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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
ハンターになるまで
20/110

上り二日目

 



 二日目。私が起床した時には、ダーヴィトお兄様はすでに操縦席だった。クリスさんが釜魔法を使ってパンケーキと、加熱魔法でトマトクリームのスープの朝食を作ってくれた。釜魔法も加熱魔法も料理スキルで覚える魔法だが、パラメータが200以上必要だ。ちなみに私のパラメータは45。100の熟成もまだなのである。先は長いぜ……。

 朝食後サリィさん、クリスさんは仮眠。私はモナさんに捕まった。逃げ場はない。何故か神とか天使とか聖女とか散々聞かされた。正直うんざりだったのだが、神聖魔法ががっつり上がっていたので嬉しかった。そうだよね、聖書を読んでパラメータが上がるなら、話を聞いて上がってもおかしくない。つまり料理本を手に入れれば……。よし王都で本屋に行こう。

 車の外の景色を見ながら、現在地や王都周辺の地理を説明してもらう。受験勉強のための地理と違うハンター目線の地理は中々面白い。

 昼食の準備のため、ダーヴィトお兄様とモナさんが操縦を代わった。魔動車の上に登って獲物を仕留めるらしい。何それ楽しそう。ついていくことにした。


 魔動車の上部には、車の後ろについている梯子から上がる。コの字型の鉄はしごのようなものなのだが、木製の本体に鉄素材とはこれ如何に。ともかくお兄様の後に続いて登ると、大人二人が寝転がれるくらいの広さしかない。上部は空間拡張の魔法が聞いてないのかな。それから何故か、上部にもコの字がついている。取っ手?


「落下防止だよ。手で持つか、こういう風に使うんだ」


 あぁ、なるほど。足を引っ掛けるのか。

 足を引っ掛けて体を固定、弓を構える。これ絶対脚の筋肉必要だよね。


「セリカがやる? 前方斜めの鹿狙いなんだけど」

「やりたいです」


 素早く弓術スキルを設定して狙いをつける。足が攣りそうなんだけど。腹筋と太ももにも負荷が……。

 仕留めた鹿を手早く解体して回収すると、準備のために起きたクリスさんが昼食分に熟成魔法を掛けてくれた。残りの肉もこれだけあれば二三日分はありそう。


「燻魔法を覚えればもっと色々出来るんだけど、中々ね」


 一年に300上がったとして、三年もあれば覚えられるかな?


「スキルを設定していて使わないと、少しずつ下がっていくんだ。仕事中は料理できるけど、休暇中家で厨房に入ることは禁止されているから」


 あぁ、そうか。スキルの変更は本来自分で出来ないんだった。それに貴族だ。厨房はあんまり使えないよね。私もナシカお母様の目が怖くて屋敷の厨房には入れない。

 昼食のメインは鹿肉を薄切りにして焼いて甘辛いタレをかけたもの。それにマッシュポテトとピクルスを添える。料理指南でもパラメータは少し上がるらしい。

 のんびりと外の風景を見ながら食事していると、水遊びをしている子供たちが見えた。川ではないようだし、池だろうか。


「涼しそうで良いですね。私も泳ぎたいです」

「貴族の癖に珍しいわね」


 起きて来たサリィさんに何故か鼻で笑われたぞ……? もしかして嫌われてる?


「泳ぐのは平民か、一部の貴族くらいだからね」


 お母様風に言うと、アデュライト家にふさわしくない、恥ずかしい感じ? ゲームでは一応海水浴イベントあったんだけどなぁ。プライベートビーチみたいだったからちょっと違うのかな?


「とりあえず洗浄魔法と乾燥魔法かけるわよ」


 サリィさんは宣言するとすぐに魔法をかけて来た。これはちょっと驚く。洗浄と乾燥の魔法は洗濯のスキルで覚える魔法だ。洗浄魔法は実は私も覚えている。表向き、私は魔法を使える年齢ではないので、今回は使えないんだけど。


「ありがとうございます、サリィさん」

「仕事だから」


 わお、クール。ハンターでも洗濯スキル設定してるのは、やっぱり洗浄魔法のためかな。マジハンの世界はシャワーが主流だ。長期間シャワーを浴びられないのは辛いしね。乾燥魔法、私はまだ覚えてないんだけど、これも便利だよね。

 ダーヴィトお兄様が魔動車の操縦を教えてくれるというので、操縦席に移動した。操縦席は専用のドアはあるが、座席後ろからも入ることが出来る。便利。

 魔動車の運転は簡単だった。ハンドルにアクセルとブレーキという、ごく普通のAT仕様。免許も要らないし、多少ぶつけても保護魔法が効いているので問題なし。この保護魔法は魔動車本体にも、対象にも有効という便利さ。事故っても相手は無傷だ。逆を言うとモンスターを轢き殺すことは不可能ってこと。

 魔力の使い方も問題ない。単純に注ぎ込みながら運転すればいいだけだし。でもこの調子で減っていくとなると、確かに長時間の運転は難しいな。

 あ、でも直進だとあんまり魔力減らないかも。


「上手いね」

「ペーパーだけど免許持ってたから」

「ペーパー? 免許?」

「天使が違う世界からって言ってたでしょ? こういう乗り物があって、運転する練習をしてたのよ」


 操縦席と後ろの席の間には一応壁があるので、少しくらい話しても大丈夫だろう。日本の話をしていたせいか、ついついタメ語になってしまった。幸いお兄様は気にした風ではない。

 クリスさんが夕食の準備を始めるまで操縦させてもらい、その後はまたモナさんに代わった。

 クリスさんが夕食分の肉に熟成魔法をかけ、釜魔法でじっくりと焼き上げ。ローストビーフみたい。昼と同じマッシュポテトを添えて、たっぷりとソースをかける。スープとパンと一緒にいただきます。

 あー、美味しい! パーティに料理人は必須だわ。







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