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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
74/110

振替休日②



 午後は私がメリルに運転を教える。その間スケッチとソフォス講師は仮眠。エフィムは二人の邪魔にならないよう、大人しくしていてくれるはずだ。たぶん。


「足元の右側のペダルを踏めば発進、左側を踏めば停止。右足だけで操作してね。方向は手元のこのハンドルを右に傾ければ右、左に傾ければ左に曲がる。全部の操作は魔力を少し通しながらじゃないと出来ないから。ちょっと運転してみるから見てて」

 

 一通り説明して、やってみせる。あとはメリル自身にやってもらえばいいよね。日本と違って道は広いし人いないし対向車いないしで事故の心配がほぼないのがいいよね。メリルが何か失敗しても私が魔力断ち切れば止まるんだし。


「こんな感じ。どう? 出来そう?」

「出来る」


 数時間も運転していれば慣れたもので、目の前にモンスターが現れて中断するまで魔力切れもなかった。

 魔動車を止めてモンスターを狩る。後ろが仮眠中なので手早く機械弓で。おぉ、楽しい。食用に出来るモンスターだったので必要部位だけ剥ぎ取って残りは捨てた。夜営しやすい場所まで移動してから料理に取り掛かるか。

 街道沿いにも夜営用に開けた場所はいくつかある。その中の一つを選び火を焚く。


「夜はシチューにしようか」


 肉を熟成させて一口大にカットし、野菜もざくざくと切って入れていく。トマトのクリーム、塩胡椒で味付けして完成。あとは朝に買ったパンを炙る。


「また豪快なシチューだね」

「外で食べるんだから豪快でいいの」

「セリカさんはいつでも豪快でしょ」


 失礼な。しかしスケッチも言うようになったなぁ。始終ビクビクされるより断然いいけどね。

 具の大きなシチューを頬張る。うん、上出来だ。

 こういう時に石板があればバーベキューっぽいこと出来て楽しいかも。


「随分慣れているようだけど、狩りはどこで?」

「実家の兄がこっそり教えてくれました」


 嘘ではない。

 ハンターですとも狩りは初めてですとも言えないので仕方ない。変わったお兄さんなんですね、ということで納得しておいてもらおう。


「魔動車の運転も?」

「はい。兄の友人が魔動車を持っているらしくて借りて来てくれました」

「魔動車を所持!」


 ソフォス講師が興奮して立ち上がった。普通の人なのに魔動車の話になると人が変わるよなぁ。

 ソフォス講師の魔動車に対する愛に相槌を打ちながらシチューを完食。まだ終わりそうにないしお茶でも淹れるか。こういう時にお茶淹れあると便利だね。

 

「セリカは面白いスキルを設定しているな!」

「せっかくの三連休だから普段と違うスキルを設定してたのよ」


 ということにしておこう。

 今回使ったスキルは水魔法・お茶淹れ・料理・洗濯・解体・弓術・気配察知か。長剣はまだ使ってないけど持って来た武器が剣だし、軽業は使う可能性が高い。あとは出来るだけ使わないようにして、魔法を使うなら出来るだけ水にしておこう。


「暗くなって来たし、そろそろ休むわ」

「うん。おやすみ」


 ソフォス講師とスケッチに任せて残り三人は魔動車の中で休む。

 ソフォス講師は一応保護者ということで、二日とも番をしてくれるらしい。

 魔動車はギリギリ三人が寝るくらいのスペースがある。それぞれ寝袋に潜り込んだ。明日は薬草採取ポイントに行かないと。



 肌寒さに目が覚めた。

 ちょっと早いけど寝袋から抜け出す。体を軽く解す。メリルはまだ寝てるけど起さなくていいかな。慣れないことして疲れてるだろうし、出来るだけ寝かせておこう。


「おはようございます」

「おはよう」

「おはよう。早いね」

「ソフォス講師、交代しますよ。少し休みますか?」

「いや、今日は私の番だからね。起きておくよ」


 興奮状態で眠れないと。

 三人分の珈琲を淹れた後、朝食の準備を始める。簡単にスープとパンだ。


「乾燥野菜ばっかりになるのが難点よね」

「干し肉と固形食糧って人もいるくらいだし、充分だと思うけど」

「スケッチは食べ物にあんまりこだわりないよねぇ」

「まぁ、こだわりはないかなぁ。野菜より肉が好きだけど」


 一応男の子だしね。

 身体づくりには野菜も必要かなと思ってるだけで、私も断然肉派だけど。


「もうすぐ出来るから起して来てくれる?」

「うん」


 よし完成。あとはスープ皿に注ぐだけ。


「おはよう!」

「おはよう。朝はスープとパンだよ」

「……見逃した」

「おはようメリル。まだ二日あるし、スープはまた作るから」


 スープは材料の都合で作ることが多いからね。簡単だからそんなに何度も見なくてもいいと思うし。

 朝食をとりながら進行方向を話し合う。今日は薬草の採取ポイントを通りたいし、気合を入れないとね!




「さて、私の番だね」


 うわぁ……。目が爛々としてる。


「そうですね。ソフォス講師は初めてではないんですよね?」

「もちろん。特に問題はないけども念の為に隣に座っていて欲しい」

「はい、わかりました」


 そんな気はしてたけど、魔動車が絡むとけっこう面倒な人かもしれない。一気に落ち着きがなくなった。

 ソフォス講師がハンドルを握る。魔力が魔動車に移っていく、が。


「ちょっと、多くないですかね」

「まだまだ」


 うーん……。

 魔力がどんどん……。これ、やばくない?


「あのー、私は別にいいんですけどー。後ろがしにそーでーす」


 ソフォス講師、スピード狂か。

 景色の流れる速さ、やばい。

 確かに魔力を多く使えばスピードはどんどんあげられるけどね。もちろんその分魔力の消費が早くなるから、運転する時間は短くなる。運転時間短くなっていいのかね。あと後ろから聞こえる悲鳴がとても気になる。

 いっそ早めに魔力切れになった方が楽かもなぁ。このまま様子見しておくか。



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