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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
50/110

アカネのスキル設定




「昨日はどうだった?」

「そうだな、前日に比べて、あまり進めなかった。一人の方がより戦えると思っていたが、そういうわけでもないようだ」

「そうね、十階くらいまでなら二人がちょうど良いと思うけど。ねぇ、アカネもハンター試験、受かったのよね?」

「う、かりましたけど」

「ちょうどいいじゃん。コジローとアカネで組んでみたら?」

「ふぉっ」


 宣言しておいたのに、なぜ驚く。

 アカネが目を見開いて私を見ている。怖いからやめろ。


「ふむ……アカネさえ良ければ、今週末迷宮に付き合ってくれないか」

「はい喜んでえええええっ」


 だから怖いってば。コジローも若干引いてるぞ。

 

 

 と、言う話をした月曜日の放課後、アカネに呼び出された。

 私倶楽部に行きたいんだけど。


「コジロー様と二人きりで迷宮なんてっ!」

「モンスターいるから二人じゃない。大丈夫」


 顔を手で覆って、いやいやと頭を振るアカネ。

 なんていうか、動作が一昔前の少女漫画みたいだよね。


「で、スキル設定だっけ? コジローのフォローが出来るような構成がいいと思うんだけど。コジローが気配察知持ってないから、それは必須。必要そうなら解体、投擲辺りかな。罠は今のところないけど、そのうち必要になるかもね」

「設定するわ」

「枠足りる? 足りないなら投擲はなくてもいいと思うけど」

「大丈夫。魔法実技始まるまではこれで行く。全力でコジロー様をフォローするわ!」


 おー、がんばれー。

 迷宮内で快適に過ごそうと思うと分担して家事スキルを設定するといいんだけどね。枠が無限にあればいいんだけど、さすがに十だからなぁ……。どうせ週末しか潜れないんだし、そこはいいか。


「まぁまた何かあったら声かけて。じゃあがんばってね」


 妄想中で返事がないが、気にせず倶楽部に行くことにした。  


 

 今日はユーリー様が剣術倶楽部に行っているので、武器愛好倶楽部だ。

 スキルの武技以外で必殺技を生み出すため、コジロー相手に回転斬りとか二刀流とか、色々試してみた。

 真面目にやれと怒られるかと思ったけど、コジローも楽しんでいる。けっこう柔軟性あるんだね。もっと頭固いキャラだと思ってたわ。

 

「うむ……回転斬りには軽業が必要か」


 コジローが軽業狙いそうな予感。


「あると便利よ? かっこいいし。最近少しだけど天井も走れるようになったの」


 天井を走って見せる。まだ三歩くらいで落ちるのよね。もっと自由に走りたい。

 何で皆軽業狙わないのかね。こんなに便利でかっこいいのに。やっぱり三つ枠を使うのがいかんのか。


「ん? 今誰か……」

「どうかした?」

「いや気のせいだったようだ」


 天井を走って見せたり、回転斬り研究をしたり、今日の倶楽部活動はなかなか有意義だった。カイ先輩は苦笑い、他の先輩は引いてたけど、楽しければいいのである。っていうか皆軽業取ろうよ! 倶楽部全体で天井と壁を走り試合したらおもしろそうですよ?



 倶楽部の終わった帰り道、スケッチに遭遇した。


「セリカさん、ちょうど良かった。魔法実技で相談したいことがあって……今ちょっと良い?」

「いいよ。カフェテリアにでも行く?」


 寮生であれば男子寮と女子寮の間にある談話室も使えるが、スケッチは元々王都に住んでいるため通いである。手続きをするのも面倒だし、カフェテリアの方が楽なのだ。


「籠手も持って来てるんだけど……こんな感じで良かったのかな」

「ばっちり! かっこいい! 期待通り! ありがとう!!」


 刀に籠手とかかっこいいよね!

 しかも模様すごい。あれよ、すれ違ったら振り返るね、これは。どこで買ったの? って聞きたくなるよね。私なら間違いなく聞く。

 これに合わせて胸当てにも描いて欲しいなぁ。頼んじゃおうかなぁ。

 ベルトとかバッグにも欲しいなぁ。どうしようかなぁ。


「……それで本題なんだけどね、セリカさんは魔法実技、何にするの?」

「んー、神聖、時空、火、風、基礎にする」

「基礎?」


 基礎は今のところ、一般生徒には知らされてない。あくまで生徒から希望があれば案内する予定だそうだ。口止めされているわけじゃないから普通に言っちゃうけどね。

  

「なるほど……」

「スケッチもどう? かなり難しいらしいけど」

「うーん……受けてみようかなぁ。他のはどうせ、迷宮で使っていれば上がるしね」


 確かにそうなんだよね。正直学園でやらなくても迷宮で使えばいいだけだし。


「迷宮で使わない魔法を学園で習ってみる? そしたら万遍なく伸ばせるかもよ?」

「そういう考えもありかぁ」

「ただ成績があるからあんまり不得意な属性だと困るかもね」

「うーん……」


 スケッチは迷宮で光と風をよく使う。

 苦手なものは時空と火。


「正直僕、成績はあんまり関係ないんだよね。剣術があるからどうしてもDクラスから抜け出せない」


 あー……うん、そうだね。


「いっそのこと、一年は成績悪くなりそうなもので行ってみようかな」

「それはそれでいいかもね。成績を考えるなら二年からでもいいし。というか騎士になるのに成績関係ないんだっけ」

「うん。ハンターから騎士になるんだったら成績は関係ないよ」


 時空と火と基礎だったら私と被ってるな。それはちょっと安心かもしれない。


「最近どうなの? あいつら」

「えっと……前ほどひどくはないよ」


 じっとスケッチの目を見る。嘘はないようだ。


「ならいいけど。あ、北方旅行さ。魔動車が格安で借りられて費用はけっこう抑えられたんだけど」


 ダーヴィトお兄様の伝手で格安の魔動車を確保出来た。ただ小さいし防音もついてないので、乗り心地は以前乗ったものと比べ物にならないそうだ。

 運転も私だけになるし横になって眠れるわけでもないし、疲れも溜まりそう。でも安いからいいのだ。北方に着いてから休めばいいし。観光もしたいなぁ。


「細かい費用計算はオネエがしてくれてるから、土曜には渡せるわ。ただ黒字にはならないのよね。費用は結局差っ引きだからスケッチの持ち出しがあるわけじゃないけど」


 今からの北方旅行分を取って置けば、確実に持ち出しはなしだ。

 

「まぁ土曜日の費用計算見てから考えてみて」


 レベル差があんまり開くと面倒だし、出来れば来て欲しいんだけどね。




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