表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
ハンターになるまで
5/110

ドジっ娘メイド

 



 取説は大体読み終わったし、次の本にいこう。

 本棚には取説の他に、スキル大全、ハンター入門、ゼストノ書、世界の歴史、魔法入門書などのタイトルが並んでいる。

 やっぱりスキル大全かな。戦闘系のスキル欲しい。

 スキル大全は、系統ごとのスキルが網羅されている。パラメータがどれくらい上がればどんな技や魔法を覚える、どのスキルとどのスキルで合わせ技を覚える、といったことが事細やかに記されている。なにこれ超便利。間違いだけど魔法がある世界に来たんだし、魔法メインにしようかな。

 設定はいつでも自由に出来るけど、解除は教会で神父さんにやってもらわないといけない。しかも有料。面倒くさ、と思ったら、特典のひとつにスキルの自由設定があるし。これ、どうも自分だけじゃなくて他者に対しても自由みたいなんだよね。さすがにやらないけどさ。

 肝心なスキルを取得出来る方法は曖昧だ。要するにそれに因んだ行動を取れば良いみたいだけど、個人差がある。才能があればあるほど簡単な動作でスキル取得。逆になければものすごーく打ち込んでやっと取得、といった感じ。


「確かに読書はしたしね……」


 神聖魔法は生き返ったからだし。礼儀作法は食事の挨拶かな? 観察とかジャンプとかした覚えないけど。

 スキルがないとその行動が出来ないわけじゃない。そんなシステムだと十個しか行動出来なくなるし。スキルはただのサポートシステムだ。

 正直読書とかいらねーだろ、って思ってたけど、これは意外と有用だ。まずは100を超えると速読を覚える。200を超えると写本時間短縮、300超えると翻訳、最終的には脳内図書館という魔法を覚えるのだ。正直先の長い話ではあるが、スキルを自由に設定解除出来るので、読書の時と魔法を使いたい時だけ設定しておけばいい。

 スキルの自由設定のメリットはまだまだある。相性の悪いスキル同士を同時にセットしなければ、スキルの伸びが良くなるはず。マジハンはパラメータなので、数値が上昇だけでなく下降もする。それを踏まえてスキルを選ぶので、ゲームではわりと決まったスキル構成になっていた。それがないのだ。魔法系戦闘系スキル全網羅も夢じゃない!……はずだ。

 スキルの目星いものをピックアップしつつ、構成を考える。その間にも読書のパラメータは上昇していく。でもまだ8だ。これ上限である999までどれくらい時間が掛かるんだろう。100までいけば速読あるし、そこから速くなるかな?


 ベッドサイドのテーブルにあるベルを鳴らした。意外と小さな音だな。これって本当に聞こえるの?

 すぐにぱたぱたと足音が聞こえた。おいおいメイドさん、廊下を走って良いんですかね。


「お呼びでございますか、お嬢様っ!」


 勢い込んでノックを忘れたメイドさんの頭上には、茶色っぽい三角の耳が乗っかっていた。思わず凝視する。


「あっあのっ、わたし、今日から本邸に移動になりました、サルヴァサオン=フですっ! あ、あ長いので良かったらサオン、とお呼びくださいっ」


 ぺこりとアタマを下げても耳は取れない。カチューシャにくっついていたりもしない。初めての獣人! かわいいな! しかし何の耳かわからない。


「サオンね、よろしく。さっそくだけどお茶をお願い出来る?」

「かしこまりましたっ」


 程なくして、サオンはワゴンを押して戻ってきた。ワゴンの上には茶器やお菓子が乗っている。テーブルの横につけてかたかた震える手でお茶を淹れてくれる。見てるこっちが怖い。


「あっ、あぁっ!?」


 ティーポットが落下した。中に入った液体が絨毯に吸収されていく。幸いティーポットは割れてない。


「あああっ、ごめんなさいっ! ごめんなさいっ!」

「いやそんなにテンパんなくていいから」

「はえ? テンパン?」

「ちょっと落ち着いてね。とりあえず茶葉を掴めるような雑巾か何か持って来て」

「は、はいっ」


 サオンが走り去ったのを見届けて、ティーポットを拾う。無糖の紅茶だし、絨毯の色も濃いし、私は気にしないけど洗わないと駄目かな? クリーニング?

 サオンから布を奪い取り、新しいお茶を用意してもらう。

 今度は落とさずきちんと淹れることが出来た。


「美味しいわ」

「あ、ありがとうございますっ」

「ねぇ、私も淹れてみたいんだけど、いいわよね?」

「えっ、えっ」


 笑顔でさりげなくワゴンの前を陣取り、お茶を淹れる。茶葉の種類はわからないけど、たぶん普通の紅茶だ。


「よし。サオンも座って。一緒に飲みましょう?」


 戸惑っているサオンを強引に座らせて、話し相手になってもらう。


「サオンは何のスキルを持ってるの?」

「えーっと、掃除、お茶淹れ、料理、洗濯、マッサージ、ヘアアレンジ、化粧、服手入れ、です」

「八つ?」

「はい。お仕事に重要なものしか設定してないんです」


 せっかく二つ空いてるのに勿体無い気がするけど、そんなものなのかな。

 サオンにはまたお茶を淹れさせてもらう約束と口止めをしておいた。


 自室に一人になったので、スキルを確認する。お茶淹れと掃除が増えていた。予想通りだ。お茶淹れは100になるとカップ一杯分のお湯が瞬時に沸かせるようになる。200でティーポット一つ分。野営の時に便利そうだから欲しかったのだ。

 掃除は消臭を覚えたい。洗濯も欲しいから、こっそり何か手洗いするつもりだ。野営時の洗浄はかなり便利だと思う。料理も取っておくと便利そうだけど、厨房乱入はさすがに難しそうだし、どうしようかな。こっそり果物でも買ってきて皮むきする?

 夕食に呼ばれるまで、部屋で地味に取れそうなスキル行動を一通り試してみた。結果ステップ、体術、投擲を取得。しっかしこの場面誰かに見られたら変人扱いだよね。ノックを忘れるドジっ娘メイドには気を付けないと。



読書8

観察2

神聖魔法1

ジャンプ1

礼儀作法1

お茶淹れ1

掃除1

ステップ1

投擲1

体術1


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ