送れるのか不安で仕方ない。だが、ここでめげないのが私だ。
このクラスみんなと仲良くなって、高校生活を横臥しよう!と心に誓ったのであった。