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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
ハンターになるまで
11/110

クリスマス

 



 ユーリー・ドリット・ジャーヴォロノク。髪色は水色、瞳の色は藍色。肩より少し長い髪を一つに結んでいる。マジハンは長髪キャラが多い。ファンタジーだから? キャラデザの人の好み?

 水魔法を得意とするクール系キャラクター。次男なので家を継げず、騎士を目指しナビール魔法学園に入学する。で、たぶんセリカはそれを追いかけて入学するんだな。

 今回のクリスマスパーティーは要は顔合わせである。婚約発表ではない。今まで引きこもりだったセリカは、ユーリーとは初対面。という屋敷内の人以外、ほとんど会ったことがないようだ。

 会場の中央は大きなスペースがある。きっとここでダンスするんだろうな。壁沿いにテーブルがあり、豪華な料理が並んでいる。カクテルグラスの海老って何であんなに美味しそうに見えるのか。お腹空いた。

 すでに各々グラスや料理を手に歓談している。その中で最も中心となっている水色集団に近付く。私たちを見て、水色集団の周辺にいた人たちが場所を開けてくれる。


「本日はお招き、ありがとうございます。三女のセリカです」

「おぉ、これはこれは」


 初パーティーなのでちょっと私のお披露目みたいになっている。注目浴びすぎで不快だ。緊張する質ではないが不快なものは不快だ。見るなら金払え。そして崇めよこの美貌!


「セリカさん、この子が息子のユーリーだよ」


 ユーリーを見た瞬間、衝撃が走った。

 おかっぱ! 水色のおかっぱだ! ジブ○かよ! 噴出さなかった私、超偉い。ゲームではもっと長かったし、これから伸ばすんだろうけど。

 アニメならともかく、リアル男のおかっぱって破壊力すごいくない?

 

「セリカさん?」


 慌てて取り繕って挨拶したけど、あとでお母様に怒られそう。怖い。

 大人は大人で話すことになり、子供は子供同士でと送り出された。ユーリーは予想通り無口で、リードしてくれる気配はない。えー私の好きにしていいかなぁ。親の目もあるし、ある程度仲良くしてる風にしてた方がいいよね。


「ユーリー様、お腹は減っていませんか?」

「……減ってない」

「そうですか。私は減ってるので何か食べに行きましょう」


 アンタが減ってなくても私は減ってるし。

 人垣をぬい壁際のテーブルに近付く。ブッフェ形式なので皿を取り、目のついたものを三品、少量ずつ乗せた。ユーリーは黙って横に立っている。では遠慮なく頂きます。……うん、礼儀作法が下がった。よし外そう。これで下がるまい。


「美味しい! ユーリー様、このお肉おすすめです!」


 いやーさすが美味しいわー。パーティーだもんね。しかも自分の家より上の貴族なんだし良い素材使ってそうだ。

 しかしこの肉にかかっている甘辛いソース、すごく美味しい。うちでも作ってくれないかな。

 とりあえず魔法の話とかスキルの話とか雑談しつつ、食べまくった。うん、この緑のソースも美味しいわ。


「ユーリー。隣にいるかわいいお嬢さんは誰かな?」

「……叔父上」

「こんにちは、お嬢さん。私はミハイル・ジャーヴォロノク。ジャヴォロノク家当主の弟だよ」

「はじめまして。セリカ・アデュライトと申します」


 ミハイルってあれだ、前の婚約者じゃない? 三十以上歳上って聞いてたけど、若く見えるな。

 耳下まで伸びた金茶のボブはウェーブがかかり、ちょっと海外の俳優みたい。髭も渋くてかっこいいし、スリーピースのスーツがまた似合う。焦茶色のスーツにベストは黄色と茶色の千鳥柄、赤系のタイって中々の組み合わせ。

 正直十三歳のガキよりもおじさまの方が断然良い。だって十三歳って言ったら中学生よ? 中学二年生! 犯罪だ! 元々年上の方が好きだし。初恋も糞親父の知り合いのおじさまだったし。


「美しいお嬢さん、一曲お願い出来るかな?」

「……えぇ、喜んで」


 ダンスの始まるタイミングで話し掛けて来たのはこのためか。

 ミハイル様に連れ出され、中央のスペースに躍り出た。


「私との婚約は、内々の話でね。ユーリーも知らないことなんだ」

「そうなんですか」

「そう。だから余計なことを言う前に釘を刺そうかと思ってたんだけど……。大丈夫だったみたいだね?」

「そうですね。お気遣いありがとうございます」


 いやーしかし良い男だわー。どうせ結婚するならユーリーよりミハイル様の方が良かったんじゃない? 顔的に。でも三度目の結婚とか言ってたし、女癖でも悪いのか? 最も、大人しくミハイル様と結婚するようだと私はこの位置にいなかったわけだけど。


「まぁね、さすがに三十以上も年の差があれば振られるのも当たり前だけど、ちょっとショックだったかな」

「申し訳ありません……ミハイル様がどうこうということではなく、私はその……自由になりたかったんです」

「自由、ね。確かに私と結婚となると十五歳、ユーリーなら早くても十八歳になるだろうね。若いうちの三年は大きい」


 苦笑い気味に顔を伏せる。いやもうどう返せば良いのかわからない。勘弁してください。さすがに自殺云々までは伝わってないのかもしれない。伝わってたらこんなこと言わないというか、接触してこない気がするから。

 一曲終わり、ゆっくりとした足取りでユーリーの元へ戻る。


「さ、ユーリー。踊っておいで」


 今度はユーリーと踊るのか。それがメインだよね、当然だよね……。何ていうか正面に水色のおかっぱがいるとそれだけで噴き出しそうなんですが。

 何とか耐え切って、概ね平穏にパーティーは終了した。

 いやぁ帰りの馬車内の沈黙がものすごく辛かったです……。


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