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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
87/110

クリスマスパーティー




 ナビール魔法学園主催のクリスマスパーティーは、ヒロインが三人の攻略キャラからダンスを申し込まれる、攻略の進度がわかるイベントだ。好感度が高い方から三人、一人の攻略しかしていなくても強制的に三人とダンスを踊る。二年目は好感度がかなり高くなっているキャラがいれば二人で風に当たりに行くというイベントも起きる。

 が、私はヒロインじゃないので一切関係ないのであった。

 学園長の挨拶のあとは、自由に食事を摂る。立食形式で普段より豪華な料理が並んでいる。よし肉だ。肉を食べよう。この鶏の丸焼き、一人で食べていい? 小さいから鶉かな?

 腹八分目のあたりで音楽が大きくなった。どうやらダンスの時間のようだ。とりあえず誘われるのを待つ。一応婚約者なのでユーリー様がきっと誘ってくれるだろう。一回でも踊っておけば問題ないはずだ。

 ほどなくしてユーリー様と合流、無事誘って貰えたので一曲踊る。気付かないうちに身長伸びたなぁ。いつの間に抜かされたのか、ユーリー様を少し見上げる形になった。

 当たり障りのない話をして別れたあとはデザートタイムだ。ケーキは全種類制覇したいねー。あ、珈琲ください。

 ヒロインちゃんはシルヴァン王子とユーリー様、意外なところでエフィムと踊っていた。いや一応、エフィムも攻略キャラなんだけど、どうしてもそんな気がしないんだよね……。残念ながら、さすがにどっちから誘ったのかまではわからなかった。

 私はというとなぜか|パーヴェル・ストラーウス《シスコン》に誘われたので一曲踊った。踊ってる最中も妹自慢でいっそ清々しいな。スケッチも見掛けたので強制的に踊らせた。うんうん、服もループタイも似合ってる。特訓の成果はまぁまぁだけど、期間が短かったから仕方ないね。来年はもっと早く取り掛かろうか。


「おい」


 デザートの後のサラダを食していたら、フェリシー様とアルベール様がやって来た。

 フェリシー様はふんわりとした淡いピンクのドレス姿だ。形こそ私のドレスと似たような感じだけどまったく違う。素材のふわふわ感と透明感がフェリシー様によく似合っている。さすが妖精さん。素晴らしい!


「セリカ様、ぜひお兄様と踊っていただけないでしょうか」

「え? はい、フェリシー様のお願いとあれば喜んで」


 フェリシー様じゃないのか……。

 フェリシー様のお願いなら誰とでも何回でも踊りますけどね? しかしアルベール様はしかめっ面。フェリシー様のお願いには敵わないんだろうけど、そんなに嫌なら断ればいいのに。罰ゲームか何かか? いやいやフェリシー様が罰ゲームとかするわけないけど。


「……アルベール様、よろしいですか?」

「……ああ」


 せめてその顔やめろよ。フェリシー様も見てるんだし、そのくらい取り繕えばいいのに。私が言うのもなんだけど、よく貴族やってるなぁ。

 差し出された手に手を重ねると一層顔が歪んだ。無理すんなよ、面倒な坊ちゃんだな。


「あぁ、いっそ剣舞とかどうでしょう?」

「は? 剣舞? お前出来るのかよ」

「えぇ。最近スキルを覚えたので大丈夫だと思います」


 ダンスと長剣が300以上になると剣舞を覚えるのだ。使う予定じゃなかったからつい最近、スケッチの特訓の時に練習したくらいだ。100もいってないけど、そこまで本格的じゃなければたぶん大丈夫。とりあえず練習では問題なかった。


「アルベール様は剣舞は?」

「……出来るに決まってる」


 そうなの? エフィムも出来るみたいだし、上位貴族では普通なのかね。

 でも良かったね、これで密着しなくて済むよ。ナイス提案私。

 ソフォス講師に指を使って剣舞のジェスチャーを送ると、音楽が変わった。別にこのジェスチャーで剣舞やります、とか打ち合わせたわけじゃないんだけどね。ただ練習してるのを見ただけなのに準備良すぎでしょ。さすがソフォス講師……。


「俺は帯剣してるけどお前は……って、どこから出してんだよ!!」

「おっと失礼」


 ドレスの中からですが何か。ガーターで固定してた短剣を取り出しただけだ。あー、すっきり。これ意外と歩き難いし踊り難いし正直邪魔だったんだよね。次から何か仕込む時は投擲武器にしようかな。

 アルベール様の剣と比べてみると長さがけっこう違う。短剣の中でもちょっと長めのやつ選んだつもりだったんだけど。……まぁ大丈夫でしょ。腕の見せ所だね。

 周りが曲調の変化に戸惑ってる中、私とアルベール様の剣舞が始まる。エフィムも気付いていたようで見知らぬ女子生徒と剣舞を始めた。

 私はスキル頼りでよく知らないけど、エフィムによると剣舞にも色々種類があるそうだ。今回音楽は元々は男二人で踊る……踊るというか戦うっていうの? 決闘形式のものだ。

 もう何組か剣舞の出来るペアがいたらしく、かなりの盛り上がりを見せている。あ、掠った。しかし切れてなーい! さすがオネエ、注文通りの防具ドレス! モンスター(テロリスト)よ、いつでも来い!

 調子に乗った私はエフィムに乗せられてナイフ投げまでやってしまった。ぶっつけで頭の上に林檎ををおくなんて、いい度胸だ……。いや置かれたのはスケッチなんだけど、全然怖がってなかったんだよね。うんざりはしてたけど。意外と腹据わってんな。

 でもちょっと目立ち過ぎたなと反省している。けど過ぎたことを後悔しても仕方ないよね。ナシカお母様に怒られませんように!


 

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