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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
40/110

虫除け




 地理の講義のあと、フェリシー様とカフェテリアに行くことになった。四限の馬術は自主休講。

 お土産を買って帰ったことならあるけど、カフェテリアのイートインは私も初めてだ。

 カフェテリアは白いテーブルクロスの掛かった丸テーブルの席と、重厚な黒い革張りソファの席の二種類があった。ソファの席へ座る。カフェテリアは食堂とは違い、従業員をベルで呼んで注文をする。

 リコッタチーズのパンケーキと珈琲のセットにしよう。フェリシー様はオレンジのプチタルトと紅茶のセットを選んだ。


「フェリシー様は王都でお生まれなんですよね。普段はどういったお店に行くんですか?」

「外出はあまり……」


 あぁ、そうか。

 私も実家の屋敷に住んでいた時は、あまり外出してなかった。こっちに来てから自由だったからすっかり忘れていた。令嬢はあんまり外出しないよね。防犯上の問題なのか、そういう風習なのかはよくわからないけど。


「いつか一緒にお出掛け出来たら良いですね。王都では今パフェが人気と伺いましたが、フェリシー様は召しあがったことがありますか?」

「ありません。どういったものなのですか?」

「クリームを凍らせた、甘くてとても冷たいデザート……ですかね」


 アイスが一般的じゃないから、説明が難しい。日本で説明するならアイスと生クリームとフルーツとかグラスに入れたやつ、といえば通じるのに。

 フェリシー様なら外出してなくても、お抱えの料理人が作ってそうだと思ったんだけど。お嬢様は毎日お茶をするイメージがあるからね。うちでさえ毎日お茶菓子があったし……。あぁでもパフェはお茶菓子にならないか。


「セリカ様は他にどのようなお店に?」

「そうですね。東ノ島通りによく行きます。名前の通り東ノ島の名産品が多くあって、米食をよく食べに行ってます」

「食堂でも召し上がってましたものね」

「麺料理も色々ありますし、目の前の鉄板で肉を焼いて食べる料理とか、小麦粉を水で溶いて、いろんな具を入れて焼く料理もありますね。中央の料理とかなり違うので、その違いが楽しいですよ」


 フェリシー様は聞き上手だ。目を輝かせながら、うんうんと頷いて聞いてくれる。

 調子に乗って色々話していたら、四限を終えたアルベール様がやって来た。当然のようにフェリシー様の隣に座り、紅茶を注文。


「それで今まで何の話を?」


 過保護すぎだろ。


「王都にあるお店のお話ですね」

「どんな?」

「主に食べ物のお店です」

「お前そればっかりだな」


 鼻で笑いやがった。失礼な。

 他にも武器とか魔法とかハンターとか話すネタは色々あるけど、さすがにフェリシー様には向かないと思って自重してたのに。


「お好みであれば実家での狩りの様子をお話を致しますが」

「やめてくれ」


 令嬢は狩りに行かないからね。

 うっかり興味を持っちゃったら大変だし。

 でもそんなに過保護にしたいなら、学園に入らない方が良かったと思う。入るにしてもナビール魔法学園じゃなくて、もっと大人しい女子学園とかさ。

 ナビールに来てくれたおかげで出会えたんだから感謝するけどさ。あぁ、もしかしたらフェリシー様も婚約者がこの学園にいるのかもしれない。ゲームにいなかったということは、攻略キャラの婚約者ではないと思うけど。でもフェリシー様ってシルヴァン王子とアルベール様以外、男子と接触ないんだよねぇ。




 土曜日は迷宮に潜り、少し早めに終えて買い物をすることにした。

 虫除け購入などの雑貨と、ユーリー様の誕生日プレゼントだ。

 今までと違い同じ土地に住んでいるので、既製品より注文品の方が良いとお母様からのアドバイスだ。意外と細かいのね、お母様。


「ナイフにしようかな」


 ペーパーナイフでも解体用でもいいな。持ち手にお洒落なレリーフ入れてもらって。

 解体用なら武器屋だけど、ペーパーナイフなら文房具店だ。

 まず武器屋に行って、解体用のナイフと自分用の刀を見る。

 解体用のナイフは一万から、刀は十三万からあった。解体用のナイフは好みの装飾がないので、注文になる。ペーパーナイフを見てから決めよう。

 文房具店に移動し、ペーパーナイフを見る。ペーパーナイフは見た目がおしゃれなものが多い。シルバーのアンティーク調のものもあれば、シャープでモダンなタイプもある。好みは後者だけど、ユーリー様なら前者かな。

 解体用ナイフよりペーパーナイフの方が使用頻度が高そうなので、今回はペーパーナイフで。オリジナルの彫金をしてもらう打ち合わせをして、注文。受け取りは半月後。誕生日には充分間に合う。

 

「そういえば、忠誠の指輪っていくらで買えるの?」

「指輪だけになりますと、安いものでも三十万はしたはずです」


 安くて三十万とは……。

 忠誠の指輪は、別に制約を課すだけのものではない。味方の攻撃魔法が当たってしまわないようにガードする役目もあるのだ。念のため、サオンに身に着けてもらいたい。

 今はモンスターも弱くて余裕があるけど、下に行けば行くほどモンスターは強くなる。オネエと私が魔法を使う場面も当然増える。その時にサオンに危険が及ぶ可能性を出来るだけ排除しておきたい。


「五ノ月中に買えますよ。それに指輪が必要になるのはまだ先の話でしょう?」


 先に刀で、次が指輪かなぁ。

 魔道具屋で虫除けを買うついでに、水筒やロープ、レジャーシートなどの細々とした品も購入した。あると便利なハンターグッズは、見るだけでも楽しい。少しずつ揃えていこう。




 翌日の日曜日は、さっそく虫除けの出番だ。蚊取り線香のような匂いで、なんだか懐かしい感じがする。


「これで虫があんまり寄らないといいんだけど」


 本物の虫ならともかく、虫のモンスターだ。気休め程度にしかならない可能性もある。

 虫除け香炉を持ったまま歩くと、確かに虫が大人しい気がした。遭遇率も心なしか低い。


「これで狩りが捗るわね」


 虫除けは中の薬剤が消耗品で、本体の稼働自体は魔力が必要となる。しかし迷宮で使う場合、迷宮の壁の魔石から魔力が補給されるらしく、自分の魔力を使わずに済む。他にも迷宮で使い易い魔道具は色々あるので、少しずつ揃えて行きたい。私が元々持っていたものは、迷宮用でないものばかりだ。


 虫が減った分他のモンスターを狩り、回収できる素材も増えた。収入も少し増えた。その収入で目を付けておいた刀を購入。来週の迷宮からは剣ではなく刀を使っていこう。剣術は授業があるから上がっていくし。

 さて次は指輪に向けてお金を貯めないと。目標金額が一気に上がったし気合をいれて頑張ろう!

 






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