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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
51/110

閑話 フラヴィニー異母兄妹

主人公の視点ではありません

苦手な方はスルー推奨

本編を読むにあたり支障ありません

 



 フェリシーは母親の違う妹だ。母親同士の仲は良くないが、フェリシーは俺にとって大事な妹。兄である俺が守るのは、当然のことだ。

 本当は学園に通うのも反対だった。家に教師を招けばそれで充分だったはずだ。定期的にお茶会を開催しているし、社交も問題ない。

 だがフェリシーが通いたいというのなら、叶えてやりたい。貴族位の高さを目当てに寄ってくる害虫から、俺が守る。媚を売る下っ端貴族なんぞフェリシーには必要ない。

 

 そしてセリカ・アデュライト(ヤツ)が現れた!


 媚を売りに来た割には、あまり一緒に行動しない。

 女は派閥で動くものなのに、こいつ本当に女か? 単独行動が多い。社交出来てないけど大丈夫か? のんびりしているように見えるフェリシーでさえ、その辺りはしっかり教育されている。

 大体、お供もつけずに一人で食堂に行くか普通!? 一応貴族だろうに敵ながら心配になる。末っ子らしいし、あまりそういう教育を受けてないのかもしれない。それとも四位だとそんなものなのか? 俺の周りには一位から三位の貴族ばかりで、四位以下はいないのだ。

 そういう意味ではフェリシーより危なっかしい。フェリシー以外と話しているところも見掛けないし、大丈夫なのか?


 フェリシーの周りはセリカ・アデュライト以外、ごく普通の貴族の令嬢ばかりだ。大抵が二位、三位の貴族だし、淑やかな、レース編みの似合う令嬢ばかり。フェリシーに相応しい立派な令嬢だ。

 しかしセリカ・アデュライトは違う。

 何か胡散臭い。実技や倶楽部もおかしい。馬術は良いとして剣術。倶楽部は武器愛好会とダーツ倶楽部。明らかにおかしい。

 本当は、フェリシーに悪影響を及ぼす前に排除したい。

 しかし残念なことに、フェリシーはセリカ・アデュライトを気に入っているようだ。他の者に見せない好意が透けて見える。

 食堂やカフェテリアに一緒に行きたがったり、講義や実技が同じだと嬉しそうにしている。下町や狩りに一緒に行きたいとこっそり考えているようだ。

 下町はともかく、狩りは絶対に許さんぞ!

 フェリシーは、セリカ・アデュライトのような凶暴な人間とは違うのだ。

 あいつ、絶対におかしい。何かある。あんな凶暴な人間が貴族の令嬢だなんて間違いに違いない。

 このままでは今まで大事に大事にしてきた妹が、毒牙に掛かってしまう!

 何としてでも食い止めねば!


 極めつけの出来事は、あれだ。

 フェリシーに下心をもって近付いてきた輩。俺も目を付けていてどうにか追い払おうとしていたが、一応二位貴族なので強く出られず、警戒していた男だ。

 セリカ・アデュライトは冷たい目でそいつをじっと見つめ、小声で何か囁いた。すると見る見るうちに男は青褪め、お供に連れられ逃げ去った。そして数日間、学園を休んだ。

 何があったのか不思議に思った周りに一言、


「ただの害虫駆除ですわ」


 と珍しく嫋やかに微笑んだ。

 こえーよ!

 クラスメイトの心がひとつになった気がした。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 

 ナビール魔法学園に通うようになって、今まで周りにいなかった、ちょっと変わったお方に出会いました。

 セリカ・アデュライト様。

 背が高くて、すらりとしていて、でも女性らしい体付きの、美しいお方。

 金色に桃色が混ざった変わった髪色で、いつも変わった編み方をされていて素敵なのです。わたくしも同じ髪型をしてみたいと思ったのですが、お兄様に止められました。

 特に細い三つ編みをたくさん編んだ髪型は素敵なのに。でもあれは、セリカ様だから似合うのかもしれません。それに私があの髪型をすると、周りのご令嬢も編まざるをえませんしね。

 

 セリカ様はとてもお優しいのです。

 私が食堂やカフェテリアに行きたいと我儘を行ったときも連れて行ってくださいました。セリカ様は真面目に講義に出ていらっしゃるのに、お休みまでしてくださったのです。

 そしてセリカ様は、私の知らない世界を知っています。

 私は王都したまちのお店にあまり行ったことがありません。お店に行かずとも屋敷に商品が届くからです。

 東ノ島通りやパフェがとても気になります。とても、気になります……。

 しかもセリカ様は狩りに行ったことがあるのだとか。

 私の周りの令嬢たちは、誰も狩りに行ったことなどありません。殿方の遊びなのだと思っていましたから。

 動物を殺すのは怖いです。解体する場面は気持ちが悪くなりますよと言われました。きっとその通りになることは想像に難くありません。それが出来るセリカ様はすごいです。


 私は王族の血を引く一位の貴族令嬢ですから、貴族から落とされることはよほどのことがおきない限りないでしょう。しかし本来貴族は功績がなければ位を落とされていくし、最終的には貴族ではなくなります。そうなったとき、狩りが出来ればそういうお仕事だって出来るでしょう。私が普段食べているお肉もそうやって狩られているわけですから。

 いつか狩りにも行ってみたいです……。



 そして、私は気付いてしまいました。

 セリカ様とご一緒だと、お兄様がとても楽しそうなのです。

 令嬢の相手は面倒だといつもおっしゃっていたのに、セリカ様がご一緒だと口数がとても増えます。憎まれ口を叩くこともありますが、私にはわかっています。照れて素直になれないだけなんですよね。シルヴァン様もおっしゃってました。

 食堂にもカフェテリアにも一緒に行くとおっしゃるし、この前はこっそり倶楽部を覗きに行っていたこと、知っているのです。お兄様は健気で恥ずかしがり屋さんなのですね。

 お兄様、私はお兄様の味方です。

 お兄様には婚約者候補はたくさんいますが、まだ決まっているわけではありません。セリカ様には婚約者の方はいらっしゃいますが、三位の貴族。ならばお兄様にだってチャンスはあるのです。

 私、セリカ様がお義姉様になってくださったら、とても嬉しいです。

 だから私、精一杯、お兄様にご協力します。ユーリー様には申し訳ないですが、セリカ様は頂きますね。


「どうした、フェリシー?」

「うふふ。お兄様、私、セリカ様と王都したまちでパフェを食べてみたいですわ」


 あら? お兄様が固まってしまいました。

 そんなに緊張しなくても、私も一緒ですから大丈夫ですよ?

 でも早く慣れて、デートにお誘い出来ると良いですね。




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