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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
71/110

ナビール祭②

 



 ナビール祭二日目。


「おはよう、スケッチ」

「あ! おはよう!」


 お? 朝からテンション高いな。珍しい。


「昨日、どうだった?」


 昨日の午後、基礎魔法の発表があった。私は受付があったので参加してないが、スケッチは空き時間だったため発表に参加したはずだ。


「それがね――」


 こんなに嬉しそうなスケッチを見るのは初めてかもしれない。弾む声で昨日の出来事を詳細に語ってくれる。うん、順調そうで何より。残り日数はエフィムとメリルの二人に任せてしまう形になるけど、大丈夫そうだ。

 一頻り話が終わったら今度は私の番だ。ヤツがまだ来てないことをいいことに愚痴りまくった。きっと今日もネチネチタイムだよね。


 午前中は予想通り、パーヴェル・ストラーウスの相手を頑張った。ひたすら妹自慢だ。その話、昨日も聞いたよ。せめてまだ聞いてない新しい話にしてくれない?

 飽きてきたけどシモナ・ベナーク避けにはなってるしいいか。どっちが面倒かといえばそれはやっぱりシモナ・ベナークの方だ。きゅって捻りたくなる鬱陶しさ。きゅっとしてもいいですか。


 実行委員の休みは半日しかないが、それぞれ時間をずらし昼休憩が与えられる。フェリシー様がやって来た。


「フェリシー様! どうなさいました?」

「実行委員のお仕事があっても、お昼に休みはあるのでしょう? 一緒に食事になさいませんか?」


 フェリシー様が来たことで、先に休憩に入ることになった。さすが上位貴族。そしてなぜ当然のようにいるんですかね、アルベール様は。

 サオンとオネエは一緒に来ると食事するタイミングを外してしまいそうなので別行動。上位の貴族と一緒だとそういう細かいところが面倒だよね。スケッチとかコジローなら一緒に食べられるのに。


「フェリシー様。どこがよろしいですか?」

「私は時間がたくさんございますから、セリカ様の行きたいところに行きましょう?」


 私の行きたいところねぇ……。

 出店で買い食いしたいけど、フェリシー様が一緒なのでNG……だよね? 私の目線に気付いたのかめっちゃ期待してるみたいだけど、使用人がめっちゃ困ってるし、NGだよね?

 どうしたらいいかわからず、アルベール様を見た。こっち見てた。

 妥協案として、出店で買ったものをカフェテリアで食べることを提案した。許された。

 

 おぉ! 予想外! 意外と祭りっぽいものあるじゃん、やったね!

 出店の並ぶエリアで色々な種類を少しずつ購入。せっかくだし色んな物食べたいし! フェリシー様にもアルベール様にも何がいいか聞いてみたけど、何これ? というような顔で選んでもらうどころじゃなかった。あまり時間もないので私の独断でチョイス。お供の人が荷物を持ってくれたので、手ぶらでカフェテリアへ移動だ。席が空いてるといいなぁ。

 

「あ、この講義室に私のレース編みが展示されているんですよ」

「昨日拝見させて頂きました。とても綺麗でしたわ」


 倶楽部の話などを聞きながら講義室の前を通り過ぎる。

 突然、講義室から悲鳴が上がった。

 振り返るとシモナ・ベナークとカメリア・カナリアがレース編みの隣の講義室から走り出てきた。


「何かあったのかしら?」

「あ、フェリシー様、危険です。私が確認して参りますから、どうぞここでお待ちください」

「……お前は一応女だろ。俺が行く」

「あ……」


 そうじゃないんだけど……あー……。


「うわああああああああ!?」

「ぶふっ」


 おっといけねぇ。

 

「お兄様!? どうなさったのです!?」

「何でもない! 何でもないからカフェテリアに行こう!」


 駄目だ笑いを噛み殺しきれないっ!


「ふ……そ、そうですね。時間もあまり残ってませんので移動してしまいましょう」


 アルベール様に睨まれた。気付かれたか。

 フェリシー様が不思議そうな顔で尋ねるが、アルベール様は応えず話を逸らそうとしている。わざとらしすぎでしょ。まぁ私は敢えて突っ込みませんけど。



 カフェテリアは充分席が空いており、テーブルを一つ確保し買ったものを並べた。


「初めて見るものばかりですわ」


 そりゃあそうでしょう。

 イカ焼き、たこ焼き、リンゴ飴、綿あめ、焼きそばなどお祭りっぽいものを選んでみたからね。あると思ってなかったから嬉しいわ。

 ナイフや取り皿を借りてサーブしていく。さすがに齧り付けないからね。


「アルベール様は剣術大会と馬術大会は参加なさらないのですか?」

「午後からだ」


 やっぱり勝ち残っていたか。まぁさすがに予選落ちはないよね。


「受付のお仕事がなければお誘いしましたのに」


 私が行ってたら注意力散漫で負けてたかもしれないし、委員があって良かったかもね。腕がいいとはいえ、まだ一年生だ。


「せっかくのナビール祭ですのに……」

「昨日色々と見て回りましたし、お昼に休憩もございますから、充分楽しんでおりますから」


 うんうん、萎れたフェリシー様もかわいいなぁ。



 昼休憩から戻ると、シモナ・ベナークは不在だった。さっき見かけたのは休憩ではなく休みだったようだ。いないと気が楽でいいわー、助かった。でもいつまでもこう逃げてるわけにはいかないよね。どっかでケリつけないと。一番いいのは向こうが私をスルーしてくれることなんだけど、難しいだろうなぁ。

 

「聞いているのか!?」

「もちろんですわ。シャルロッタ様の入学が楽しみですわね。きっと注目の的ですわ」

「そうだろうとも! この前だって――」


 必要のない情報ばかりが増えていく。お嬢様は武器愛好倶楽部にも入らないだろうし、接点なんてないんですけど!

 あ、でもユーリー様がダーツ倶楽部に誘ったりするかもなぁ。えー、私邪魔じゃない? その時は空気読んで退部かなぁ。別にダーツ倶楽部入ってなくてもダーツ出来るし、迷宮で投擲も使えるし問題ないけど。


「おい、聞いているのか!?」

「もちろんですわ。シャルロッタ様の刺繍が飾られれば、見学者が殺到することでしょうね」

「そうだろうとも! 他にも――」


 ……終了時刻まだー?

 



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