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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
85/110

お宅訪問



 クリスマスとニューイヤー用のドレスがほぼ出来上がった。流行が過ぎたらパーティーでは着れなくなる。なので手直しすれば普段着に出来るようにデザインしてもらった。普段着っていうか普段防具もどきだけど。

 ニューイヤー用は着物風のドレスにしたので、流行関係なし。一応お母様にデザインを送った。許可が出たので流行を取り入れてなくても許されたってことだな。お母様の出身地が東方だって聞いたから、それも関係あるのかもしれないけど。あ、どうせならユーリー様にも着物風を贈ってみようかな? オネエに聞いてみよう。


 結局、スケッチのタキシードもオネエが作ることになった。いいのがなかったらしい。

 スケッチの仮縫いのため、お宅訪問が決定された。この世界に来て友達の家って初めてだ。ちょっと浮かれて東ノ島通りで手土産を買った。本当はアデュライト領の名産品が良かったんだけど、さすがになかった。残念。

 獣人であるサオンは、念のため待機することになった。スケッチが気にしない人なので大丈夫だと思ったんだけど、サオンが嫌がった。私はそういう場面を見たことがないのでよくわからないが、当人からしてみれば色々あるんだろう。

 オネエに下位の貴族の一般的な生活を見ることが出来る貴重な機会だと言われた。いずれ自分が目指すものなので、しっかり見ておくようにと。最終目標は上位なんだけどね。

 

 すぐにスケッチの部屋に通されたので、案内してくれたメイドさんに手土産を渡しておく。退室を待ってから採寸を始める。

 スケッチの部屋は八畳くらいで家具は木製、物が少なく飾り気のない、シンプルな部屋だ。スケッチらしいものと言えば画材くらいだろうか。


「スケッチ、この家って何部屋あるの?」

「使用人の部屋を入れて六部屋かな。下級騎士の家は大体この大きさのものを借りれるんだって」

「ふぅん? 借家扱いか」

「現役騎士じゃないと住めないからね。引退したら引っ越すことになるよ」


 ということはそれまでに家を買うか借りるかのお金は貯めておかないといけないのか。

 意外と下位と中位の差って大きいんだなぁ……。


「あ、退職金ってあるの?」

「活躍によっては、って感じかな。……うちの父親はたぶん出ないと思う」

「引退する年齢って決まってるの?」

「騎士は実力が衰えてきたらって感じで、年齢は決まってないよ。怪我をして引退する人も多いし」


 ……魔法で回復出来ないような怪我って死んでない?


「はい、採寸終了です」


 オネエの声を合図にスケッチにデザイン画を見せる。


「じゃーん! デザイン画、私も協力したの」

「え? ……良かった、普通だ」


 どういう意味だ。

 

「このデザインなら三年間着れますからね」


 サイズが大幅に変わればさすがに無理だけど、一応スタンダートなデザインにしたからね。もともとメンズは流行の起伏が激しくないし、特に下位は流行よりスタンダートなんだって。

 

「よし、じゃあサオンを迎えに行って迷宮に行こうか」

「ひっ!」


 扉を開けると悲鳴をあがった。なぜ。

 悲鳴を上げたのはオリーブ色の髪の毛をお団子にした女性だ。スケッチとそっくり! どうみても母親だ。いくらなんでもそっくりすぎるだろう。

 

「母さん!」

「あ、あ、あの、お茶を……」

「もう出掛けるから」


 スケッチが母親をぐいぐいと押し出し扉を閉めた。

 母さんって呼んでるんだ。貴族って母上かお母様縛りかと思ってたわ。


「アルスが女の子連れて来たって!?」

「うわあっ!?」


 今度は誰だ。

 勢いよく扉が開いた。

 何か貴族のイメージが壊れていくんだけど……。


「何やってるの、父さん。ごめんね、アルス。お友達も」


 おお?

 最初に来たのが父親で、連れ戻しに来たのがお兄さんかな? スケッチとはあんまり似てないなぁ。しかしお兄さんが一番落ち着いてるんですがそれは。

 

「仲いいね」

「う……ん、まぁ……悪くはないかな」




 すでにパフェを食べ終わっていたサオンを連れて、迷宮に潜る。十五階まで転移してからさらに下へ。下へ行けば行くほど稼げるしね。

 アディさんからそろそろ二十六階が踏破出来そうと聞いたので、もうすぐ二十五階までの地図が売り出されるはずだ。来週末には行けるかな? 楽しみだ。

 ニ十階近くのモンスターはかなりの頻度で魔法を使う。それがまた面白い。中には瀕死にならないと使わないモンスターもいるけどね。

 こちらの魔法を防ぐモンスターはいないけど、躱すことはある。魔法の練習にちょうどいい。


「来ますっ!」

「はいっ!」


 サオンがモンスターの魔法を感知し、合図を出す。スケッチが防御魔法を展開する。広範囲の魔法は避けるのが難しい。避けられないなら防げばいいのだ。


「あれっ? レベル上がった」


 このタイミングで? 私のレベル8に上がった。オネエが先に上がると思ったんだけど……。一人で迷宮に潜ってる分、私の方が早かったか。

 しかしレベルが8になったってことは、依頼のポイントを溜めればソロのDに上がる試験を受けられるってことか。つい最近Eに上がったばっかりだけど。

 そういえばダーヴィトお兄様は数年ハンターやって16だっけ。私の上がり方が早い? それかレベルが上がるにつれて上がり方がものすごーく遅くなるのかも。しかし確かにレベルの上がり方は緩やかになって来てると思うけど、そこまでなのか?


「お、魔法使うモンスターは魔石が大きくていいねぇ」


 目についた魔石を拾い上げて観察してみる。

 大きさも質もかなり違う。危険度も違うけど買取金額も違うからね。


「この魔石がいいかな」

「魔石がどうかしましたか?」

「うん、ちょっと作りたいものがあるんだよね。これは売らずにちょっと貰うね」


 よし、この魔石が一番綺麗! 大きさも形もいいし、これにしよう。混ざらないように鞄に納める。他は素材袋に放り込む。

 時間はまだ早い。がんがん行こうぜ!



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