表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
43/110

スケッチの特訓

 



 入学して三週間も経てば、だいぶ慣れたと思う。

 地理と生物は相変わらず面白くないけど、図書室で本を借りて持ち込んで有意義に過ごしているし、神学は楽しい。

 魔道具制作も簡単に出来るキットを使い、置き型のランプや水を沸かせるコップなどを作った。すでに持っていたり魔法があるから不要のものばかりだが、自分で作るのはやはり楽しい。あと一二ヶ月で魔石に魔法も込められるようになるし、楽しみだ。

 実技はあまり楽しくない。基礎より実践したい派の私は、女子の集められた班では少々温い。このままずっと女子は女子で集められるなら、最低限の出席で他のことしようかなぁ。つまんね。

 

 倶楽部は未だ、ダーツ倶楽部と武器愛好倶楽部の二つ。これはどちらも楽しい。

 投擲はようやく200を超えたところで、サオンはすでに400を超えている。ユーリー様は100ちょっと。刀はようやく30を超えたところ。迷宮に刀を持っていけばもっと早く上がると思うけど、今週末からスケッチがいるからなぁ……。

 

「セリカ様。忠誠の指輪、お家のお金で一つ買えばよろしいのでは?」


 確かに。オネエの言葉に頷いた。

 実家でも指輪をしている使用人は多かったし、サオンの分として一つ買えばスルーしてもらえそうな気がする。まぁサオンの分として買って、先にスケッチにつけて貰うことになるけど。今のところサオンに危険はないし、そうしようかな。サオンの分は貯まったらすぐ買うことにして。


 金曜日は四限がないので、スケッチを連れて忠誠の指輪を買った。攻撃魔法の防御と守秘義務に関しての制約のみをつける。この条件だと手数料込で三十万で済んだ。

 指輪を待つ間に、スケッチのスキルについて打ち合わせ。


「剣、弓、槍が向いてないなら、杖術は? 魔法主体にするなら杖でもいいと思うけど」


 騎士志望ならまず選ばない杖術。ナビール魔法学園の杖術は護身程度のもので、女子率が高い。


「剣術見てて思ったのは、スケッチは筋力のなさと動体視力が弱点だと思うのよね。観察力は悪くないんだけど、追いつけてないっていうか」


 ひとまず護身程度の杖術と、モンスターを仕留められる魔法。それでどうにかハンター試験に受かってもらわないといけない。


「回避系より防御系……神聖魔法は使える?」

「まだ魔法は全然……スキルだけは少し覚えてるのもあるけど」


 おおぅ……先は長そうだ。

 ともかく杖術と魔法を伸ばさないとな。


「とりあえず今日帰ったら魔法書読んでくれる? それからどの属性伸ばすかとスキル構成決めるから、出来る限りスキル取得して来て。あんまりにも覚えなかったら向いてないから諦めていいけど」


 試してみないことには向き不向きなんてわからないからね。


「あと杖を出来るだけ振って。まずスキルがないと話にならないし」


 杖は一番安いものを買った。指輪代と杖代は、一緒に迷宮に潜ってから回収することになっている。それまでは貸しだ。


 


 翌日、王都の外の草原で待ち合わせた。


「メイド服……」


 スケッチがサオンとオネエを見て、呆然と呟いた。


「オネエの作ったメイド服は高性能だから。この二人もハンターだから手伝ってもらうわ」

「いやそういう問題じゃなくて……もしかして迷宮もそれで?」

「もちろん!」


 スケッチが何とも言えない微妙な顔をした。

 いいじゃないか、メイド服。何の文句があるっていうんだ。



 指輪も調達出来たことだし、スキル自由設定を三人に説明した。オネエとサオンは特に気にした風もない。

 スケッチはちょっと混乱しているようで、え? とかは? とか言ってるけど無視だ無視。


「細かいことはいいわ。これで教会に行く手間が省けるってだけだし。さ、スケッチ、何かスキルは覚えて来た?」

「えぇっと……杖術が1で、魔法は水と風と地と光と神聖魔法」

「火、時空はまだか」

「講義中も夜も読んでも覚えられないから、その二つは才能ないと思う。時間を掛ければ覚えられるとは思うけど」


 まぁとりあえず五つあれば大丈夫だろう。


「んじゃその五つと杖術を設定して。ダッシュとジャンプ、ステップで覚えてるのはある? あったらそれも設定ね」


 ダッシュだけしかなかったので、残り二つは覚えたら設定してもらうことにしよう。この三つはスケッチにあまり向くとは思えないけど、ないよりマシだしね。どうせ自由に設定出来るんだから、スキルを開けておいてももったいない。

 気配察知や隠身も覚えて欲しいけど、ハンター試験に受かったあとでいいか。


「来週末にハンター試験を受けてもらうから、それまでみっちりやるわよ」

「来週!? 無理だよそんなの!」

「無理じゃない。やるのよ。スケッチが受からないと迷宮にも行けないし。迷宮に行かないと稼ぎが全然ないの」

「ご、ごめんなさい……」

「謝らなくていいわ。来週の試験をがんばってくれればすぐに取り返せるから」

「は、はい」

「なんで杖術と魔法、みっちりやるわ。体力尽きたらちゃんと回復してあげるから、ガンガンいくわよ」


 いやぁ神聖魔法上げておいて良かったわ。




 一日中特訓した成果は、その直後の筋肉痛に現れた。しかしそれも私の魔法でちょちょいのちょい。筋肉痛も癒せるってすごい魔法だ。さすが呪文がリフレなだけある。

 日曜日も引き続き特訓だ。おかげで私の神聖魔法も上がる上がる。スケッチの祈りだけだと追いつかないからね。ガンガンいくぜ!

 調子に乗ってガンガン行き過ぎたのかスケッチが泣いているけど気にしない。サオンがものすごく遣り難そうにしてるけど気にしない。

 意外とオネエは気にならないらしく、けっこうなスパルタだ。

 少なくともこの二日間で私の一月分は頑張ってると思う。よくやった。でもまだ足りないから平日も頑張ってもらおう。

 二人にも自由設定を打ち明けたことだし、平日と迷宮前でスキルを変更するのも容易になった。

 今後のためにも入れ替えはこまめにしよう。

 

 この世界にもゴールデンウィークがある。それぞれの記念日は違っても、同じ日付だ。ゴールデンウィークの後半初日に試験を受けてもらう予定にして、それまでは倶楽部を休んでもらう。私はダーツ倶楽部だけ出席して、武器愛好倶楽部はお休み。ダーツ倶楽部の間はオネエに任せて特訓だ。この調子でいけば何とか受かりそうだ。


 スケッチが泣きながら頑張ったおかげで、ゴールデンウィーク初日に受けたハンター試験は見事合格。杖術は剣よりも全然動けてるし、学園の実技も変更できればいいんだけど。

 魔法もそこそこ上がっている。攻撃に使える魔法は風魔法、足止めで光魔法くらいだけど、神聖魔法が使えるので補助魔法であげられる。特訓中に覚えたジャンプやステップを上げて行けば、スピードが強化されるし、そのうち前衛も出来るようになるかもしれない。気の早い話ではあるけど。 

 サオンよりも多い講習のせいで、スケッチのゴールデンウィークは潰れる。その間私たちは迷宮に潜り、稼がなければならない。スケッチの講習が終われば収入が減るだろうからね。

 それにスケッチの特訓ばかりで、私の狩りが滞っていたのだ。ゴールデンウィーク後半は、思う存分堪能しよう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ