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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
ハンターになるまで
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上り三日目・四日目




 三日目の朝食は甘さ控えめのクレープ生地に野菜の千切りと肉を炒めたものを包んだもの。クリスさんに生地を焼かせてもらった。とはいっても、フライパンに生地を流し、焼けるのを待つだけなんだよね。加熱魔法はクリスさんがかけるんだし。作業中に他の料理も教えてもらった。ただし残念なことにファンタジー料理をどう伝えていいのかわからなかった。

 朝食後はダーヴィトお兄様と操縦席を占領して練習。対向車がほとんどいなくて楽しい。食事と睡眠以外は操縦ばかりしていて、全然勉強していない。大丈夫だろうか。

 昼食は魔法を駆使して作るパン、夕食はスパゲティグラタンの作り方を教えてもらった。料理スキルを早急に上げなくてはならないようだ。

 四日目は王都で売るモンスターを狩ることになった。パーティ戦闘を間近で見られるチャンスだということで、ダーヴィトお兄様が発案してくれたらしい。残念ながら私は魔動車の中から見学だけど。

 狙う獲物は四足歩行の中型モンスター、肉食。ざらついた灰色の肌にずんぐりとした体型で、小さな角が三本生えていた。スピードは極めて鈍い。とてもじゃないが四人がかりで狙うような獲物には見えない。


「《スピード、パワー、アップ》」


 ダーヴィトお兄様が四人全員に補助魔法をかけた。補助魔法って回復役のモナさんがかけるのかと思ってた。クリスさんが盾を構え剣を振るう。ダーヴィトお兄様は槍。モナさんも錫杖を振り下ろす。良い笑顔で怖いな。サリィさんは地魔法を設定しているみたいで、土を隆起させ腹側を攻撃している。

 

「あー防御力とかHPが高い感じなのか」


 モンスターはくるりと丸まって、跳ねた。


「おぉ」


 突撃。幸いモナさんは軽々と避けていたけど、あれは当たったら大ダメージだな。跳ねるとかなりスピードアップするのか。炎を吐く犬といい、モンスターは短時間で討伐した方が良いんだろうな。

 特に派手な戦い方はなく、地味に堅実にHPを削っていく感じのようだ。攻撃一人に補助兼攻撃が一人、回復兼攻撃一人、遠距離攻撃が一人か。うーん……。

 

「こいつは攻撃が通り難いから時間が掛かるタイプのモンスターで、この革と角、心臓が中々高価でね」


 ダーヴィトお兄様が、解体しながら教えてくれる。


「あんまり攻撃性がないから、こちらから何かしない限り、戦闘にはならないかな。突撃されるとかなりの衝撃だから、初心者だと死者が出たりもする」


 かなりの威力はありそうだと思ったけど、あれくらいで死んじゃうんだ。打ち所が悪ければ、ってことかな。


「だから大体どこのパーティも、俊敏、攻撃、防御を補助魔法で上げるんだ。うちのパーティはこいつの突撃なら避けられるから防御はかけなかったけど」

「魔法なら雷が効くわ。火や水は駄目ね」


 弱点がわかってるのに使わなかったってことは、光魔法は設定してないのかな。


「わたくしが光魔法を使えるのですが、光魔法だとすぐ終わってしまうので……。それと魔力節約のためですね」


 そうか、魔動車の操縦があるからか。

 

「魔力の回復薬はあるけど、無駄に使ってもね」

「ナビールは魔法メインが多いから魔法薬を使いすぎる傾向にある」

「確かに。あいつら無駄使い好きよね。金持ってるから仕方ないのかもだけど」


 呆れたようにサリィさんが吐き捨てる。サリィさんはナビール嫌いなのかな。正直反応に困る。


「魔法学園だから魔法を使いたいのはわかるんだけどね。たまに全員が魔法メインで近接全然駄目ってパーティもいるから。バランスは考えたほうがいいね」


 魔法が効かないモンスターが出たらどうするつもりなんだろうか、そのパーティは……。

 皆が今まで見てきた色んなパーティ構成を聞きながら、再び魔動車に乗り込んだ。話を参考に私もパーティメンバーを集めなきゃ。最初はどこかのパーティに入れてもらって修行かな。条件が合うところがあればいいけど。


 その日の夕方、王都に到着した。馬車だったら十日前後かかる距離が、たったの四日。魔動車マジ便利。そのうち欲しいな。

 全員疲れていたので今日は宿に直行。早めに休んで明日の朝、学園に手続きに行くことになった。


 

「よし、完璧」


 白いブラウスに紺の膝下丈のスカート、胸元には臙脂のリボン。姿見に立って自分の姿を確認する。

 きっちりと髪を結い、革の紐靴をはいてナビール学園へ向かう。本来なら従者を連れて行くんだろうけど、今回はダーヴィトお兄様が付き添ってくれることになった。

 受験の手続きはすぐに終わった。事前に書類を提出しているので、今回は王都に到着したという報告だけだったし。遠方から受験に来る人が多く、手続き順に試験が開始されるらしいので、私の受験は明日。昨日今日報告に来た人たちが一斉に受けるみたいだ。順番に受けるって、問題の漏洩とか大丈夫なんだろうか。不正とかないのかな。

 帰りに噴水広場と呼ばれる場所に寄り道。噴水とパラソル付きのテーブル、立ち並ぶ屋台。アデュライト領の三倍はありそうだ。あっちにはなかったフライドチキンとポテトのセット、水餃子、たこ焼きなどを買った。たこ焼きにテンション上がりっぱなしだ。王都の屋台は各地の料理があるようで面白い。どちらかと言えばアジア寄りかな? こっちに引っ越してきたら絶対に全制覇する。

 夜は米食が食べたいとリクエストして、午後は最後の勉強に打ち込んだ。

 今日で最後。これで受験勉強から解放される……! 





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