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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
88/110

冬休み



 クリスマスパーティーが終わると一ノ月末まで冬休みだ。休みが長いのは嬉しいんだけど、実家に帰らないといけない。ユーリー様の家でニューイヤーパーティーがあるからね……。

 今回オネエは念の為、実家に行かない方がいいだろうということになり休暇とした。性別(?)を理由に勝手に解雇されたら嫌だからね。クラウドたちも預かってくれるというのですごく助かる。お母様がもし蜘蛛嫌いだったりしたら捨てられそうだし。

 今回魔動車は運転する人がいないし、馬車では間に合わない可能性があるということで転移の魔方陣を使うことになった。都市間の移動は何気に初体験。アデュライト家に直通はないので、隣の領地に跳ぶらしい。伝達は済んでいるので私は転移してその後馬車で帰るだけだ。

 あれだ、転移の魔方陣は意外と揺れない。迷宮の方が揺れが激しい気がする。セバスチャンが迎えに来てくれていて、夕方には実家に辿り着いた。

 話が伝わってないのか、お母様に怒られることはなく、無事学園生活の報告を終えた。もちろん不都合がありそうな部分はすべて伏せた。

 

 31日の昼にジャーヴォロノク邸に到着し、その日の夜からパーティーが始まった。ニューイヤーパーティーは他のパーティーと違い、夜通し行われる。つまり徹夜。食事、歓談、音楽鑑賞だけで徹夜ってツライ。ゲームとか映画とかカラオケとか欲しい。

 身内の集まりなので挨拶が終われば、婚約者であるユーリー様といればいい。社交の教育なんて受けてないからすごく助かる。

 

「……ドレス、似合ってる」

「ありがとうございます。ユーリー様お似合いです」


 ユーリー様に褒められるのは珍しいから新鮮だ。

 私とユーリー様はオネエの作った着物風の衣装なのだが、デザイン画を見たお母様も合わせてくれたのか、着物風のドレスを着ている。他にもユーリー様のお母様とか数人の女性が着物風だ。

 パーティー自体は退屈だったけど、こっそりダーツしたりユーリー様がピアノを弾いてくれたりそれなりに楽しく過ごせた。クリスマスパーティーの影響か、ユーリー様がナイフ投げを披露したことには驚いたけど。安定の負けず嫌い。剣術には渋ってたのに、投擲関係なら許容範囲内なのかね? 

 ニューイヤーパーティーが終わるとすぐにアデュライト領に戻った。何も聞いてなかったんだけど、数日後にデューお兄様の結婚式があるらしい。その準備に追われ書類関係が溜まり、私がそのお手伝いをすることになった。リオンお兄様とお母様は準備もあるし自分の仕事があるらしい。その点私は何もないからね。

 お父様と一緒の部屋にいるが特に会話もなく、私にはセバスチャンがつけられて黙々と書類を片付けていく。難しいものはお父様が担当するので、別になんてことはない書類ばかりだ。


「覚えておいて損はないよ」

「ですがユーリー様は騎士になられると聞きました」


 手伝いたくないわけじゃないけど、私が領地経営の書類を覚えても使い道はないと思う。


「騎士でも手柄を立てて領地持ちになることもあるからね」


 手柄かぁ。私も手柄が必要なんだよね。


「どうしたら手柄が立てられるのでしょう?」

「そうだね……多いのは強大なモンスターが現れてそれを撃退した、疫病が流行った時に貴重な薬草を採取して来たとかだね」


 手柄を立てようと思っても、何か起きないと難しいのか。ハンターランクは上がっても貴族になるのは意外と難しいかもしれないなぁ。それは困る。


「一番の変わり種は今の騎士団長かな。彼はもともと下位の貴族だったが、王に次ぐ実力があるということで今では上位の貴族だ」


 ほほう。

 実力が認められれば可能性はあるのか……。私にぴったりじゃないか。でもそれだと騎士にならないといけない? 女性騎士はいないわけじゃないけど狭き門だ。そして反対されるに決まっている。


「旦那様、お嬢様、手が止まっていますよ」

「すみません」

「あぁ、すまないね」


 セバスチャンに言われて、止まっていた手を動かす。

 書類仕事も片付いて、順調に結婚式も終わった。デューお兄様は跡継ぎなので敷地内に別邸を建て、そこで新婚生活を送るらしい。あとは子供が生まれればリオンお兄様が結婚する予定だ。二人とも、いや姉を入れれば四人、自分の意思ではなく親が選んだ婚約者と結婚ということになるのだが、そこに不満の色はない。やっぱりそういう風に育てられているんだなぁ。それなのにどうしてセリカが自殺したのかわからない。


 ようやく自由時間となった。本当は雪うさぎ狩りに行きたかったが、時間が足りそうにない。しょうがないのでシモナ・ベナークの調査書を読み、去年放置したままだった雪うさぎの毛皮を探した。コタツのサイズがわからなかったからコタツ布団が作れなかったんだよね。そのせいで毛皮が残っていることをまるっと忘れてた。とりあえずオネエに相談するので寮に持って帰ることにする。

 そのあとはダーヴィトお兄様とリェーン・パウペルの工房を訪ねた。ゴーグルの修理はすぐに終わり、そのまま受け取った。ダーツの的に関しては出来上がり次第リェーンが取り付けに来ることになっている。乗合の馬車代、王都の宿泊費用、その他細かい金額や納期も話し合う。本当は色々作ってもらいたいものはあるが、家もまだないので今回はこれだけ。

 実家での用事も済ませたので、早々に寮に戻ることにした。サオンがほっとし、私の視線に気付き表情を引き締めた。別に私に隠さなくてもいいのに。私だって実家にいるより寮の方が安心出来るしさ。その気持ち、よくわかるよ。寮には厳しいセバスチャンも怖いお母様がいないからね。

  




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