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ひとつむこうのこちらがわ  作者: 枝節 白草
2/18

イーヌイの目的

「ふざけんな!なんなんだよおまえ、帰れよ!」

トオルは犬のコスプレをした不審者に叫ぶ。

「来たばっかだし、私も任務で来てるし、リアレタスの人の協力が必要なんだ」

しかしその不審者も引く気は無いようだった。

「リアレタスってなんだよ!そんなレタス知らねぇよ!」

「リアレタスっていうのはこの世界の事でって、ああ、そういえば君達は他の世界の事認識してないんだっけ?異世界の話がたくさんあるのに、変な人達だよなぁ」

「電波か!警察呼ぶぞ!」


玄関で揉めているとふいに扉が開いた、母親だ。

こんなとこで叫んでいれば様子を見に来るのも当然だろう。

「ああ、母さん。不審者が・・・」

「お母さん!?今日からホームステイさせてもらうイーヌイ・マメシーバだよ!」

トオルが苦情を言う前にイーヌイが遮り発言する。

母親はトオルとイーヌイを交互に見て何かを納得した。

「あらまぁ、部屋余って無いんだけど、トオルの部屋で良い?お客様用のお布団出しておくわね、それとも同じ布団で寝るの?」

「母さんっ!?何言って・・・」

「私は構わないぞ!トオルって言うのか?トオルは良い奴だ!」

「おまえも何言って・・・」

言い終わる前に父親が現れる。

「お!トオル、可愛い彼女じゃないか。そうかー、トオルは女っ気無いと思ってたらこういう子が好きだったのかー」

「はぁ!?」


さっきからトオルに全く発言権が無い、このままではトントン拍子に話が進んでしまう。

「兄ちゃん?さっきから何騒いで・・・、は、はは、ま、まぁ、趣味は自由だよね」

後から現れた高校生の妹はイーヌイを見た後苦々しい作り笑いと軽蔑の視線をトオルに向けて家の中に戻って行ってしまった。

「常識ある反応をありがとう・・・死にたい」


もうここまで来たらイーヌイに納得して帰ってもらう他無かった。

トオルは渋々イーヌイを家に上がらせる事にし、ちゃんと話し合う事にした。

しかしそれは玄関で出鼻を挫かれる事になってしまう。

「あ、おい。イーヌイ?靴は脱げよ。そのふわっふわっなやつ」

「靴?靴ってなんだっけ、あー!思い出した、勉強したやつだ。リアレタスの人達は歩く時に足の保護が必要なんだったな。足に付けるやつだ!私は履いてないぞ!私達アニマキヤ人は体の丈夫さが自慢だからな!保護する必要無いんだ」

「いい加減そのコスプレの設定?やめろよ、いいから脱げ・・・ん?あれ?このブーツどうなってんだ、境目が・・・無い」

「あるわけ無いだろぉ、自前の毛皮だぞ?」

「ん?んんんんん!?」


見かねて母親がやってくる。

「こら、トオル。女の子の足ジロジロ見ないの!そういうのは二人きりの時にして、人前でイチャつかれると母さん恥ずかしいわ」

そう言うと母親はイーヌイの足を塗れたタオルで綺麗に拭いた。

「はい、イーヌイちゃん、これで入っていいわよ」

「母さん順応力高すぎじゃね!?え?これ靴だよな?靴だろ?な?」

「だから違うってば、足だよ。ふむふむ、靴には家の中を汚さない役割もあるって事か、ちょっと勉強不足だった、気を付けるよ」



イーヌイを家に上げると居間へ案内した。当然母親と父親も同席している。

「イーヌイ、俺にも分かるように説明して欲しい、何もかもだ。俺には何もかも分からない」

「おお、ちょっと長くなるぞ。まずな、異世界があるだろ?」

「無い」

「あるんだよ。でだな、その異世界は複数あるんだ、どこもお互いを観測できている、できていないのはここ、リアレタスだけだ。それでどこの世界もリアレタスへの干渉はまだ早いとして手を出さないようにしてたんだよ」

「じゃあ一生そうしてろよ」

「そしたらさ、リアレタスの日本って場所で異世界の話流行っててさ。あれ?リアレタスも異世界の存在気付き始めてる?今なら自然に介入できるんじゃね?ってなるじゃん?」

「ならない!」

「なったんだよ。どこの世界もリアレタスに興味津々だったからね。でも中にはヤバイ世界もやっぱりあってさ。ヘルレートっていう、えーと、この世界の言葉で言うと地獄っぽい感じのとこかな、あってさ。リアレタス人に御執心なんだよね、嫌な意味で」

「・・・嫌な意味?」

「人の嫌がる事が大好きな奴らなんだよ、だから知的生物が多いここに目を付けてる」

「それほんとならガチで怖いんだが」

「大丈夫!そうならないようにリアレタスに行く為のルールを決めて協定を結んだんだ」

「ルール?どんな?そのヘルレートとか言う奴らはルール守れるのか?」

「うん、そういう結界だからね。ルールは、リアレタスに対して悪意を持った者を通さない。この一つに絞る事で強力な結界が出来上がったんだよ」

「なんだ、じゃあ安心じゃねぇか」

「安心じゃないんだよ!結界を張った後でヤバイ事に気付いたんだよ!ドラゴムートっていう巨大生物の世界の奴らがここに来れるようになってしまったんだよー、ごめんなー」

「え?でも悪意のある奴は通れないんだろ?」

「トオルは地面を歩く虫にいちいち悪意を抱くかい?普段口にする食材に悪意を抱くかい?つまり、そういう事だったりするのさ」

「・・・マジな話か?」

「マジマジ、でも安心しなよ!私がなんとかするよ!他にもこの世界のために色んな人達来てるから!君達は安心して良いんだよ。特に人の多い都会には強い人が配置されてるから!」

「ここ、都会じゃねぇんだけど。ん?てことは何だ?ここに配置されたおまえは・・・」

イーヌイは目を逸らして黙ってしまった。

「おい、おまえ弱いのか?」

「我が名はイーヌイ・マメシーバ!誇り高き狼族だ!もっと田舎の方に配置された奴らよりは強い!マメシーバ一族の誇りにかけてトオル達を守るぞ!」

「・・・マメシーバってのがそもそもなんだよ」

「・・・小型の狼族」

「・・・チェンジで」

「そんなシステム無いよ!」


「あらあら、話終わったかしら?そろそろイーヌイちゃんにこの家での暮らしについて教えていきたいのだけど」

「だから母さん順応するの早すぎだろ!」

「おいおいトオル、イーヌイちゃんは俺らの為に来てくれたんだぞ?歓迎するべきだろ?」

「父さんまで歓迎ムードかよ!」


「トオルもトオルの家族も良い人達だな!お世話になるぞ!」

「もう好きにしろよ・・・」



会話ばっかでごめんなさい。次から話が動きます。

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