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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
75/110

振替休日③




 いやあ、魔動車ってこんなにスピードが出るものだったんだね。

 ソフォス講師の魔力切れで魔動車が止まると、後ろから三人が這い出てきた。エフィムって何が起きてもテンション高そうだと思ってたけど、そんなことなかった。


「皆大丈夫? ……じゃないね。休憩にしようか」


 三人に冷たい水を渡す。

 魔動車の中に寝袋も置いておこう。


「横になった方が楽そうだったら寝てて。私ちょっと採取してくるわ」


 水だけ置いて歩いて採取ポイントまで向かう。

 川辺に小さな白い花をつけた薬草が生えている。水辺にしか生えない薬草だが、珍しいものでも何でもないのでポイントは低い。それでも滅多に外に出ることがないので、こういう時に少しでもポイントを稼いでおく。

 この依頼は常時出ているが消えることはない。よく使う薬草なんだろうな。今はまだ知識がなくてわからないけど、薬草学とか勉強すればわかるようになるんだろうか。


「ただいま。どう? よくなった?」

「だいぶ……」


 うん、顔色は良くなって来たね。


「予定より大分進んだし、コースの確認しておこうか。そろそろ戻り始めないといけないしね」


 地図を広げ、現在地を探す。


「今がこの辺りか。で、この泉付近に珍しいモンスターが出るらしいって噂があるからちょっと行ってみようか。昼用の食料も欲しいし」


 こういう時ってさっぱりしたものの方がいいのかな? 肉は残ってるから野草の類が欲しいところだ。


「セリカさん、珍しいモンスターって何ですか?」

「蜂だったかな。毒は弱いらしいから大丈夫」

「それなら解毒剤もあるし大丈夫かな……」


 スケッチに渡している分も充分にあるけど、きちんと私も持ってるからばっちりだ。まぁ私が使うことはないんだけど、カモフラージュも兼ねてね。

 ソフォス講師の魔力がほぼ切れているからエフィムの運転で泉へ向かう。近くに薄い水色の大きな花が咲いていて、それに蜂が群がっている。


「あれですか?」

「あれじゃなくてね……あ、いた! あっち!」


 蜂の大きさは拳大くらい、模様は黒と黄色の縞々。その中に数匹黒と赤の縞々が混じっている。


「あの赤い方の針が欲しいの」

「難しいこと言いますね……」

「大丈夫大丈夫! 皆赤いのには魔法当てないでね! 当ててもいいけど針は傷付けないで!」

「そうなると威力の大きい魔法は難しいな!」

「雷?」

「雷いいかもね」


 とにかく実践で魔法を使いたいメリルとエフィムが頑張るそうだ。蜂が近付いて来たら私とスケッチが仕留める。ソフォス講師は蜂以外の周囲警戒。

 メリルが左側半分、エフィムが右側半分を範囲に魔法を撃つ。威力はまちまちで即死したものもいれば余裕で動き回っているのもいる。生き残りがこちらに気付き、向かって来た。


「個別に狙って魔法撃てる?」

「撃てるとも!」

「やる」

「スケッチ、二人が外したら黄色は任せる。赤は私ね」


 十匹ちょっとくらいだし、外さないかな。……と思ったら、けっこう外したな。

 スケッチは魔法で黄色の蜂を四匹仕留め、私は剣で赤い方の蜂の腹を切断する。よし針ゲット!


「最初の蜂、まだ生きてるかもしれないから気を付けてね」


 念の為に止めを刺してから赤の蜂から針を抜く。これで5本集まった。ポイントゲット!

 せっかくなので黄色の蜂からも針を抜いていこう。ポイントにはならないけど一応売れる。


「モンスター相手だと中々当たらないものだな!」

「難しい」


 あ、そうか。学園だと空中か動かない的に撃つもんね。モンスターみたいに動きがあるものが相手はあんまり経験がないのか。

 でもスキルで魔法を使う場合、大体自動的に命中すると思うんだけど……。


「命中精度は個人差があるから。その辺り詳しくは解明されてないみたいだけど」

「うむ! それも今後重要な研究課題だな!」


 知らなかった。スケッチって意外と物知りだよねぇ。


「僕も気になって調べたんだよ。動くものを相手にした方が命中率も良くなるみたいだよ」


 隠しステータスでもあるのかね?

 私はハンター経験分があるからちょっと有利なのかも。ダーツも含まれたらさらに上がるよね。


「学園でも動く的とかあればいいね」


 元々ナビール学園って実戦向けじゃないっていうか……。学年が上がってもこういう感じだとさ。


「ナビールってサービオに勝てないんじゃ?」

「勝てないよ?」


 不思議そうに返された。


「特にここ数年は負けっぱなしだよ」


 そんなんでいいのか。レベルがそんなに違うなら対校戦とかしなきゃいいのに。意味なくない?


「来年は勝つぞ! 我々ならばいける!」


 負けっぱなしなのにその自信はどっから来るんだ。

 対校戦は二年次の冬のみだし、まだ時間はあるんだけど。


「勝ちに行くなら今のままの講義内容じゃ無理でしょ」

「ではどうすればいいと思う?」

「実戦」


 これに尽きる。せめて動く的は必要だよね。

 対人戦だからモンスターは要らないし、模擬戦増やせばいいんじゃない?


「メンバーが決まったらそのメンバーだけでも強化すればいいし。でも決まった時だと遅いか」


 個人戦と団体戦があるが、どういう基準で選ばれるかは知らない。普通に考えれば強い人からなんだろうけど、貴族位はどう影響するんだろうね?


「間違いなく私は選ばれるからな。君たちも推薦しておこう!」

「えっ!?」

「遠慮するわ」


 興味はあるけどユーリー様より強いってどうなのか。やっぱり婚約者が自分より強いとおもしろくないというか体裁が悪いというか。


「まあ推薦しなくても選ばれると思うがな!」

「辞退する」

「意外。セリカさんは出たがるかと思った」


 まぁどっちかっていうと出たいんだけど。


「婚約者がいなかったら出てた」

「あー……」

「なぜ婚約者いたら駄目?」

「女が男より強いと格好つかないでしょ」

「そんな器の小さい男などやめてしまえばいい!」

「ユーリー様がそう思うかどうかわからないけど、周りは思うでしょ。私のせいで悪く思われるのは申し訳ないし」


 自信過剰とも思われそうだけど、実際本当に実力差というかパラメータ差、経験差がかなりあるのだ。パーティ内で一番パラメータの低いスケッチでも、実戦なら余裕で勝てる。生徒の中にレベルが高い人は見当たらないし、あとは授業風景だけの判断になるが間違いなく私やスケッチ、コジローとアカネはトップクラスだろう。


「そんなわけで、私が狩りに慣れてるとか周りの人は知らないんで、ここだけの話にしておいてね」


 口止めはしてるけど、もうかなりの人数が知ってるな。ユーリー様に伝わるのは時間の問題か。……家の購入、早めた方がいいかも。




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