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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活二年目
94/110

決闘




 座学は結局、算術、モンスター学、法律を選び、文学は捨てた。来年もAクラスに残留しないといけないし、モンスター学は特に頑張ろう。テスト前夜から本気出す。

 春の間に終わらせておけば秋になったら自由時間増えるしね。家は買ったけど税金もペット代も必要だし、稼がないと……。

 午後からの神聖魔法では、講師が変わっていた。コージィ・ハッシという金髪の優男でやたらときらきらしている。神官らしいが、もしかして神々しいってこういうこと? なまじ顔がいいだけにすごくナルシストっぽい。私の背景もモナさんやダーヴィトお兄様から見たらきらきらしてるってことだったらすごい嫌なんだけど……。

 神聖魔法は一クラス二十人ほどで、フェリシー様、アルベール様、シルヴァン様、ヒロインちゃん、アカネ、スケッチと同じクラスになった。他にも神聖魔法を選んだと聞いた人もいるが、どうやら違うクラスになったらしい。A~Dそれぞれのクラスから少しずつ選んで混ぜているようだ。

 前半は講義、後半は実技や魔法実技のクラスを回り、怪我人がいれば治療するという流れらしい。

 二十人もいるのでさすがに一人一回しか魔法を使うことはなかったが、治療してもらえるとわかっているので練習がハードになるかもしれないし、そうすれば出番も増えそうだ。





「セリカさん!」

「うん? おはよう」


 学園が始まったので、週末は今までの通り王都の迷宮に潜る。私の顔を見て一番に、スケッチが叫んだ。何事?


「僕、杖術選んだんだけど!」

「うん? 知ってるけど、どうしたの?」

「エフィムがいたんだけど!!」

「あー……」


 何というか、ご愁傷様。運が悪かったね。


「スケッチさん……お気の毒様です……」


 サオンにまで同情されてるし。


「若い時の苦労は買ってでもするものよ」

「せめて苦労の種類は選びたい!」


 そんなに嫌だったのか。愚痴りたくて仕方なかったんだね。


「いやでも一応講師がいるでしょ? いくらエフィムだって自重するよ」

「僕エフィムの指名受けて皆の前で試合やらされたんだけど……」

「……まだ大人しい方じゃん?」

「エフィムにライバル認定されたんだけど」

「……まぁ、実力認められたってことじゃん。良かったじゃん」

「本気で言ってる?」

「…………」


 スケッチ涙目になってるよ。

 でもエフィムにライバル認定ってすごくない? エフィムは剣と魔法なら結構強いしさ。それにライバルいた方が伸びると思うし。


「あのテンションでずっと試合させられるんだよ勘弁してよ……」


 ごめんスケッチ。エフィムを止められる人なんて存在しない。とりあえず私、杖術選ばなくて良かった。本当に良かった。

 王都の迷宮は春休みの間に三十階まで解放されていた。地図を買い、二十五階に転移する。そこから三十階まで隈なく探索しながら下りて行く。



「今回も罠はなし、か」


 モンスターもどんどん強くなっている。稼げる金額もどんどん上がって助かるね。

 今日はオネエのレベルが5にあがった。次はサオンかスケッチか。

 迷宮の帰りにユーリー様の誕生日プレゼントの注文をするべく店に寄った。今回はカフスボタン。指定の模様を入れてもらうことにしたので特注になるため時間が掛かる。


「上位の貴族って学生のうちから婚約者とかいて大変だね」

「下位だとそういうのないの?」

「ないよ。中位でも半分くらいだと思うけど……」


 そういうもの?

 あ、でも確かにアデュライト家の中でもダーヴィトお兄様は婚約者いないんだっけ。第一夫人の子じゃないからかなと思ったけど、それを言ったらエリザーベトお姉様もそうなんだよね。まぁナシカお母様の考えなんてわかるわけないか。


「そういえば、メリルにも“ずるい”って言われたんだけど」

「ずるい? 何で?」

「神聖魔法のクラスがセリカさんと一緒だから」

「…………」


 それを聞いて私にどうしろと。


「基礎クラスって何かこう……うん」

「何が言いたいか大体わかるけど、外から見たらそこにスケッチも入ってるんだからね」

「え」


 何でそんなにショックを受けてるんですかね。



 

 週明けの放課後、久しぶりにスケッチが例の二人組に絡まれている場面に遭遇した。

 三人とも武器を持っているから、実技の後にたまたま会ってしまったんだな。何と間の悪い。


「アルス、杖術なんて選んでどうするんだ? 騎士は諦めたのか?」

「それはいいな! お前の剣じゃ騎士になれっこないしな!」


 さてさてスケッチは、私との約束は覚えているだろうか。


「……僕は、剣の才能はないけど、騎士は諦めない」


 よしよし。声がちょっと小さいけどちゃんと言い返したし、たぶん聞こえてるだろう。


「無理無理!」

「諦めろ」

「僕は諦めないし、君たちには関係ない!」

「よく言った!」


 おっと、声に出してまった。

 スケッチがぎょっとして振り返った。


「うわっ、セリカさんいたの……」

「ふふふーん、見ぃーちゃった」


 私は二人組に視線を投げ掛けにやりと笑う。


「お前ら、スケッチに騎士は無理だと言ったな?」

「だ、だから何だって言うんだ」


 膝震えてるけど。何をそんなに怖がってんの?


「そこまで言うならもちろん、二人はスケッチより強いんだろうね? まさか自分より強い人間を馬鹿にしてるわけ……ないよね?」

「あ、あたりまえだっ! 俺がアルスに負けるわけない!」

「よろしい、ならば決闘だ! 杖術を選んだスケッチと剣術を選んだお前ら二人! スケッチが勝ったら二度と絡むな! スケッチが負けたら……」

「負けたら?」

「どうしようか?」


 何でスケッチそんな微妙な顔すんの。

 さすがにそこは勝手に決めたら悪いかと思ってさ。


「……二人に負けたら、騎士にはならない。諦める」


 おぉ、何か男らしいな!

 まぁこの二人組に負けるようじゃ騎士になれないだろうけどさ。


「言ったなアルス! その言葉忘れるなよ!」

「それはこっちの台詞だ。負けたら二人ともスケッチに絡むなよ。約束破ったら潰すからな」

「ひっ!」


 二人組が後ずさった。今じゃないから。今じゃないから怯えんなよ。


「よしじゃあ訓練場行こうか。おじいちゃん先生いるかな」


 一応実技の講師だし。

 さくっと試合の許可を取り、一応立会人としておじいちゃん先生も見学することになった。そしてなぜか面白がったソフォス講師も。ソフォス講師、魔法なしですよ。

 ルールは単純に実技のみ。武技は使用可、魔法は使用不可の単純ルール。

 やってみたかったコイントスでスタート。落下と同時にスタートってやつだ。

 うん、二人組の剣をちゃんと避けてる。回避上げてて良かったね。というか軽く避けて杖で払う。彼らの実力はどの程度なんだろう。平均並みなのかね? ここまで差があるとは思ってもみなかった。


「そこまで! うん、ここまで差があったらもういいよね。二人とも今後スケッチに絡むなよ。約束破ったらマジ潰すから。……スケッチ、よくやった!」


 スケッチの髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。


「うわ、わっ! やめてよ~」


 嫌がってる風ですが顔が笑ってますよスケッチ君。

 長年絡まれてたわりにはあっさり解決したな。本気で怯えてるしさすがにもう絡んでこないだろう。もし絡んで来たら本当に潰してしまおうか。まぁ何にせよ解決して良かった良かった。


「うんうん、若いのぅ」

「いやぁ、良かったね」

「お付き合いくださり、ありがとうございました」

「しかし意外だね。君が優しさを見せるなんて」

「失礼な。でも優しさじゃないですよ。スケッチのためじゃなくて私のためですし」


 これは別にスケッチのためじゃない。友達に手を出されるっていうのが、私が嫌なのだ。私の嫌なことをするあいつらが悪い。だから私のためであって、断じてスケッチのためじゃない。


「私の友達に手を出すなんて、許せないでしょう?」


 これがスケッチじゃなくて違う友達でも同じことだ。

 って、何にやにやしてるんですかね、ソフォス講師。


「いつの間にかギャラリーが増えてるね」


 確かに。

 いつの間にこんなに集まっていたのか。

 あ、ギャラリーの中にユーリー様とシスコン発見。もしかしてまずい状況? 私は直接手出ししてないんだけどアウトだろうか……。まぁ今更気にしてもしょうがないよね!



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