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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
52/110

七ノ月




 結局スケッチも北方旅行に参加することになったり、コジローとアカネが迷宮デビューしたりとなんやかんやで、七ノ月。

 魔法実技が開始される。

 一人三つ以上選び、一教科週に最低一限出席すれば良い。私は基礎を入れて五教科なので、二限ずつ出席する予定だ。基礎は特別なので曜日が決まっている。


 魔法実技は基礎の時に講義は一通り終わっている。そのためメインは実技。

 元よりパラメータが上がれば新しい魔法を自動で覚えるし、学ぶ内容などたかが知れてる。ひたすらその属性の魔法を個人練習。たまに二人組で練習することもある。

 こういう時はこの魔法、こうなったらこの魔法、とある程度決まった形式を学ぶ。講師が見本、それに習って練習、魔法の数が増えたら練習試合。

 

「火はやっぱり難しい……」


 スケッチが机にぐったりと凭れたまま呟いた。

 アルベール様はいるがフェリシー様はおらずユーリー様もいないので、この時間はスケッチの隣に座っている。


「攻撃は出来なくても補助は使えた方がいいしね。特にスケッチは筋力ないし」


 パーティを組んでいる間は他のメンバーが使えるので問題ない。だけどソロでEランクを目指すなら、あった方がいいと思う。というか、ないと無理かもしれない。

 スケッチは結局、神聖、火、風、光、基礎にしたそうだ。まぁ時空は騎士になるのに必要なスキルじゃないし。あると便利だけど、便利になるまでにすごく時間が掛かるからね。


「付与はなくてもいいけど、せめて補助の二段階目までは欲しいよね。一年の間にぎりぎり行けそうかな」

「だといいなぁ」


 向いてない属性だと上がり方が遅い。スケッチに一番向いている風は100を超えているが、二番手である光や神聖は50を超えていない。パラメータだけ見ると低いような気がするが、魔法を使い始めて二ヶ月ほど。充分だ。


「そういえば、新しいローブを作ろうと思うんだけど」

「ローブ?」

「旅行にまで制服ってのもね。もういっそハンター用のローブ作ろうかと思って。スケッチのも作っていい?」

「あ、はい。お願いします」


 迷宮の素材売りで得たお金を使うことになるので、勝手に作るわけにはいかないのだ。オネエに作ってもらった方が安上がりだしスケッチにも必要な品だと思うから、得することはあっても損することはないけどね。

 デザインはもう決めてある。私は暗めの薄い赤でスケッチはベージュのフード付き。真ん中の合わせに模様を入れるのだ。昨晩オネエと色々話し合いデザインを考えた。

 今頃オネエが頑張ってくれているはずだ。旅行用の荷物の用意も買い出しも全部任せてある。オネエはしっかりしてるから助かるわ。値切り交渉はパーティ一だよ。




 魔法基礎の初回、講義室に集まったのは事前に聞いていた二人とスケッチの合計四人。少人数すぎる。

 少人数ゆえに自己紹介をする流れになってしまった。


「Dクラスのアルスケッチ・ファーマーです。よろしくお願いします」

「Aクラスのセリカ・アデュライトですわ。よろしくお願い致します」

 

 スケッチと私が簡単に済ませると、ソフォス講師が不満そうに視線を寄越した。他に何を語れと。趣味か特技か。いらんわそんなもん。


「Bクラス、メリル・カイザー」


 メリルは銀髪ボブショートの、無口で無表情なちんまりとした少女だ。クラスと名前だけぽそりと告げて手元の本に目を落とした。


「次は私の番だね! 私はCクラスのエフィム・ツァープリャ! 卒業後は魔法院に進学する予定だよ!」


 最後の最後で濃いキャラ来たなぁ。

 勢いよく立ち上がったのは、エフィム・ツァープリャ。銀縁眼鏡着用で、紫色の髪を後ろで一つに纏めており、制服のローブではなく白衣を羽織っている。コジローよりは制服の名残はあるけど。魔法オタクでテンション高めの変人キャラ。ゲームではよく花のエフェクトを背負っていた。たぶんギャグ要員、っていうかイロモノ扱い?

 しかし全員別々のクラス。各クラスから一人ずつ、みたいになってるな。


「……魔法院?」


 あれ? ゲームでは魔法士になってたはずだけど。魔法院だったっけ?


「そうだよ! もしかして君もかい?」


 嬉しそうに両手を握られた。


「いいえ。魔法院に入るとおっしゃる方に初めてお会いしたので、つい。私は進学致しませんわ」


 まぁゲームはあくまでベースだしね。その通りになるわけではない。


「わたし、魔法院」


 ぽつりとメリルがつぶやいた。


「おや! 君は魔法院なのかい? 仲間がいるとは嬉しいね!」


 テンションがさらに上がったエフィムが、魔法院について語り出した。


「君たちもぜひ魔法院を目指そうではないか!」

「私は卒業後、婚約者の元へ嫁ぎますので……」

「では君!」

「えっ」


 がんばれスケッチ。ガンガン押されてちょっとかわいそうだけど、これから半年以上このノリについて行かないといけないからね。慣れないと厳しいよ。スケッチはタジタジ。エフィムはノリノリ。

 でもそろそろ講義に入りませんかね。



 魔法の実技が始まったことで魔道具制作でも魔石を取り扱うようになり、すごく楽しい。

 魔石に魔法を閉じ込めて動力にし魔道具を作動させる方法と、魔石をそのまま使用する方法がある。使い易さ、デザインを求めるならば前者、手軽さを考えれば後者というところだろうか。

 魔石に光の魔法を閉じ込めればランプの動力に使える。そのまま使うなら投げた時の衝撃で目暗ましにするか、手に持ったまま光らせるか。魔石一つで色々応用が効きそうでなかなか楽しい。投げた衝撃で壊れれば使い捨てになる可能性があるが、隠し玉にするには良さそうだ。色んな魔石を作ってサオンに持たせるのもいいかもしれない。魔法が使えなくても投擲でカバーだ。恐ろしくコスパ悪いけど。

 補助魔法や付与魔法は入るのか。もし入れば使い勝手が良いものになりそうなんだけど。回復魔法もいざって時のためにいいよね。

 持ってる魔石にいろいろ入れて、迷宮に持って行ってみようかなぁ。



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