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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
ハンターになるまで
13/110

買い物





 ダーヴィトお兄様が休みの日は、ちょくちょく遠乗りに連れて行ってもらうようになった。雪うさぎはわりと実入りが良い上に、冬はあまり仕事がないそうで、時間があるのだとか。

 最近では多く獲物を狩っては麓の村へ持って行き、料理と生産の手伝いをするのが定番となっている。木工や革細工、石細工などのスキルを取得した。取得しただけで全然生かせてないけど。生産系は時間が必要だね。


 そんなこんなで二ノ月。誕生月である。

 そのお祝いに長男のデューお兄様が町へ連れて行ってくれるという。初めての買い物だ。取説に通貨説明はあったけど、ゲームでは機能していなかったし物価などはわからない。色々見られると思うし、観察スキルを設定しておこうかな。

 町はなんというか、田舎の商店街レベルだった。数軒並ぶ屋台から、肉の焼ける良い匂いがする。あ、コロッケっぽいものがある。揚げたてコロッケが食べたい。


「ナシカ様から、ユーリー様へのバレンタインのプレゼントを用意するように言付かってるよ」


 そうだった。マジハンではバレンタインに女性から男性へ、小物をプレゼントする習慣がある。ゲーム内で庶民派貴族の主人公は、平民の間で流行っている手作りチョコレートに挑戦していたが、貴族間では流行っていないのだ。好感度が高いキャラにあげると喜ばれるんだけどね。


「小物……何が良いかしら」


 攻略キャラの誕生日になると、プレゼントを送ることができ、選択肢が出る。相手が気に入るものを上げれば好感度が上がるという代物だ。まぁ主人公の話なんだけどね。

 私はあえて選択肢になかったものにしよう。何が良いかなぁ。中学生男子が好きなものってゲームと漫画しか思いつかないんだけど。


「あ! お兄様、これが良いです!」


 女性向けの装飾品店のようだったが、気にせず中に入る。

 見つけたのは銀色の筒状になった髪留めだ。髪を一つにまとめて挟み込むタイプ。おかっぱユーリーには使えないだろうけど、どうせ伸ばす筈。アンティークっぽい素敵な彫りで男の子がつけてもかっこいいと思う。


「デザインが素敵です。これにします」

「すんなり決まったね。包んでもらおうか」


 プレゼント用にラッピングしてもらい、そのまま届けてもらうらしい。セバスチャンが何か手配している間に、屋台のコロッケをねだった。ちょっと渋い顔だったけど、初めて見ます、いいなーいいなーとアピール。屋台が連なる広場のテーブルで昼食をとることになった。スーパーのフードコートみたい。

 ただしナシカ様には絶対に言わないように、と言われた。言うわけないじゃん。そもそも話することもないのに。

 熱いコロッケをはふはふしながら食べる。揚げたて最高。しかし50Hヘクセンってどれくらいなのか。子供が買い食いしてるくらいだし安いんだろう。

 他にも豚肉と玉葱の串焼きや鶏肉の炭火焼、牛肉のトマト煮込み、ラムの香草焼きなどを食べた。どれも美味しかった。満足。


「あ、セリカ。デザートにクレープはどうかな?」

「食べたいです! 何が良いかしら」

「一番人気はイチゴと生クリームだって」

「んー……ソーセージエッグでお願いします」

「……そう」


 何でそんな残念そうな顔してるの?

 そのあとは誕生日プレゼントを買ってくれるというので、色々とお店を見て回った。

 基本的に1H=一円換算で良さそうだけど、食料品の物価は安く、雑貨は高い気がする。アデュライト領は田舎で、農家や畜産家が多いせいかもしれない。

 


「何か欲しいものはあった?」

「剣が欲しいです」

「剣? 何に使うんだい?」


 むしろ戦闘以外の何がありますか。


「魔法学園の授業に剣術があると聞いたので……」

「魔法学園? セリカが入学するなんて話は聞いてないけどな」

「……ユーリー様が入学する予定だと聞いたので」

「なるほど。パーティーの時に聞いたのかい? そうだね、ユーリー様が行くのならセリカも行くことになりそうだ。だけど剣はやめておこうか。きっとリオンが選びたがるよ」


 そっか。せっかくリオンお兄様に剣術を習ってるんだし、そっちのほうがいいかも。

えー、じゃあ何にしよう。服も装飾品も何でも用意されてるしなぁ。あ、じゃあ防具か魔道具がいいかも。


「では防具と魔道具のお店に行ってみたいです」


 まずは防具ということで、防具と武器は同じ店に置いてあった。


「お兄様、これが良いです!」


 革のビスチェだ。胸元が編上げになっていてかなりセクシー。やっぱりさ、ぼんきゅっぼんになったからにはそれを活かした服を着ないと!

 

「セリカ様。それはアデュライト家の御令嬢にふさわしくありません」


 セバスチャンが喋った!

 かしこまりました以外、初めて聞いた気がするわ。いや足元にお気を付けてとかはあったけど。

 しかし露出の多い服は却下ということですね。くっそ今度こっそり買ってやる……! 

 うーんでも他に惹かれる防具、ないんだよね。魔道具にしようかな。防具は諦め、魔道具店に移動した。

 魔道具は戦闘用のものから生活用のものまで幅広い。火や電力なしでつくランプ、ライター、中の水が自動的に補充される水筒、中に入れたものの重さが軽くなるリュックなどあると便利そうなものがたくさん。中でも自動地図はスキルで補えない便利さだ。あ、でもこの温泉石もいいかも。溜めた水の中に入れるだけで温泉になるんだって! 

 この店は十人ほどの魔道具製作者の商品を置いているそうで、ランプのようなスタンダートなものはデザインや性能の似たものが八種類もある。ライターや水筒も同じく。自動地図は制作が難しく、作れる人が少ないせいで二種類。温泉石のような個性的なものは一種類しかなかった。それぞれ製作者のサインが入っているので、それで判断して買うのが一般的なようだ。部屋に戻ったらランプのサインを見てみようかな。 そしてここで、私は最も重要なものを思い出した。


「あっ! 肉焼き! 肉を焼く道具はないのですか!?」

「肉を焼く道具でございますか……? 釜でしょうか?」

「違うんです、野外でこう肉をくるくる焼くんです」


 店員さんに手を捻りながら説明したけど、わかってもらえない……。そんな道具がないのかもしれない。肉焼きはロマンだというのに!


「残念だね。他に何か欲しいものはない?」


 うーん。特にないしハンターで必要そうな魔道具セットとかにしておこうかな。どうせ必要になるんだし。

 

「あら?」


 魔道具のダーツセットがある。……これで投擲スキル上がらないかな。投擲は特訓為難いからほとんど上がってないんだよね。もう一つ死にスキルがあって、それもほとんど上がってない。こっちはスキル大全を見ても鍛え方が抽象的過ぎてわからないんだよね。元々偶然手に入ったスキルだしなぁ。

 あ、でもこの福袋みたいなやつも面白そう。バラエティバッグだって。

 色んなデザインのリュックサックがワゴンに積み上げられている。その中には七つ、ランダムで魔道具が入っているそうだ。子供用、女性用、ハンター用だって。えー、買うならハンター用よね。あー、迷うなぁ。こういうの好きなんだよね。

 両方並べて見ていると、結局お兄様が両方買ってくれた。帰って中身を見るのが楽しみだ。


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