表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
82/110

視察の後




「魔法院から視察の方がお見えになったというのは本当ですの?」

「え? えぇ」


 朝一番、ドーリス嬢のお出ましだ。

 今まで交流がなかったこともあり、ちょっと注目されてる。


「もしかしてドーリス様も魔法院を志望されているのですか?」

「貴女も?」

「いえ、私は……。エフィム様とメリル様が魔法院を志望しているとお聞きしたので」

「そう……」


 お嬢さん、眉間に皺寄ってますけど。

 眉間に皺を寄せ口元に手を添えて、俯きがちに考え込んでいる。

 かと思うとばっと勢いよく顔を上げた。


「この私が遅れを取ってしまうだなんて……! 視察が来たということは、その二人は決まったも同然! 枠が埋まってしまうではないですか!」

「枠? 人数制限があるのですか?」

「例年五人と人数は決まっているのです!」


 知らなかった。

 これ私とスケッチが卒業後に魔法院へ行くって言ってたら残り一人になるところだったんだね。危ない危ない。


「残り三枠なら大丈夫なのではないでしょうか?」

「甘い! 甘いですわ!」


 あ、はい、すみません。

 よくわからない魔法院語りが始まった。ゲームだとこんなキャラじゃなかったんだけどなぁ。おかしいなぁ。

 でも三枠でしょ? 魔法で特出した才能のある人って聞かないし、大丈夫そうだけどね。人気は騎士に偏ってるし。一応ナビールは魔法学園なんだけどね。あ、魔力量とかも関係あるのかね?

 適当に相槌を打ちながら聞き流す。魔法院語りはもう飽きたよ。


「魔法院の視察って何をだ?」


 なぜお前が来る。フェリシー様を寄越せ。

 ドーリス様魔法院語り会場にアルベール様ご案内。アルベール様も魔法院に興味あるの? 魔法院、意外と人気だね。


「基礎の視察です」

「お前、基礎を取っているのか」

「……はい」


 あんまり言いたくなかったなぁ。でも嘘はつけないよね、どうせすぐばれるし。

 聞こえていたのかアルベール様の接触のせいか、視線が増えたのを感じる。見るな、金取るぞ。


「そういえばナビール祭に来てたか。正直、興味をもたれるような内容とは思わなかったけどな」


 ドーリス嬢が一瞬眉を顰めたが、すぐにすまし顔に戻る。


「そうなのですか。見る人によって違うのですね」


 まぁ価値観の違いっていうか、そもそも使い勝手の悪い魔法の改造なんて、戦闘特化の人には魅力ないだろう。研究畑の人が好きそうな分野だよね。騎士を目指してる人は魔法よりも剣術だし、戦闘に重きがあるわけだし、基礎に興味を持つのは少数派だろう。

 アルベール様は興味を失ったのかすぐに立ち去り、ドーリス嬢はそれを醒めた目で見送った。何これ怖い。


「見る目のないこと。あんな人が婚約者候補だなんて……」


 あ、そうだったね。

 ドーリス嬢は二位の貴族令嬢で、ゲームではアルベール様、シルヴァン様の婚約者候補だった。もう一人同じように二人の婚約者候補だった縦ロールがいたんだけど、そちらは未登場。今いないってことはもう出て来ないのかな?

 アルベール様ルートもシルヴァン様ルートもライバルが二人いるので、他のルートより難易度が高かったんだけど……。とりあえずドーリス嬢のアルベール様への好感度は低いことがよく分かった。魔法マニアならエフィムの方が気が合いそうだよね。


 HRが終わり、時空魔法実技を行う講義室へ移動する。いつもは一人だけど、最近はメリルが寄って来るので並んで座る。そこにドーリス嬢がやって来た。 


「基礎の講義を活かした時空魔法が見てみたいわ」


 何という無茶振り。

 というか時空魔法、ドーリス様一緒だったんですね……。

 周りの視線も痛い痛い。

 時空魔法って人気がないから人数少ないんだよね。で、マニアックだから魔法好きな人が集まる。つまり魔法院好きも多いということに……エフィムはいないけど。


「ナビール祭で発表したものと似ていますが、よろしいですか?」

「よろしくてよ」


 成功するかなー? 結構難しいんだよね、これ。

 空間魔法のスキルで覚える空間の遮断。詠唱すると透明な十センチくらいの立方体が出現する。通常一つしか出ないものだけど、魔方式に干渉して三つにまで増やす。今のところこれが限界だ。

 パラメータが低いからまだ水しか入らない。水魔法のスキルを使って立方体に少しずつ水を注ぐ。これにそれぞれ色を付ける。

 ピンク、水色、黄色の水が少しずつ波立つ。淡い光を放ちながらゆらゆらと揺れる。


「素晴らしい!」


 いきなりの大声にびくってなった。恥ずかしい。しかも驚いたせいで弄った魔方式が元に戻ってしまった。

 名前を忘れた時空魔法の講師は興奮した面持ちで、何やら捲し立てている。聞き取れない。


「さすがですわね……!」

「申し訳ありません、あまり持続出来ませんでした」

「構わないわ! あぁ、やはりわたくしも基礎の講義に参加したいわ!」


 頬を紅潮させたドーリス嬢に賛辞の言葉を頂いたが。

 どっちかっていうと、こういう上品な人には嫌われるタイプだ思うんだけどな、私。


「わたしも、出来る?」

「練習すれば出来ると思うよ。ナビール祭の時より弄る部分が多いから難易度は高くなるけど」


 数を増やす、色を付ける、はナビール祭の時と一緒だし。違うのはスキルを使った魔法の組み合わせと波の部分くらいだ。


「練習する」


 落ち着いたらしい講師から質問攻めにあったせいで、時空魔法の講義が潰れドーリス様とメリル以外から睨まれた。腑に落ちない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ