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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
ハンターになるまで
24/110

下り




 回復魔法は、飲みすぎや胃もたれにも効くらしい。モナさんの回復魔法を受けて元気になった面々は、魔動車に乗り込んだ。とはいえあまり眠れていないので、行きと違い数時間で交代することになった。


「セリカ様は毒を受けなかったのですね」

「私は運が良いみたいです」


 毒の種類がわかったってことは、たぶん本来なら受けていたってことだろう。


「運? まさか! セリカ様が選ばれし者だからですわ!」


 興奮したモナさんはどんどん声を大きくし、私を絶賛してくる。サリィさんとお兄様は耳栓をして眠っているので良いようなものの、ちょっとうるさい。中身はともかく肉体的には年上の相手に失礼だが、自重してほしい。しかしなぜこんなに崇められているのか。天使の気配でもするのだろうか。

 それにしても、長剣スキルで覚えた技を使ったのに、誰にも突っ込まれなかったな。年齢を知らない可能性と、彼らは技を使うことが普通だから気付かなかった可能性があある。ないと思うけど、技をスキルなしで使ったと思っているか。長剣スキルだってことが良かったのかもしれない。魔法だったらさすがに気付かれていたかもしれないし。


 話をしたり料理をしたりで過ごしつつ、三日目。お目当ての池に到着した。さっそく王都で買った水着に着替え、準備運動。すでに池で水遊びしていた子供たちの中に交じる。大人は少ない。

 私の買った水着は、エセ中世ヨーロッパ風のファンタジー世界なのに現代風だ。ビキニタイプやワンピースタイプ、パレオ付き、とにかく夏の水着売り場で見られるようなものがたくさんあった。聞くところによると素材は水棲モンスターの皮らしいので、そこだけファンタジー。水着は貴族のものなのか、池にいた子供たちは真っ裸。大人はサラシを巻いているようだ。

 池の中に入ると胸元まで深さがあった。今の私の身長は165㎝以上あるので、子供たちには少々深いのではないだろうか。が皆上手に泳いでいる。ところどころに木材が浮いている。背の低い子供はこれに掴まって休憩するようだ。

 元々水泳は得意だったからか、水泳のスキルをゲット、設定すると面白いように上がっていく。スキル大全には、パラメータが上がれば上がるほど長く水中に潜れるとあった。楽しそう。まぁ泳ぐ機会なんて早々ないんだけどね。


「貴族の癖に泳ぐの上手いわね……」


 出た、貴族のくせに。ガチ泳ぎしているとサリィさんが感心したように呟いた。この体になってからは初めてだけど、元々泳げるしね。


 寄り道をしたので行きよりも一日多くかかったが、無事帰宅。ダーヴィトお兄様はそのままクリスさんの領地に行くらしい。残りの二人と合流して依頼を受けるのだとか。羨ましい。

 お母様が不在だったので、お父様にだけ帰宅の挨拶をして、部屋に戻る。ベルを鳴らすとサオンが来てくれたのでマッサージを頼んだ。あー効くわー。


「そういえばサオン」


 マッサージの後は恒例のお茶。パラメータをあげたいのでお茶を淹れるのは私だ。


「ふぁい?」


 ドーナツをもぐもぐしているケモミミメイド、かわいいです。メイドとしては駄目なんだろうけど、かわいいは正義だよね。


「ユーリー様からお屋敷に招待されてるんだけど、サオンも一緒だと思うわ」

「ふへっ!? ごほっ、ごほっ!」


 驚きすぎて咽てしまったサオンに水を渡す。淹れたてのお茶はちょっと熱いしね。

 

「な、なんで、わたしが……?」

「ユーリー様から届いてた手紙にね、サオンもぜひ一緒にって書かれてたのよ」


 私が留守中に届いていた招待状。それはユーリー様の受験が終わり帰って来るであろう七ノ月下旬に、屋敷に遊びに来ないかというものだった。どう考えてもダーツのリベンジである。


「でも……」

「お父様がどういう判断をするかはわからないけどね」


 一応、目上の人の屋敷を訪問する際は、従者も厳選するようだ。本来ならサオンは弾かれる立場のようだが、今回はユーリー様直々のご指名。お父様がそれを断るかどうか。


 夕食後、お兄様に買ってもらった東ノ島食品を厨房へ持って行った。が、料理人全員、使い方がいまいちわからないという。確かにこっちにはないもんね。


「では私が作りましょうか?」

「へっ!? いやいやお嬢様にそんなことはさせられません!!」

「大丈夫ですよ。お父様にもお母様にも内緒にしていれば問題ありませんわ」

「そういう問題じゃなくてですね」

「そんな……美味しかったから皆に食べてもらおうと思って買って来たのに……」


 しょんぼり。あぁ悲しい。という風を装ってみた。目に見えて狼狽えられるとちょっと申し訳ないけどさ。だが目的のために手段は選ばん!


「いや、その……そうだ、料理書を取り寄せますから!」

「それはどれくらいかかりそうですか? 傷みやすいものもあるんです……」

「うっ……」

 

 結局私が作るというより、手伝うという形で納得してもらった。これで料理スキルもあがるだろう。なし崩し的に厨房を使う気満々である。くふふ。



 清々しい朝が来た。私は自由だ!

 いつも通り朝食を食べた後は、自由時間。受験が終わったから、毎日が休みなのだ。素晴らしい。さあ何しようかな。

 まずはパラメータの確認をしてみよう。今回の王都旅行でかなり変動しているはずだし。

 新しく覚えた水泳。たった数時間しか泳いでいないのに50を超えている。だけど泳ぐ機会って早々ないのよね。浴槽で犬かきしたら上がるかな……。今晩試してみよう。

 読書・礼儀作法・観察・気配察知・神聖魔法はほとんどつけていたから結構上がってる。何気ない行動でも不意に上がったりするから侮れない。

 長剣・弓術・体術・軽業・解体・料理も必要時につけたしわりと順調に上がってる。

 謎なのは威圧のスキルが大幅にあがっていることだ。これはダーヴィトお兄様が天使に会った日に、いつの間にか取得していた謎スキル。正直使い道もわからないし、何をしたら上がるのかもイマイチだったから放置してあったんだけど。設定した覚えもないのに勝手に上がるって、一体どういうことなのかな。

 最後にこれ。挑発。いつの間に覚えたのか、40を少し超えたところ。スキル大全で確認すると、前衛には有用なスキルのようだ。だけどこれ、どうやってあげればいいの?パラメータの上げ方の説明に、挑発することで上がりますって書いてるんだけど。いやそうじゃないよね? どうやって挑発するかってのを書かなきゃ意味ないよね?

 とりあえず早く覚えたい魔法があるスキルと上げる手段があるものを優先にしていこう。授業でやるのは後回しでいいし。さすがに馬を一人で借りると止められるだろうし、リオンお兄様がいれば長剣の訓練、サオンがいればお茶とダーツ、本も読み尽くしちゃったし、残りの時間は軽業と生産系かなぁ。町と工房にも行きたいけど、一人じゃだめだろうし。くっそー娯楽が足りない! あー早く狩りにも行きたい!





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