ゴールデンウィーク
ゴールデンウィークは四番目に近い迷宮を目指し、ついでにその周辺の依頼を受けることにした。
クラウドたちの世話は屋敷に残っている三人に頼んだ。全員蜘蛛は大丈夫らしい。虫なんてそこらじゅうにいますから、と言われたけど、うんまぁいるよね。平気ならいいんだ、うん。
移動は馬車だし、杖、鎖鎌、機械弓を持って行って、色々使おうと思う。目標は三つのパラメータ200超え。たぶん行ける。それが終わったら手持ちの武器をローテーションして使う予定だ。本当は新しいスキル伸ばしたいんだけど、今は武器を買う余裕もないしね。武器愛好倶楽部で借りても持ち帰れないし。倶楽部の時だけ何か別の武器を使おうかな。
四番目に近い迷宮は、薄紫色だった。きのこや植物系のモンスターが多く出て、虫もそれなり。一応虫除けを使おう。
「あ、キノコだ」
初のキノコモンスターは毒々しい紫色。食用に出来ないモンスターだ。せっかくのキノコなのに……。食用に出来るキノコモンスターもいるらしいので見つけ次第狩ろうと思う。
「これは買取価格の安い雑魚キノコ、フングスモルテ!」
「う、うん。そうだね」
ふふん。私だってやれば出来るのだ。
せっかくモンスター学を選んだし、活用しないとね。
おっと枝に擬態した虫系モンスターがいる。これは攻撃して来ないし無視して行こう。
「どうせならコグメーロホーザ種が欲しいな……」
「分類まで覚えてるんだ……セリカさん極端だね……」
「モンスター学選んだ以上、テストがあるからね。このタイミングでAクラスから落ちたら暗殺されるかもしれないし」
死なないけど。
でもちょっと問題起こし過ぎてて危ないよね。勘当くらいだったらいいんだけど。
お、またキノコ。
「ここの部位が高価っと!」
「モンスター学、ものすごく役立ってる感じがするけど何かが違う……!」
植物系だし、鉄球よりは杖向きだと思い、今日は杖と機械弓を持ち込んでいる。鉄球は宿に置いて来た。素材袋のために時空魔法を上げないといけないから、魔法も出来るだけ使う。ただ攻撃魔法がないので防御でしか使えない。塊作って押しつぶすとか出来ないかな。重さがないから無理か……。基礎で重さが変えられないか実験してみようか。
数日間で結局三十階まで潜れた。まだ未踏破の迷宮であとニ十階以上あるのだが残念ながら時間切れだ。また時間がある時に来たいと思う。
最寄の街では、やはりというか何というか木工製品が多かったので、新しいメイド二人にはかわいい木箱を買った。リェーンにはたぶん持っていないだろう、新しめの魔道具関係の本。お土産っぽくないけど仕方ない。
あとは珍しい果物とか庭に植えるための植物も買えば買い物は終了だ。庭も少しずつ綺麗にしていかないとね。
「庭にもホシの実欲しいよね。あとはー……泥棒避けに食人木とかどう?」
「やめてください」
「んー……じゃあこの辺りの香草は? 料理に使えるし。あとは薬草とか……」
野菜もいいけど、あんまり増やすとペットと魔動車のスペースがなくなるしなぁ。
「あ、蔦は? 壁の周りに這わせる感じで」
古びた洋館って感じがしてかっこいいかも。
「蔦は壁の修復が終わってからにしましょう」
「あー、そうだねー」
確かに作業の邪魔になるかもしれないし、そっちの方がいいか。今回は見送ろう。
結局ホシの実と薬草、香草を数種類を購入。これでちょっとは庭らしくなるかな?
今回のゴールデンウィーク数日で迷宮に潜り、依頼をこなし、目標通り杖、鎖鎌、弓術は200を超え、依頼も何件か遂行、ポイントも増えた。サオンとスケッチのレベルが5に上がり、全員が5以上になったのでパーティのランクアップ試験も受けることが出来る。
「さてどうするか」
スケッチ、オネエ、サオンのソロE、パーティE、私のソロD、今のポイントで受けられるのは二つだ。
「スケッチに自信があるならソロE受ける?」
「受かると思う?」
「んー、微妙? 急がないんだしもうちょっと鍛えてからでもいいかもね。まだ二年近くあるよ。先にパーティ受けてみようか? 何かヒントになるかもしれないし」
その後決めてもいいし。パーティが無理ならソロは絶対無理だろうしさ。
「うん、パーティの方先に受けたいかな……」
「じゃあ次の週末に受けられるように頼んでおくわ」
ゴールデンウィーク最終日、昼過ぎに王都へ帰り着いた。留守番をしていた三人から報告を受けるのはオネエに任せ、私はクラウドたちにお土産の果物をあげた。ぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。かわいい。
一頻り戯れた後は、三人にもお土産を渡す。
「さてと。せっかく皆揃ってるし、今日はお好み焼きがいいなぁ。デザートはお土産のフルーツあるし、タルトでも作ろうか。炭水化物ばっかりだけど」
普段動いてるし高カロリーなんて関係ないさ。
「お好み焼きは習いましたけど、フルーツタルト、ですか?」
「うん、フルーツタルト。これから先も作ることがあるかもしれないし、教えながら作ろうか。サオンとオネエはお好み焼きの準備をお願い出来る?」
「はい」
「はい!」
二人とも孤児院ではお菓子作り未経験だそうだ。すごく貧乏というわけないが、そこまで裕福でもないのでおやつはほぼないらしい。まぁここでもそんなに作るつもりはないけど、お客さん来た時は用意しないといけないよね。独立して貴族になるまでそんな予定ないけどさ。
リェーンのおかげで台所周りが充実していて助かるな。留守にしていた間にも色々と魔道具が増えている。製造計画の優先順位通り着々と増えているし、本当にいい人スカウトしたなぁ。
「セリカ様はお菓子作りがお得意なのですね」
「お菓子っていうか、料理スキルはけっこう高いよ」
「そうなのですね。私も十五歳になったらお料理のスキルが欲しいのです」
「きっとすぐ覚えると思うよ」
十五歳になるまでにやり慣れていることってすぐ覚えるらしいし。日常的に料理をしていて、実際上手く出来ているならまず間違いないだろう。
「私は料理よりも掃除のスキルが欲しいですっ! スキルあると終わるのが早くて、孤児院長が羨ましかったんですよ」
ほうほう。シシーが料理でプフは掃除か。
「それにスキルがいっぱい上がると、落ち葉を集めるのもすごく楽になるんです!」
「秋は大変だもんね。落ち葉がたくさんあったら焼き芋したいなぁ」
「焼き芋!」
プフが嬉しそうに声を上げ、シシーがそれを見てくすくすと笑う。
「プフが庭師助手をしてくれるんだっけ? 落ち葉がたくさん集まったら教えてね」
「はいっ!」
その時は食用きのこも焼きたいな。あと林檎とか栗もいいよね。うん、楽しくなりそうだ。




