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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
86/110

ダンスの練習


いつも通りこっそり一人で迷宮に潜って帰宅した平日。それは起こった。


「かわいい……」


 手狭になったのか何なのか、魔糸蜘蛛のクラウドとレインが親子亀のように重なっている。何これかわいい。そしてなんと! もう一匹増えて、レインの上にちょこんと乗っているのだ。


「やっぱり生んだのかなぁ」


 謎すぎる。魔糸蜘蛛。


「はいはい、セリカ様。いつまでも見てないで早く試着してください」

「はーい」


 オネエに急かされ、二着のドレスを試着する。

 クリスマス用のドレスはワインレッドにゴールドの刺繍が入っている。


「派手じゃない?」

「いいえ、全然。完璧です」

「……ありがと。次はスケッチのか。間に合う?」


 オネエはもともと派手なものを好むから、ちょっと疑わしい。


「もうすぐ仮縫いが終わりますから余裕ですよ」


 おー、さすが。仕事早い。

 つい数日前に採寸したばっかりなのにね。


「あ、おちびの名前はスノウしよう」

「……そんな気がしてました」


 バレてたか。

 

「とりあえず日曜日は迷宮に行く前にスケッチに試着出来るか、土曜日に訊ねてみましょう」


 







「仮縫い……家はちょっと……」


 どうやら先週は大変だったらしい。ご家族からすれば家に来た初の女友達になり、しかも中位の貴族とあって大騒ぎ。


「まさかあんなに騒がれると思ってなくて……」


 うんざりといった風に溜息を吐いた。


「んー、じゃあ明後日の基礎が始まる前にぱぱっとやっちゃう? 休憩時間の間にさ」


 基礎なら人数が少ないし、事情を話せば少しの間講義室を空けることなんて簡単だ。


「そうしてくれると助かる……」

「んじゃそうしよ。オネエもそれでいいよね?」

「はい。準備しておきますね」

「よし、そうと決まれば迷宮行こう! 地図買わなきゃ、地図!」

 

 予想通り二十五階まで潜れるようになってる! 地図高っ!

 迷宮の地図は進めば進むほど高価になっていくのだ。だけど買わないという選択肢はない。迷子は嫌だしマッピングは面倒だし。ランクがもっと上がったら考える。


「よしよし罠はないね」


 罠解除も上げていきたいけど、罠がない方が順調に進めるからね。

 初回なので二十階まで転移して、二十五階まで隈なく探索しながら下りて行くことにした。踏破済なので罠や宝箱があるわけじゃないんだけどね。気分だ気分。

 二十一階、二十二階とニ十階と特に変わりなく進む。二十三階まで下りてようやく変化が訪れた。


「初めて見るモンスターだ!」


 薄い橙色の針鼠に見える。針が立ってるけど、あれもしかして飛んでくる?

 わくわくしながら観察していると、オネエに邪魔された。


「観察は無理ですよ、雷撃が来ます」

「雷撃? 針は飛んで来ない?」

「あれは飛びませんよ……」

「えぇ……黄色じゃないくせに」


 残念。

 

「セリカさん、やっぱり来年モンスター学取った方が良いと思う……」

「えぇ……」


 他にも新しいモンスターと多く対峙した。

 ニ十階以下、やっぱり楽しい!


「スケッチ避けて! いけぇっ!」

「うわあっ!?」


 前にいたスケッチが私の打ち返した水球を避ける。そのまま水球はモンスターに当たり、壁に押し潰した。よし、ストライク!


「危ないっ! セリカさん危ない!」

「スケッチなら避けてくれるって信じてたよ。よっ、回避王!」


 魔法を打ち返すのって楽しい。

 細工なしで武器を魔法に当てると、大抵魔法が勝つ。が、武器に魔力をコーティングするとあら不思議! 武器が勝ってしまうのです!


「これやばいわ。スケッチもやろうよ、楽しいよ?」

「せめて練習してから……。セリカさんはいきなり遣り過ぎだと思う……」


 別にいきなり思い立って即行動ってわけじゃない。勝手にそうなっただけだし。偶然の産物だ。わざとじゃないし。



 充実した二日間を過ごし、オネエの初学内である。別に特別何かあるってわけじゃないけど。

 基礎の講義が始まる前に、ささっと試着。私は気にしないけどスケッチが嫌がるので廊下で待機。着替えが終わってから中に入った。


「おー! いいじゃーん!」


 背は低いが、すらっとしてるからね。チェック地をちょこちょこ入れてみたけど、やっぱり正解。スケッチはチェック似合うね。


「あ、あとこれもつけてみて!」


 魔石を使ったループタイだ。

 毎日魔石に祈りを捧げ、けっこうな魔力を注ぎ込んだ代物である。


「ふふーん、自信作なんだー!」


 見た目はそれなりだけど性能はなかなかだ。

 一回だけしか使えないけど、防御と回復を自動発動。ただし着用者の状態次第ってやつで、要するにピンチの時に発動する切り札的存在……!


「そんな派手じゃないし、パーティー以外にも使ってね!」


 ローブの下ならそんなに目立たないし、そもそもシャツならつけててもおかしくないし。


「あ、ありがとう……」

「お、似合う似合う!」


 満足満足!


「これであとはダンスでポイントを稼いで彼女ゲットだ!」

「ダンスはちょっと……」

「ダンスって必須じゃないの?」

「うーん……下位はあんまり踊らないと思うし」

「よし、特訓だ!」


 ん? 私まだ何も言ってない。

 振り向くといつのまにかエフィムが立っていた。


「任せたまえ! ダンスは得意だからな!」

「え……」


 スケッチは逃げられない!


「まぁまぁ、私も付き合うよ。ちょうど育てたいスキルがあったんだよね」


 付け焼刃だけど、ないよりマシでしょ。パーティーで使えるか微妙だけど、私もやれるだけやってみようっと。





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