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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活二年目
98/110

魔法院見学

 



 ゴールデンウィーク明け、アカネから温泉石を受け取った。これで、これで毎日温泉に入れる! 好きな時に温泉に入れるとか贅沢だよね。リェーンによると大体一週間くらいで出来上がるそうなので今から楽しみでならない。あ、休憩室にも冷蔵庫置いてもらおうっと。フルーツ牛乳かコーヒー牛乳か迷う。オネエ用にビールもいるよね。あー、冷凍庫があればアイスも置けるのに!

 温泉石を素材袋に入れ、午後の講義室へ向かう。

 休み明けって怠い。休みの間中動いててだらけてたわけでもないのに不思議。天気もいいし昼寝したい。中庭のベンチとか良さそうだけど、貴族の多いこの学園でそんなことしたら怒られるんだろうなぁ。

 あ、昼寝用に庭にハンモックつけるんだった。オネエにお願いしておかないと。 


 ゴールデンウィークで久しぶりだったせいか、講義室に入るとメリルが走り寄って来た。どうやらお供と一緒に草原で狩りをしたらしく、一所懸命にその様子を話してくれる。私が言うのもなんだけど、よく狩りの許しが出たなぁ。


「私も狩りがしたいぞ!」


 知らんがな。お供連れて行けばいいじゃん。メリルよりよっぽど狩りがしやすい環境にいるだろう。そもそも男だし、ただの狩りなら反対されることはないだろう。

 叫ぶエフィムを尻目にメリルが私のローブの端を握った。


「セリカ、また一緒に狩りに行こう?」


 くっ……!

 その裾をちょんっと引っ張るの止めてくださいませんかね!? 卑怯!

 

「魔法の練習になるモンスターがいるところに行きたいな!」


 難しいこと言うなぁ。モンスターが多くて近場、ハンターじゃなくても行ける場所ってないよね。あ、強ければ多くなくてもいいのか。緊急依頼であんまり強くないモンスターの大量発生とかあればちょうどいいんだけど。この世界でモンスターの大量発生などという事件の前例はないし、これからもないだろうけどさ。


「そもそも狩りに行かなくても夏にキャンプがあるし」

「まだ一ヶ月も先じゃないか!」

「一ヶ月しか先じゃないじゃん。近場にいい場所はないし、私今ちょっと忙しいから」


 狩りに行くと稼げないじゃん。

 税金とペットと家電もどきのためにお金欲しいし。

 メリルの視線が痛い。とりあえず目を逸らしておこう。そうしないと負けてしまいそうだ。


「いつになったら忙しくなくなる?」


 そう来たか……。

 というか今年は家の中を整えたいってのもあるし、稼ぎはかなり必要なんだけど……。でもさすがになぁ……。


「……一日くらいなら、どうにかします」


 うぅ……。遠出して何日も稼げないよりはせめて近場がいい。すごい稼げる場所があれば遠出でもいいけど、ハンターじゃないってのがなぁ。迷宮じゃなければ別に一般人連れて行けるけど。二人がハンターになれば話は早いんだけど、現状負担をこれ以上増やしたくない。ハンターに推薦するだけなら楽だけど、この二人だとパーティ組まないといけないだろうし。

 私の言葉にメリルが喜び、エフィムと場所の話し合いを始めた。静観していたスケッチの視線が突き刺さる。文句あんのか、スケッチだって逃げ切れないくせに! と項垂れていたところでソフォス講師が到着。もっと早く来て欲しかった。……いや敵が一人増えるだけだな。 


「どうかしました?」

「いえなんでもないです」


 不思議そうな顔をされた。


「まぁいいけど……あ、今から魔法院に見学に行くことになったんだよね」

「見学!? それは嬉しいですがかなり突然ですね!」

 

 ソフォス講師の言葉にエフィムのテンションがさらに上がった。


「そうなんだよね。元々違う団体が見学予定だったそうなんだけど、キャンセルになったらしくてね。せっかくの空き時間なのでぜひってことなんだ」


 見学の受入数が決まっているらしく、予約が埋まっていたりしてなかなか見学できる場所ではないらしい。そんなキャンセルをただの学生に回していいものなのか。


「卒業後に魔法院を希望するなら損はないはずだし、まぁ他の人たちは付き合いってことでね。それに騎士になっても魔法院に伝手があると何かと助かると思うよ」


 私は別に魔法院に入る気はないが、見学に付き合うくらいは問題ない。むしろ見学だけならちょっと興味あるし。


 午後の講義はソフォス講師が手配してくれていて、公欠扱いとなった。

 魔法院は東ノ島通りとは違い、ナビール魔法学園から王城の方向にある。私はこちら方面に来るのは初めてだ。見慣れない店が並ぶ。飲食店は高級志向か、賑やかさはなく閑静だ。服飾も装飾品もすべて高価そうで、住宅も綺麗で立派。中位貴族の屋敷が集まっているエリアで、スケッチが若干緊張しているように見える。


「こっちの方に来るのは初めてで……」


 王都に住む下位の貴族や平民にとって、こちらのエリアは緊張するものらしい。私は地方に住んでいるからそういうことに疎いんだよね。

 エフィムとメリルも地方に住んでいるし、そもそも上位の貴族。緊張するようなものでもないんだろう。ソフォス講師の貴族位は知らないけど、普通。まぁソフォス講師だし。


「さ、ここだよ」


 魔法院の第一印象は、病院っぽい、だ。何となくだけど。中に入ってみるとかなり乱雑で病院のイメージは吹き飛んだ。清潔感の欠片もないな。いや汚いわけじゃないけど、散らかり過ぎだろう。


「本日はお招き頂き、ありがとうございます」


 前に学園に来た、シェープスト・ヴァローナ氏に案内してもらう。

 魔法院ではそれぞれのテーマごとにグループにわかれて研究を進めているそうだ。グループごとに研究室と給湯室、仮眠室が与えられ日夜研究に勤しんでいる、と。仮眠室があるって聞くとブラックなイメージしかわかないんだけど。

 まぁブラックかどうかは置いておこう。

 給湯室にはテーブルと飲み物や軽食を用意できる設備が整っているし、仮眠室も雑魚寝にはなるが複数人一度に眠れそうなスペースがある。充実はしている気がする。

 グループごとに代表と書記と会計がいて、それぞれ管理しているそうだ。そういうわけで私たちは四人のみのグループということになっていて、一応研究室もあるらしい。が、使わないともったいないので、今は他の人たちが倉庫として使っているそう。こっちに顔を出すつもりなら開けてくれるらしいが。

 

「それで君たちは今、何の研究を?」

「そうですね、個人の研究ですが、空間の重さを変える実験をしたいと思っています」

「何のために?」

「時空魔法のパラメータを上げたいのですが、攻撃魔法がないので使い難くて。重さを変えられればモンスターを押し潰したり、使い勝手が広がるでしょう?」

「なるほど……時空魔法を上げたいとは珍しい。何か欲しい魔法でも?」

「素材袋を作りたいので」

「あぁ、なるほど……その魔法なら使えるが、協力しようか」

「えっ!?」


 マジで? それタダですかね?


「……でも、お高いんですよね?」

「金銭は取りませんよ。無理矢理所属させたお詫びとでも思って下さい」


 マジか!! それだけで魔法院に所属した甲斐がある!!

 この人としても魔法を付与することに大したデメリットはない。せいぜい時間を食うくらいだし。ありがたくご協力いただくことにした。対応はリェーンに丸投げだ。

 これで素材袋が増やせる。ついでに冷凍庫も欲しいんだけど……いや料理スキルとか設定してないでしょ。どう考えても持ってないわ。

 とにかく、魔法院バンザイ!




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